自身の子どもらが小学生の30年ほど前、フルタイムで働くママたちはまだまだ少なかった。彼女たちのお子さんらは、放課後、近くの公民館に移動していた。学童だ。

 

 ママさんの1人が

「夏休みは本当にしんどかった」

と後になって振り返っていた。低学年のうちは預かってもらえたからまだよかった。が、高学年になると預かってもらえない、もしくは本人が希望しない。両親が働いているその長い時間の過ごし方に頭を悩ませたという。

 

 一日中、一人きり。だからと言ってゲームだけ、はやめたい。テレビばかりも気になる。お友だちが家に来て好き勝手に子供だけで過ごすのは避けたい。お仕事をしていないママのお子さんの家に入り浸るのも申し訳ない。祖父母が近くに住んでいる人は、頼ったりしていたようだが、彼女の(ご主人も)ご両親は遠くにお住まい。40日間田舎に預けっぱなしも高齢の両親を思うとなかなかできない。

 

 ご主人と夏休みの取り方を工夫してやってきたらしい。

 

 そんな夏も何とか乗り越え

「今思うとあっという間だったかな」

という彼女だが、一番胸に響いたのは子どもが1年生になった時の夏休み前のことだったと。

 

 7月に入ると先生から

「もうすぐ夏休みです」

の言葉が頻繁に聞こえる。

「図画工作の作品を持ち帰るために明日、大きめの紙袋を持ってきましょう」

とか

「体操着はもう持ち帰っていいですね」

とか、

「明日は終業式です」

などなど。夏休みの宿題のドリルが配られたりもする。クラスは夏休みを前に盛り上がりを見せている。

 

 保育園では、皆が一斉に夏休みになることもなかった。それが、小学生になったら、いきなりこれだ。そして、彼は突然自分が毎日お弁当を持って学童に通わされることを知る。彼に夏休みは存在しない。

 

「なんだよ~!!!僕には夏休みがないってことじゃん!!!」

と大泣きされたらしい。

 

 今は働くママさんも増えた。中には、

「夏休み、無しでいいよね」

というママたちもいるそうだ。仕事をしていなかった私でさえ、昼ご飯やら宿題やら、学校のプールだって行かせるのに大変だったもの。明日は誰が(子ども3人だったので)何時からなのか、水着とタオルはその日のうちに洗濯して乾かす。本当は毎日体温を測らなくちゃいけないけど

「おかあさん、今日はサンロクサンでいい?(36.3℃のこと)」

と子ども。

「いいよ~」

と私。何といい加減な母だろうか。働くママ達に

「そんなの、大したことない」

と言われそうだけど。


 ただ、親にとってはせわしい夏休みだが、子どもにとっては、心躍るものであったはずだ。色々な理由で、いつか夏休みが無くなってしまう日が来るのではないかと、子どもらが気の毒にも思えてくる。

毎年の夏に思うこと

 

 

 

 

 

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