One~愛を教えて~40 | step and go☆嵐が大好き✩.*˚羽生結弦くん応援!

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現在は主に、羽生くんの事、嵐さんの空想のお話を掲載しております。
(過去の嵐さんの空想のお話は、『Angelique』を再掲中です。他のお話については検討中です。申し訳ありませんが、ご容赦くださいませ)


2120年12月


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昨夜まで降り続いた雨が上がり、朝の陽射しに照らされたテーブルは、コーヒーの入ったマグカップと、ドーナツをひとつ置いたお皿だけが載っている。


「いただきます」


いつものように手を合わせ、ニュースを眺めながら、もぐもぐと口に運んだ。

毎日色んな出来事が起こり、日々はあっという間に後ろに過ぎ去ってゆく。


雅紀が居なくなってから早一年が過ぎていた。

俺は家で仕事するのをやめ、常時ミュージアムに出勤するパターンに変えていた。
やる事は無限にあるもので、蔵書整理、資料補修、広報、展示等々、日々作業に明け暮れた。
家に帰る頃にはすっかり疲れ果て、何も考えず泥のように眠るだけ。

勿論雅紀との約束を守り、毎朝、今朝もこれからだけど。
おばぁちゃんの家に行き、近所のご高齢の方達のわんちゃんを集め、お散歩するのもちゃんと日課になっている。


「ごちそうさまでした。
さ、行くか」


空になった食器を重ね、シンクに置いた。


─おばぁちゃんも、雅紀が急に居なくなったことを寂しがった。
彼はトラベラーで、別の地へ行ったんだと話すと、
又ここに来てくれるかしらとしきりに尋ねられた。
梅干しの漬け方を教えてあげたいの、とても美味しそうに食べて下さったから、と。

そうですね、きっと、また来ますよ。

俺は笑顔を作って嘘をついた。



おばぁちゃん家への道や、スーパーへの道のり。
石の階段、どこかの猫の散歩、花屋の店先を彩るポインセチア。夕暮れ、はちみつのような太陽。
もう彼が帰ってくる事は無いと分かりきっているのに、街のいたるところにまだ雅紀との記憶が残っている。



寂しさを伴わずに、それらを思い出せる日がいつかは来るのだろうか。





「ワンワンッ♪ワンワンワン♪」



おばぁちゃんちに着き、ドアを開けると、早速ポンがしっぽをブンブン振ってお出迎えしてくれる。

この子も、この一年で随分と大人びたものだ。

最初の頃はいつも飛びつかれていたからね



「よしよし、おはよ、ポン。

昨日はポンが一番だったから、今日はラストで良いかな?ほかの子たちのお散歩終わるまで、少し待っててね」



「ワン♪」


「よしよし、聞き分けも良くなったねぇ。
じゃぁ、おばぁちゃん、行ってきます」


「行ってらっしゃい」


今日は小さい犬種の子たちから。
川沿いの土の道は、昨夜まで降り続いた雨が作った水たまりが所々にあって、避けながら歩いた。
雨上がりの空気は清々しくて、まさに、新しい朝が来たって感じ。


「綺麗な空」


冬にしては珍しい、青空を仰いだ。


・・・


中型犬種の子たちのお散歩も終わり、それぞれの子のお家に送り届けて、さぁ、ラストは一番でっかいポンの番だ。


「ポン、お待たせ~」


「ワンワンッ♪」


嬉しそうにその場でクルクル回った後、リードを咥えて持って来てくれた。


「よしよし、ありがとう」


しっかり装着して、おばぁちゃんにもう一度、行ってきますって声を掛けて出発した。



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