看取り期六週目③ その前日 | それでも実家は売れました。 〜施設に入所した親の家の片付けと見守り介護日記〜

それでも実家は売れました。 〜施設に入所した親の家の片付けと見守り介護日記〜

片道6時間の実家に暮らす母を近くに呼び寄せることになったのは、息子の小学校入学の一か月前。ドタバタの引越しから施設入所、物と思い出がいっぱいのまま空き家になった親の家の片付け。たった1人で270kmの道のりを何度も通い、家族の歴史と初めて向き合います。 

母が退院して六週目の水曜日

その日は兄の三回目の

面会予定日でした。

 

 

旦那は仕事の繁忙期がひと段落して

今日から八日間の夏期休暇

 

 

息子の塾の夏期講習は盆前の

金曜まで続き、水・金の夜19時から

三者面談の予定が入っていました。

 

 

夏休み前のテストで頑張って

塾のクラスが上がった小四の息子

 

新しいクラスに入った途端

難しくなった内容について行けず

テストで撃沈ぎみ、、

 

 

一緒に勉強もしてあげたいけど

その日は塾の宿題に付き合うのも

算数と理科の先生との面談も

すべて旦那に押し付けて

朝から母の部屋へ向かいます。

 

 

 

朝、8時半前に部屋に入ると、

母のベットの横には 心配そうに

サ責さんが立っていました。

 

 

(サ責さん)

 「昨日と変わらないご様子です」

 

 

長くながく続く傾眠と

15分~20分おきに起きるケイレン

 

 

(サ責さん)

 「今日、お兄さま来られるご予定ですよね

 何時ごろですか?」

 

 

(私)

 「仕事が終わるのが3時なので

 夕方4時頃 グループホームの方に

 連れてきて頂くことになってます」

 

 

この日は兄のお迎えも

移動支援を手配していました。

 

 

(サ責さん)

 「もう少し早く来て頂くことはできませんか?」

 

 

(私)

 「えっ?

 早い方がいいですか?」

 

 

(サ責さん)

 「はい、少しでも早い方が、、」

 

 

その言葉の意味は

確認しなくてもわかりました。

 

この日は訪問医が

「あと2.3日、、」と言った3日目に

あたる日でもあったのです。

 

 

私は兄のいる

障害者グループホームの世話人さんに

 

 「母の容態が良くないので、

 兄を少しでも早く連れてきて欲しい」と

 

連絡しました。

 

 

兄のホームではすぐに

車の手配をしてくれ、一時間もしないうちに

兄を母の施設まで送り届けてくれました。

 

 

施設の玄関で送迎のお礼を言い、

エレベーターで母の部屋へ向かいます。

 

 

(兄)

 「お母さんが

 危ないって聞いたんだけど、、」

 

 

(私)

 「うん、この前会ったときとは違うよ」

 「もう喋れないし、苦しそうにするから

 びっくりせんといて」

 

 

部屋に入り、

母の様子をみた兄は

 

 

(兄)

 「前と全然違うね、、」

 

 

そう言ってしばらく呆然と

母の顔を見ていました。

 

 

前回の兄との面会の様子はこちら↓

 

今日は長い1日になるな、、

そう思った私は、また千羽鶴を折り始めました。

 

 

(私)

 「ヒマやから一緒に折る?」

 

(兄)

 「ぼく、鶴折れないよ

 折ったことない、、」

 

 

兄貴は手先が不器用で

細かい作業は苦手でした。

 

 

(私)

 「じゃあ、途中まででいいよ。

 続きは私が折るからさ

 三角になるように半分に折って、、

 またその半分

 この間に指を入れて四角をつくるとこまで」

 

 

(兄)

 「わかった、、」

 

そう言って、

二人で黙々と母の横で

鶴を折り始めました。

 

 

(兄)

 「お母さん、なんかへんになってる

 震えてるよ」

 

 

(私)

 「うん、苦しそうやろ、、

 20分おきくらいにこうなるんよ」

 

 

そういって、

母のケイレンにも慣れてきた私は

声をかけながら背中をさすりました。

 

 

 

(私)

 「耳は聞こえてるらしいよ、

 お母ちゃんに言いたいことがあったら、

 ちゃんと言っておきな」

 

(兄)

 「・・・・」

 

 

そんなふうに言われても

兄はどうしたらいいかわからない様子です。

 

 

(私)

 「今日は自分で納得のいくまで

 お母ちゃんのそばにいていいから」

 

 

この長い1日は

アルバムを見たり、

ラジオを聞いたりしながら、

母の横で家族3人で静かに過ごしました。

 

 

夕方になり兄が

かなり疲れた様子だったので、

 

 

(私)

 「今日はどうする?

 一旦 自分の部屋に帰ってもいいし、

 このままここにいてもいいけど、、

 

 私は、今晩ここに泊まると思う」

 

 

(兄)

 「一旦 部屋に帰りたい」

 

 

兄は体力もないし、

環境の変化にも弱いので

この部屋にいきなり泊まるのは

無理なことだと思っていました。

 

 

(私)

 「この状態がいつまで続くかは私にも

 わかんないんよ

 今晩 死んじゃうかもしれないし

 明日も、あさってもこの状態かもしれない

 

 明日の朝、仕事に行くか

 ここに来るかは自分で考えて決めて

 

 来たいと思ったら、すぐ電話するんやで」

 

 

(兄)

 「わかった」

 

 

兄は夕飯に間に合うように

旦那に頼んでグループホームまで

車で送ってもらいました。

 

 

 「今日はこの部屋に泊まろう」

 

 

布団も パジャマもないけど

 

 

あっ、

歯ブラシもメイク落としもないや、、、

 

 

つづきます

家族3人の時間、、お父ちゃんもそこにいた気がした

 

 

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