「黒字リストラ」の次は「AIリストラ」 | 東京ブレイズ二代目社長のつぶやきブログ

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世間ではあまり知られていない「ろう付」を生業に、日本の科学技術の下支えに本気で取り組んでいる、中小企業の2代目社長が日頃思った中小企業経営やろう付技術と業界、その他さまざまなことについてつぶやきます。

2025年、日本企業の間で「黒字リストラ」がニュースになりました。これは、企業が過去最高益を更新するなど好調な業績を維持しながらも、数千人規模の希望退職を募った事実です。この流れは2026年に入っても衰えるどころか、むしろ加速していると言えます。東京商工リサーチの調査によると、2025年に早期・希望退職を実施した上場企業の人数は1万7,875人に達し、リーマン・ショック以降で3番目の高水準となりました。特に注目すべきは、その6割以上が黒字企業であった点で、業績悪化による人員削減という従来の常識が大きく揺らいでいるのです。

 

企業側はこの動きを構造改革や中長期的な競争力強化と説明していますが、その対象となるのは主に50代以上の管理職層です。日本企業が長年採用してきたジョブローテーションによる人材育成は、幅広い業務に対応できるゼネラリストを生み出してきました。しかし、終身雇用や年功序列を前提としたこのモデルは、環境変化の激しい現代においては必ずしも適合しなくなってきました。結果として、特定分野での専門性が不足し、市場価値が相対的に低いと見なされる中高年層が増加する構造が生まれています。企業の都合で育成された人材が、時代の変化によって評価を下げられるという矛盾が「黒字リストラ」の本質なのです。

 

さらに、この動きを強力に後押ししているのがAI技術の急速な進化です。書類作成やデータ入力といったルーティン業務はすでにAIによって代替され始めており、従来は評価されていた事務処理能力やツール操作スキルの価値は急速に低下しています。今後は単に業務をこなすだけでなく、AIを活用して成果を最大化できる人材が求められるようになるのです。その結果、「AIを使いこなせる人材」と「そうでない人材」との間で、キャリアや報酬の格差が急速に拡大していくと考えられます。一方で企業は、高度な専門性を持つ人材には積極的に投資しており、高額報酬を提示する動きも広がっているので、人材戦略は明確に二極化しています。

 

こうした環境下で、50代のビジネスパーソンに求められるのは、まず自らの専門性を再定義し、AIを道具として使いこなす力を身につけることです。必ずしもプログラミング能力が必要なわけではありませんが、自身の領域においてAIを活用し、具体的な成果を出せるかが重要になってくるでしょう。また、自分の価値を社内評価だけでなく、市場評価の観点から見直すことも欠かせません。実際、50代の転職市場は拡大しており、専門性を持つ人材に限れば報酬増を実現するケースも少なくありません。さらに、自社の経営戦略や事業方針を深く理解し、その方向性の中で自分がどのように貢献できるかを明確にすることも自己防衛として重要です。

 

「黒字リストラ」はもはや一時的な現象ではなく、AIの普及とともに進む構造的な変化の一部なのです。この変化の波に流されるのか、それとも乗りこなすのかは、個々の選択と行動にかかっています。技術の進歩で便利な世界になりましたが、一方で我々50代は生き残るために変化に適応なければならない厳しい時代になりました。「AIリストラ」されないよう、その変化に適応する残された時間は決して長くはないのです。