Warm Evenings, Pale Mornings, Bottled Blues | とりたちのこえをきく

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気が向いたときに更新。

自分用メモと感想置き場です。The Byrdsとか好きです。

Warm Evenings, Pale Mornings, Bottled Blues: 19.../Gram Parsons
¥2,232
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なぜだろう…なぜかしら…「レイヴンさんの編集盤はとっても素晴らしいけど、これはレアトラック無いし買わなくていいか!」ってスルーし続けてたのにいつの間にか買っていたよ!
というか買ってから気付いたけどさ、(自分にとっての)レアトラックあったよ!買って良かった!!!大馬鹿やろう!!!気付くの遅いよ!!!

 

いつもは「ここを閲覧している人はとりあえず知ってる」前提なので、詳しい話はばっさり切って書いていないけれど、たまには趣向を変えて、これからグラム・パーソンズを聴いてみようという人を想定して、少し詳しく紹介する風を装い、書きたいことだけ書きまくろうと思います。
年内最後の更新だからさ。たまには。すいません。
自分の感想とうろ覚え情報を織り交ぜるので、まあ適当に読み流してね。



今回取り上げるのは、オーストラリアのレーベル「RAVEN RECORDS」から1994年に発売された、グラム・パーソンズの編集盤。キャリアが短いものだからベスト盤らしいベスト盤があんまりないので、ちょっとグラム・パーソンズに興味があるって人が買うのにちょうどいいと思うよ。
同じく、グラム・パーソンズの経歴に沿って曲を集めているアンソロジー「Sacred Hearts & Fallen Angels 」もあるよ。二枚組で、いまここで紹介している「Warm Evenings,~」とも収録曲はやや被っているけれど、そちらも丁寧に作られている編集盤なので、コレクターは買うと吉。
 

この編集盤のタイトルは、17曲目に収録されている「Brass Buttons」の歌詞一部。どうして、どうしてこの部分の歌詞取ったの!何なの!良いよ!すごく良い!淡くて美しい情景が、目に浮かぶようだね!
ジャケ写のぼんやりとした雰囲気と合っている。

 

ライナーはGlenn A. Bakerさんという、オーストラリアのコメンテーターが書いている。
日本国内盤は1995年にVIVID SOUNDより発売、宇田和弘さんの解説がついているよ。


初心者向け!グラム・パーソンズベスト盤!Gram Parsons Best!おすすめ!カントリー・ロック!ヤク中!たれ目!(検索用文字列)





収録曲

01. Zah's Blues

02. Blue Eyes
03. Strong Boy
04. Truck Driving Man

05. Hickory Wind
06. The Christian Life
07. Reputation
08. One Hundred Years From Now

09. Hot Burrito #1 (I'm Your Toy)
10. Christine's Tune (A.K.A. Devil In Disguise)
11. Sin City
12. The Dark End Of The Street
13. Wild Horses

14. She
15. The New Soft Shoe
16. We'll Sweep Out The Ashes In The Morning
17. Brass Buttons
18. Return Of The Grievous Angel
19. Drug Store Truck Driving Man
20. Brand New Heartache
21. Love Hurts



グラム・パーソンズ 1946-1973


アメリカ出身のミュージシャン。
カントリーとロックを融合させた「カントリー・ロック」のパイオニアのひとりとされる。(彼自身は「カントリー・ロック」ではなく「コズミック・アメリカン・ミュージック」と言っていた。わたしも個人的にはコズミック~の名称の方が素敵だなと思うけれど、残念ながら普及しなかったようだ)

音楽が好きな自分のためにママとパパがクラブ丸ごと買ってくれるような裕福なおうちに生まれたが、その両親がアル中だったり自ら命を絶ってしまったりと、経済面以外では恵まれていなかった。
そんな家族の中、妹だけが心の拠り所だった模様。

以下、曲名の後ろに作者を記す。

[ The Shilohs ]
01. Zah's Blues - Gram Parsons


学生時代に結成したシャイローズというバンドでの録音。1963年。わたしの耳ではひとりでの弾き語りに聴こえるけれど、バックにベースがついているらしい。「Another Side Of This Life」(初期音源集)での録音とは別物のようだ。
ザーという女性シンガーについての、けだるい感じのジャジーな曲。


