ウルトラセブンは日本の特撮ドラマでNo.1の評価を受けている作品ではないだろうか。理由の1つは全49話あることであると思う。ウルトラマンは39話、これは円谷プロがあまりに丁寧に作りすぎて制作費とのバランスが取れなくなって終了してしまったが、今なら13とか26話ぐらいである。49話あったから円谷一監督や満田かずほ監督のド直球の作品があって、「狙われた街」「ノンマルトの使者」「超兵器R1号」「第4惑星の悪夢」「円盤が来た」「ダークゾーン」「盗まれたウルトラアイ」などの変化球が製作出来て、その変化球の各話が指示されてウルトラセブンは名作に押されたと思う。
ウルトラセブン全49話の中で唯一再放映もDVD発売も解説本に載ることもないのが第12話「遊星より愛をこめて」である。監督:実相寺昭雄、脚本:佐々木守というウルトラマンで「故郷は地球」や「恐怖の宇宙船」「空の贈り物」などのキレキレのド変化球投げ込んだコンビである。ウルトラセブンでは唯一のコンビ作品となった。
「遊星より愛をこめて」だが作品の内容で封印されたわけではない。きっかけは昭和45年11月発行『小学校2年生』に掲載されたスペル星人=「ひばくせい人」の説明書きであった。これが読者の父親である原爆被害者団体の幹部に相談し、父親が小学館に手紙を書き朝日新聞が無断で記事にしたことから大問題になってしまった。結局、円谷プロは12話を欠番にし、1回だけレーザーディスクの初回で発売されたことがあったが、以後あらゆるメディアのへの露出を封印してしまった。
その後「欠番」「幻の12話」とだけ伝えられていたが、1980年代になってレーザーディスク版のコピー版やハワイで放映されたハワイ版(全体に赤みが強い映像)とその他数種類のバージョンがビデオデッキ普及に伴って各種コピーテープが高額で販売されるようになった。東京埼玉連続幼女誘拐殺人事件の犯人の宮崎勤が「遊星より愛をこめて」のビデオを特別視したことが話題になったりした。最近はコンプライアンス関連が厳しくなったため、まずYouTubeにアップロードされることが無くなったが、以前は「遊星より愛をこめて」がYouTubeで違法アップロードされることがあった。
1回だけ「遊星より愛をこめて」をYouTubeで視る機会があった。赤みが強い画面だったのでおそらく「ハワイ版」だったと思うが、やたらに、いわゆる「実相寺アングル」がたっぷりなのにストーリーは腕時計の謎が破綻している。「幻の12話」やっとが視られたと思ったがウルトラセブン49話の中ではしくじった作品だと思う。
ウルトラセブンの評価が高い現在、不幸にも欠番になってしまった「遊星より愛をこめて」であるが、自分の視た感じでは視られくなって良かったんじゃないかと思えるぐらい失敗作であったと思う。欠番になったおかげでウルトラセブンは名作の評価が維持出来ているのかもと思う。