片側二車線の道で信号待ちしていたら、右側車線にカートレーラーが停まった。まぁ何ということも無い普通のことなのだが、長い信号だったので、ふと積んでいる車を見たらなんとも懐かしい“いすゞのビッグホーン”が乗っている。ビッグホーンといえば売れた車ではなかったが、内装は不評でもオフロード向きの足回りに特化してマニアに熱狂的人気があったSUVだった。
ただ、そのビッグホーン普通じゃなかった。ボディ全体が泥にまみれていて、ところどころコケがついている。いくらオフロードを走ったとはいえここまで汚れるとも思えない。たとえ泥まみれになっととしても普通は洗うだろう。あくまでも勝手な推測だが、トレーラーが走ってきた方向や出会った場所からすると先日の桧木内川の氾濫に巻き込まれて水没してしまった車かもしれない。東日本大地震の映像で視た津波にのまれた車のようだった。
ビッグホーンは25年ほど前にいすゞがトラック専門メーカーになって終売した車である。それから大切に乗り続けていたのではないか。いすゞも持っている部品数も少なくなっている。それでも部品を探してメインテナンスを施してたのだろう。そんな車を突然の豪雨災害で失ってしまったオーナーの心持ちは察してもあまりある。
運んでいたトレーラーは春日部ナンバーだった。廃車にした車であってもマニア人気が高い車だから買い手がついたのだろうか。そうであれば少しは長く乗り続けたオーナーの慰 めになったのかもしれない。