高校2年生の時、クラスの女子全員で男子全員にチョコレートをあげることにした。相談をして、当時1本10円の不二家パラソルチョコに決めた。今でもあるのかな?
当日は時間割がちょうどよく、体育だったか技術家庭だったか、男女別々の授業があり、その休み時間を利用して机の横のフックにパラソルを1本ずつかけた。黒板の端っこには
「本日、帰宅時間帯に雨の予報が出ています。傘を忘れずに」
って書いた。
その頃、バレンタインデーは「好きな子に渡す」っていう本命チョコが王道だった。だからチョコをもらったことのある男子はクラスにほんの2~3人だったと私は思っている。そんなわけで、男子達はとても喜んだ。今でもクラス会などで集まると話題になる。いったい誰のアイディアだったのか、など聞かれるけれど、何となく誰からともなく……だった。でもこれは「義理」っちゃあ「義理」なわけです。ただ、「義理チョコ」すら存在しない時代だったということです。
そして、しばらくしてから「義理チョコ」、その後「友チョコ」、最近では「ご褒美チョコ」として自らにちょっと高価なチョコを買うんだって。変化ってすごいねえ。
高校時代、恋愛に縁のなかった私に反して、弟は結構モテていたようだ。手編みのマフラーなんぞをもらったこともあったらしい。弟はその子のことをどう思っていたのかなあ。好きだったとしても当時の男子高校生、手編みのマフラーは恥ずかしくてなかなか使えなかっただろう。もしかしたら、他に気になっていた子がいたかもしれない。
ある時、母がそのマフラーを見つけてしまった。そして
「このマフラー使わないの?」
と聞き、
「ああ……」
と、イエスともノーともわからない息子の一言を聞くや否や、とっととそれをほどいて自分用にリメイクしてしまった。
「もったいない」
と言いながら。その母の天然ぶり、今でも思い出してはおかしくておかしくて。
