DIAMOND ~ダイヤモンド~
世界で最も高価な宝石「ダイヤモンド」
その起源は、約45億年前と言われています。
◆ダイヤモンドの名前の由来
「ダイヤモンド」と名付けられた由来は諸説あります。
ギリシャ語で「adamas(アダマス)」(無敵の意味)が語源だという説。
また、「damazein」(征服する)に、否定を表す「a」を組み合わせた「adamazein(何も征服できない)」が語源だという説。
「adamazein」がラテン語で「adamant」になり、否定の「a」を除いた、「diamond」になったと言われています。
現在、流通しているダイヤモンドは約45億年前に地下深くで、炭素に高温・高圧がかけられ、
マグマの噴出とともに地表近くに現れたと言われています。
◆最初の発見
最初にダイヤモンドの原石が発見されたのは「インド」です。
発見された当初は、あまりに硬く、研磨する事も加工する事もできず、後に美しい宝石になるとは誰も想像がつきませんでした。
1475年ベルギーのルドウィグ・ヴァン・ベルケムが、ダイヤモンドでダイヤモンドを磨くという技術を発明。
そこから、美しい輝きをもつ宝石として認知されていきました。
当時はインドでしか採掘されないと考えられていた為、「インド石」と呼ばれていたそうです。
しかし、1728年にブラジルでも発見され、19世紀になると南アフリカでも発見されるようになりました。
◆ダイヤモンドは永遠の輝き
起業家セシル・ローズは、1888年De beers Consolidated Mines Limited(デビアス合同鉱山株式会社)を設立し、1900年には、ダイヤモンドの原石の約90%を支配するようになります。
そして、ダイヤモンドの価値・価格が下落しないよう供給量をコントロールしていったのです。
また、この頃に誕生したのは、「ダイヤモンドは永遠の輝き」というキャッチフレーズ。
これもデビアス社によって作られました。
ダイヤモンドを「愛」と「永遠」の象徴として、マリッジリングやエンゲージリングとして宣伝する事で現在のイメージを定着させます。
◆ダイヤモンドの発掘量
ダイヤモンドの発掘量は、当初100万カラットに満たない量でしたが、1920年代には300万カラットに、1990年代には年間1億カラットを超える量になりました。
1970年後半での、世界最大産出国は、南アフリカ、ザイール、旧ソビエト連邦。
しかし、1982年ボツワナで生産性の高い新鉱山が現れた事で一気に産出国世界第3位に、
ダイヤモンドの価値は2位へと躍進を果たします。
その後も、オーストラリア、カナダで新鉱床の発見により、それまでのデビアスの独占状態から世界のダイヤモンド市場は劇的に変化していきます。
◆世界一有名なダイヤモンド
ダイヤモンドは、その美しさ・稀少性から、多くの権力者、富裕層に愛されてきました。
その為、様々な伝説が残っています。
中でも有名なダイヤモンドをご紹介します。
ホープダイヤモンド
アメリカのスミソニアン博物館のひとつ国立自然史博物館に所蔵されている、45.5カラットのブルーダイヤモンド。
17世紀、フランス人の、ジャン・バティスト・タベルニエがインドからフランスに持ち帰ります。
その後、ルイ14世、ルイ16世、マリーアントワネットと渡り、フランス革命中に行方不明に。
しばらく後に、宝石コレクターヘンリー・フィリップ・ホープが所有。
孫の遺産相続の際に「ホープダイヤモンド」と名付けられたと言われています。
しかし、ホープ家の破産により、ロンドンの宝石商、アメリカのダイヤ商へと売却、その後パリのソロモン・ハビブに売却されますが、破産によりパリの宝石商に売却。
持ち主が死亡したり破産したりと、次々と不幸に見舞われる事から「ホープダイヤモンドは災いをもたらす」という伝説がささやかれます。
そして、1910年カルティエが購入します。ワシントンポストのオーナーの息子の妻に売却されますが、債務返済の為
1949年ハリーウィンストンに売却されます。
ハリーウィンストンは、アメリカ国民の為にと、スミソニアン自然史博物館へ寄贈し現在も展示されています。
カリナンダイヤモンド
1905年南アフリカのプレミア鉱山で発見された、3106カラットの原石。
この鉱山の会長である、トーマス・カリナンの名前から名付けられています。
原石は、バッキンガム宮殿に送られ、エドワード7世に献上されます。
エドワード7世は、オランダの宝石商の末裔、ジョセフ&アブラハム・アッシャー兄弟に原石のカットを依頼します。
(※ジョセフは後にアッシャーカットを発明した人物)
カリナンダイヤモンドは、9石のダイヤモンドにカットされます。
王冠やブローチ、ネックレスとなったカリナンダイヤモンドは、現在エリザベス女王が身に着ける事で目にする事ができ、普段はイギリス王室の財宝が保管されているロンドン塔で所蔵されています。
アルコット
インドのアルコットという街のナワブが所有していた事から、名付けられた、2粒の大きなペアシェイプダイヤモンド。
ナワブから、イギリス妃シャーロット、ジョージ3世、ウィリアム4世の妻、ウエストミンスター侯爵、パリのジュエラー(ラクロッシュ)へと渡り、1959年サザビースオークションでハリーウィンストンに渡ります。
ここで30.99カラットと、18.85カラットに再カットされ、ペアではなくなります。
その後、大きなダイヤモンドはヴァンクリーフ&アーペルのネックレスになり、1993年クリスティーズオークションで、サウジアラビア人に落札されます。
ティファニーダイヤモンド
ニューヨーク本店に展示されている巨大なイエローダイヤモンド。
1877年に南アフリカ、キンバリー鉱山で、287.42カラットの原石が発見されます。
1879年ティファニーの宝石鑑定士ジョージ・フレデリック・クンツ博士のの立ち合いのもと、128.54カラットのクッションシェイプのブリリアントカットにカットされます。
現在は、「Bird on a Rock」という、ダイヤモンドの上に鳥が乗ったデザインになっています。
ボー・サンシー
16世紀後半、ダイヤモンド収集家 ボー・サンシーがイスタンブールで入手した
35カラット、ペアシェイプのローズカットダイヤモンド。
その後、フランス国王アンリ4世、息子のルイ13世に渡ります。
そして2012年サザビーズオークションにて、904万2500スイスフラン(約7億7000万円)で落札。
ダイヤモンドの輝きは古来より人を魅了してきました。
このような破格の金額がつけられるのも、その魅力の現れですね。
次回は、ダイヤモンドの品質についてお話したいと思います。
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