先日、こたつの片づけを手伝ってほしいと言われ、実家に行ってきた。私の家は近いから、そんなに苦ではない。結構な割合で何らかの用事を頼まれることが増えた。そうだよなあ……。90と85を超えていればだんだん大変になってくるよなあ。それでも何とかやっているのだから立派だわ。
実家のこたつは掘りごたつだ。だから片付けと言ってもそう簡単にはいかない。やぐら?みたいなのを外して、下に敷いてあるすのこをとったり、もちろん腹ばいの姿勢で掃除機もかけるし、雑巾がけもする。父は几帳面な性格だから、こたつと畳の間に新聞紙を折りたたんだものを入れてゆるみを調節し、ガタガタしないようにしている。しかも折り山が上に来るように。折り山が下だと新聞紙の間にゴミや埃が溜まるからとのこと。何年前の新聞か確かめもしないけれど、何だかずっとそれを使っている。新しい新聞で折るよりも、なんかなじんできて使いやすい。
電気炬燵ヒーターもねじ回しを使って網を外し、掃除機で埃を吸い取る。普通の電気炬燵ならばテーブルの内側の上に付いていて、それは下向きだからそうそう埃はたまらないと思うが、ヒーターが上を向いて下に置かれているわけだから、数か月分の埃はそれなりの量だ。これじゃあ、高齢の2人には困難な作業だ。
まずは天板を外して布団をめくってみたら、こたつ毛布に何やら縫い目がある。一体何?
ちょっとゆがんではいるけれど、マーク
としては十分な何か……。
母曰く。これは、真ん中の印なんだって。父が、
「毛布をかける時に中央に目印があると便利だ」
と言って、針と糸が好きな母が付けたモノらしい。二人の共同作業だわ。
私だったら、きっとマジックで書いちゃうよ。中心がわかる模様や柄が付いたこたつ毛布だって探せば今はいくらでもありそう。そういう毛布に買い替えればいいのに。でも両親はそうしないんだなあ。物が捨てられない、まだまだ使える。工夫をしてなんでも使い切る。
「昭和一桁両親、さすがだ」って思った。
