One〜愛を教えて〜61 | step and go☆嵐が大好き✩.*˚羽生結弦くん応援!

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現在は主に、羽生くんの事、嵐さんの空想のお話を掲載しております。
(過去の嵐さんの空想のお話は、『Angelique』を再掲中です。他のお話については検討中です。申し訳ありませんが、ご容赦くださいませ)


「ただいまぁ」


マンションに戻って玄関のドアを開け、習慣で呟くと


「しょちゃん おかえりぃ」


って後ろに続いていたまさきが応えてくれて、


「まさきもおかえりぃ」


ってハグして背中をポンポンし合って、クスクス笑った。

一緒に消毒を終え部屋に入った。
そんなに広くないリビングなのに、ポンも、置いていた大きなケージも無くなったから、だいぶガランとして見える。


「ポンちゃん…ほんとに帰っちゃったんだね…」


「うん、でも明日だって変わらずにお散歩に行くし。いつでも会えるよ」


「そうだよね!
おばぁちゃん、元気に退院出来てほんとに良かったね」


「ポンもしっぽブンブン振って、おばぁちゃんに早速甘えてたしな。
あ、そういえば頂いた封筒、何だろね?開けてみよっか。とりあえずコーヒー淹れるよ」


「オレも手伝う!」


「ありがと」


狭いキッチンだから、時に身体の一部がまさきに触れる。

普段なら何でもないんだけど、ふたりっきりを意識して勝手に頬が熱くなる。
だって、白くてデカくて何だかちょっと人間じみたストッパーが居なくなっちゃったじゃん。。


──まさきと身体を重ねたいってのは、本能なのか欲望か?
その気持ちを止めようと必死になるのは、意気地無しなのか優しさか?
突っ走るのならそれは、イニチアシブか強引か?

もう、この二面性。
俺の気持ちの表目だけを、どうやったらまさきに伝えられるだろう。

あぁ、大人になって人との意思疎通もやりたい事も、割と自分の目論み通り叶えて来れたと思ってたのに。

まさきに関しては、それは効かない。
折角身につけて来た言葉の鎧やらの装備を捨てて、素っ裸の俺で挑む気分だよ。。

でも、そんな葛藤してる胸の内なんて、気取られたくない。


「明日の天気はどうだろね~、年内は又雪も降るかなぁ」


なんて適当な話題を口にしつつ、表面上は悠然とした態度に取り繕って、コーヒーを淹れた。


「どうだろね、降るかなぁ…」


ん?何だかまさきも、心ここに在らずって感じで頬が赤い…
いやきっとそれは、まだ帰ってきたばっかりで、室内が寒いからだよ、たぶん





コーヒーを飲んで、一息着いたところで、封筒を開けてみた。

A4サイズの書類みたいなのと、和紙に包まれたお金と、三つ折りにされた便箋と、


「これ、鍵?」


まさきが手に取ってまじまじと見てる。
一緒に出てきたのは、カードキーっぽい。


「どこの鍵だろ?
とりあえず手紙を読んでみるね。

えっと、時候の挨拶があって…

『この機会に、お二人に普段からの御礼をお伝えしようと考えました。
そして、先日ポンを海に連れて行って頂いたお話をして下さった際に、海の近くに別荘を所有していた事を思い出しました。この歳になると自宅が一番心休まるもので、今後利用する機会は無いだろうと考えました。もしよろしかったら、この別荘を御礼にさせて頂きたく』」


「べっそう??」


「うん、まだお手紙続いてる。
えっと、
『この別荘を御礼にさせて頂きたく存じます。
一度ご高覧頂き、お気に召したらどうぞ、差し上げます。』」


「えぇっ!?」


「差し上げますって、ねぇ……。
お金だって頂いちゃってるのに。
こっちの書類は…うわ、権利書と譲渡の書類だ。

う~ん、…お気持ちは有難いけどねぇ。資産的なものを譲り受けるのは手続きが結構困難なんだよ。
ただでさえ、今の政府の管理下じゃ、血縁関係の家族制度もその大部分が廃止されてるし、個人が亡くなって遺した財産は、例外なく全て国庫金に納入される仕組みだしね?
その代わり、社会的な整備に加えて、個々の養育費や医療費とかの膨大なお金も、国があまねく公平に面倒見てくれる訳だけどさ…。

さぁて、どうしますかねぇ」


「ん~、でも、すぐ断っちゃうのも失礼じゃないかなぁ…
お礼にって、おばぁちゃんいっぱい考えてくれただろうしさ」


「確かに、だよねぇ…。じゃとりあえず、この別荘に行ってみる?
えっと権利書の住所…。あれ?この間行った海の近くじゃないかな。
まさきがあの海で出会ったおじぃちゃん達の、住んでる別荘の近くに建ってるのかもよ」


「ほんと?なんかご縁感じちゃうかも!」


「ね。明日、おばぁちゃんに相談して、近いうちに日にち決めよう」


「うん!ワクワクするね!」


「俺も。なんか、点と点がどんどん繋がってく感じでワクワクする」


一週間後は24日。まさきの誕生日だ。
折角だから、その日に。

おじぃちゃん達にも連絡を取って、一緒にバーベキューとかやって、ワイワイお祝い出来たら。
まさきもきっと喜んでくれそうだ。




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