「ねえ、この時期にランドセル売ってるのね」
「このひと月、どうしていたのかしら?」
「まさか買えなかったなんてことある?親もどうしていたのかしら?子どももかわいそうに……」
GW明け、ある百貨店でエスカレーターに乗っていた時、後ろから聞こえてきた女性の会話だ。声の感じから、私と同年代ではないかと思った。後ろを振り返る勇気はなかったが、クスリと笑えた。
「奥様方、これは来年度入学のお子さん用のものですよ」
エスカレーターを降りたところに確かにランドセル売り場はあった。黒や赤だけでなく、今はとってもカラフルだ。形も少し違うものあり、刺繍入りだったり、縁取りが別のカラーだったり、とにかく種類が豊富だ。何組かの親子が手に取っていた。
それにしてもGW明け直後だよ。ランドセルは重いとか大きいとか、値段が高いとかさんざん言われている。一方で、好きなカラーやデザインだと、夏前から注文しないとなくなるらしい。入学式に間に合わないなんてことはないが、夏過ぎると届くのは3月とか。その商戦は1年前に始まっているってことだ。しかも数万円もする。そりゃあ、おじいちゃんおばあちゃんのお財布に頼りたくなるよね。ランドセルって人気なの?不人気なの?って言いたくなる。
私はランドセル派です。でも夫みたいに
「重たいランドセルを背負って身体を鍛えればいいんだ!」
なんて乱暴な理由じゃないよ。6年間壊れないところと、中の本がしっかりと収まって大事にされているから。私はやっぱり紙の本が好きみたい。近くの公立中学校の生徒たちはほとんどリュックで通学しているけれど、中はどうなっているのか、気になる。教科書も汗まみれの体操服も上履きもごっちゃに入っているのだろうな。教科書の端は折れていないのかな?丸まっていないのかな?教科書が気の毒になる。
重さ問題も、ランドセルそのものというより、タブレットだとか、副教材とか、1教科に2冊のノートなど、私たち昭和小学生に比べて、持ち物が多いからだと思う。コロナ禍では水筒も持参していたようだし(今も?)。
ある自治体が新1年生全員に無償でランドセルを配ったらしい。それ、少子化対策としてもいいんじゃない?それは助かるよ。ただ、数年後に「個性がない」なんて声が上がらなければね。