せっかく入学したハーバード大学を辞め、音楽活動に専念し始めたグラム・パーソンズは、次にインターナショナル・サブマリン・バンドという何でこんな長い名前にしたんだろうっていうバンドを結成する。このあたりでグラム・パーソンズは、バンドメンバーの影響でカントリーに目覚めたのだった。
 

[ International Submarine Band ]
02. Blue Eyes - Gram Parsons
03. Strong Boy - Gram Parsons
04. Truck Driving Man - Terry Fell


02と03は、1968年「Safe At Home」収録。
爽やか度マックスのカントリー・ロックアルバムであり、創成期の名盤だと思う。まだまだ未成熟ではあるけれど、若さと勢い、可能性を感じる。
04は、アルバムに先だって1966年にリリースされたシングル曲。多分、初めてCDに収録されたんじゃないかと!思います!他の2曲に比べると音質は良くない。
(ところで02に「A pretty girl to love me with the same last name as mine」という歌詞が出てくるんだけれど、これは妹ちゃんのことなのかな?)

 
そして同年、なんと「Safe At Home」発売前にインターナショナル・サブマリン・バンドを脱退。それと同時にバーズという、音楽の変遷が激しいバンドに加入。
生き急いでんのか。思いついたらすぐ行動するタイプだったんだろうなぁ。
(確か)ジャズピアニストとして採用されたはずなのに、出来上がったアルバムはカントリー・ロック。
グラム・パーソンズさんはそれがやりたかったので、本懐を遂げる事ができて大満足だっただろうね。
 

[ The Byrds ]
05. Hickory Wind - Bob Buchanan / Gram Parsons
06. The Christian Life - Charlie Louvin / Ira Louvin
07. Reputation - Tim Hardin
08. One Hundred Years From Now - Gram Parsons


05は1968「Sweethert Of The Rodeo」収録。
06~08は、後年リリースされたリマスタ盤CD及びレガシイエディションに収録。
(06は「Sweethert Of The Rodeo Legacy Edition」Disc1の16曲目、07は「Sweethert Of The Rodeo」リマスタ及び「~ Legacy Edition」に収録されている。08は「Sweethert Of The Rodeo Legacy Edition」Disc1の18曲目と多分同じ)
前述したとおりこの時点ではまだ、インターナショナル・サブマリン・バンドのアルバムが出ておらず、そちらの契約も残っていた。
これについて問題が起こるのを危惧したバーズ側のレコード会社が、多くのトラックをグラム・パーソンズボーカルから他のものに差し替えたため、こんにちではたくさんの同曲別テイク別ボーカルが聴けるのである。
(嬉しいけれど、リマスタボートラ・レガシイ・過去何度か出ているボックスセットに散らばって収録されているので、同テイクなのかどうなのか照合するの大変なんだよね。こういう記事書くときに)
05はインターナショナル・サブマリン・バンドのボブ・ブキャナンとの共作で、グラム・パーソンズの代表曲といってもいいくらいの名曲。多くの歌手がカバーしているよ。
冒頭の「In South Carolina…」の後に咳が入ってる。犯人はマッギンかヒルマンだな。
08も、グラム・パーソンズの伸びやかな歌声が素晴らしい。


バーズで好き勝手やってたのも束の間、今度は「Sweethert Of The Rodeo」発売後にすぐ脱退。
次いでバーズを脱退したクリス・ヒルマンらとともにフライング・ブリトウ・ブラザーズというまたわけの分からない名前のバンドを結成。もうそのフットワークの軽さに脱帽。


[ Flying Burrito Brothers ]
09. Hot Burrito #1 (I'm Your Toy) - Chris Ethridge / Gram Parsons
10. Christine's Tune (A.K.A. Devil In Disguise) - Chris Hillman / Gram Parsons
11. Sin City - Chris Hillman / Gram Parsons
12. The Dark End Of The Street - Spooner Oldham/ Dan Penn
13. Wild Horses - Keith Richards / Mick Jagger


09~12は1969年「The Gilded Palace of Sin」、13は1970年「Burrito Deluxe」収録。
個人的にはこの時期のグラム・パーソンズが一番好きです。
09や13で聴ける、グラム・パーソンズの魂がこもった歌もそうだけれど、10~12でのクリス・ヒルマンとのツインボーカルが最高過ぎて最高過ぎて。いやあ。
「The Gilded Palace of Sin」は「Sweethert Of The Rodeo」とまた少し違った感じの、カントリー・ロックアルバムに仕上がっている。さらに発展させたというか、「Sweethert Of~」は乾いた感じだけれど、「The Gilded~」はR&Bの要素も入り、湿度が感じられる。


