先日トランプ大統領が来日しました。日本政府は日本企業がアメリカで行う投資案件を最大4,000億ドル規模として公表しました。そして日本の名立たる大手企業のトップがトランプ大統領と直接面会したことがニュースで放映されました。その中にはソフトバンクの孫会長兼社長も出席しており、恐らく大規模電力インフラ整備に投資をすることを約束したと思われます。
なぜアメリカはこんなに電力が必要なのでしょうか。実はアメリカは深刻な電力不足なのです。トランプ政権のアメリカは電気自動車(EV)には後ろ向きですが、どこにそんな電力が必要なのか。実はそれはAIとデータセンターからの電力需要の急増によるものです。アメリカの上位5社テック企業(Microsoft、Meta、Google、AWS、Oracle)は合計3,170億ドルの設備投資を発表しており、今後1年間でデータセンター設備投資の約40%が電力インフラに投入されると予測されています。
そのエネルギー内容はどうなっているのでしょうか。天然ガスが約40%、原子力が約3%、石炭が約5%、太陽光が約40%、風力が約10%です。国土の広いアメリカでは太陽光や風力による発電は現実的でしょう。しかし発電ではなく配電に大きな課題があります。そこで各テック企業はオンサイト発電に注目し投資計画を練っています。
ところで、日本のエネルギー政策はどうなっているのでしょうか。令和7年2月に資源エネルギー庁が発表した「エネルギー基本計画の概要」を見ると、2040年度にはエネルギー自給率を30~40%(2023年の速報値で15.2%)程度を見込み、内容としては再エネが40~50%(同22.9%)、原子力が20%(同8.5%)、火力が30~40%(同68.6%)だと言うのです。
この40~50%を見込んでいる再エネって、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスのことです。そして、国内でこれらはすでに色々な問題を抱えています。太陽光パネルの設置で自然破壊が進み、地域住民との間で土砂災害や景観の影響など環境公害の問題があちらこちらで出ています。使用済みのパネルの処理も技術的にも経済的にもまだ確立されていません。すでに有害物質を含むパネルの不法投棄などが懸念されています。
風力発電も先日大規模な計画がとん挫したばかりです。秋田県沖と千葉県沖で計画されていた洋上風力発電プロジェクトが、三菱商事を中心とする企業連合が撤退を表明しました。企業の問題だけではなく、どう考えても国の試算が甘いとしか言いようがありません。
日本のエネルギー政策は本当にこれで大丈夫でしょうか。個人的には原子力や火力発電をもっと活用するべきだと思います。核廃棄物の処理は確かに問題が残りますが、実際は環境に影響が少なく経済的にも優れた発電です。火力発電も日本には優れたCO2 排出低減技術があります。それなのに再エネ、再エネって、これらの事業には利権が絡んでいるのです。誰かがどこからか恩恵を受けていて利益を享受しているのです。特にそれが政治家とつながっているとしか考えられません。
高市政権になったので、この問題にも鋭く切り込んでもらいたいです。そして、国にはもっと現実的で国民のためになる政策を考え、予算(税金)を使って欲しいです。