思い描いていた音楽とバンドを楽しくやっていたのも数年で、また早くも脱退してしまうグラム・パーソンズ。
アルコールとドラッグによって活動に支障をきたしていたり(絵に描いたようなロックスターだな)、キース・リチャーズと一緒に居たかったりで、ブリトウズ自体に興味を失っていたようだ。
そしてまあ、いろいろあって、1973年ソロでアルバムをリリースする。

 
こんなにも自由な振る舞いができたのは、やっぱり経済的な余裕があったからだろうな。
反面、常に心に余裕はなく、恵まれた人生だったわけじゃなかった。グラム・パーソンズにとっての音楽は生活の糧ではなく、なんだったんだろうね。
 

[ Gram Parsons & Emmylou Harris ]
14. She - Gram Parsons / Chris Ethridge
15. The New Soft Shoe - Gram Parsons
16. We'll Sweep Out The Ashes In The Morning - Joyee Allsup


14~16は1973年「GP」に収録。
フライング・ブリトウ・ブラザーズのようなけばけばしさ・危うさが薄くなり、カントリーに近くなったサウンド(に、わたしは聴こえる)。クリス・ヒルマンが見つけてきた女性歌手、エミルー・ハリスがデュエットしているお陰もあると思う。デュエット曲は多いけれど、ここでは16のみ。
(ちなみにこの編集盤だと「Gram Parsons & Emmylou Harris」と書かれているのでそのとおりに表記しているけれど、「GP」も次に書く「Grievous Angel」もソロ名義の作品である)


続いて二作目のソロアルバムの収録を始めるが、その頃には心身ともにぼろぼろの状態で、歌うのがやっとだったと言われている。(曲自体もカバーや昔作った曲が多いし、声が弱々しい)
同年とうとう、二作目のアルバム完成させてハイになっていたのか、お気に入りのヨシュア・トゥリーのモーテルで、酒とくすりをやりすぎて天に召される。享年26。いつ死んでもいいと思っていたのか、それくらいでは死なないと思ってたのか。


人の生き死ににこういうこと言うのは不謹慎だけれど、あと数ヵ月後に亡くなっていたら27歳だったんだなぁと思った。

[ Gram Parsons & Emmylou Harris ]
17. Brass Buttons - Gram Parsons
18. Return Of The Grievous Angel - Gram Parsons
19. Drug Store Truck Driving Man - Roger McGuinn / Gram Parsons

20. Brand New Heartache - Boudleaux Bryant / Felice Bryant

21. Love Hurts - Boudleaux Bryant


17、18、21は1974年「Grievous Angel」、収録。亡くなった翌年にリリースされた。
19は1982年「Live 1973」、20は1976年「Sleeples Nights」収録。

「Grievous Angel」も前作と同じく、エミルー・ハリスとのデュエット曲が多い。20、21はデュエット曲。
17は個人的にとても好きな曲。亡くなった母への歌。
19はバーズ時代に書かれた曲で、バーズもグラム・パーソンズ脱退後のアルバムで録音している曲。グラム・パーソンズ版の方はが好きだなぁ。1973年のライブを録音したもの。
20は、録音自体は1973年の「Grievous Angel」を作っているときのものなのに、信じられないくらい毒気が抜けた、澄んだ声で歌っている。一時的に回復していたのかな。エミルー・ハリスとのデュエットである。
少年のようにちょっとはにかんだ歌い出しで、かわいい。


裕福だけれど家族に恵まれなくて、アルコールとドラッグに蝕まれながらも好きな音楽を追い続け、自分勝手ともとれる行動をしてきたのにも関わらず周りには人が集まり、他にはない感性とカリスマ性を持っていたのに、誰にも救われず死んでしまったグラム・パーソンズ。
わたしは当事者ではないのでこういうイメージ。そんな最後は残念ではあるけれど、改めて、グラム・パーソンズさんが短い生涯の中で、こんなにも素晴らしい音楽を残してくれた事に感謝します。












今年もご覧いただきまして、ありがとうございました。
引き続き好き勝手やっていこうと思います。
もう少しまともで、テンポの良い文章が書きたいなあ。改稿もしたい。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。