看取り期五週目➄ ケイレンから始まった母の急変 | それでも実家は売れました。 〜施設に入所した親の家の片付けと見守り介護日記〜

それでも実家は売れました。 〜施設に入所した親の家の片付けと見守り介護日記〜

片道6時間の実家に暮らす母を近くに呼び寄せることになったのは、息子の小学校入学の一か月前。ドタバタの引越しから施設入所、物と思い出がいっぱいのまま空き家になった親の家の片付け。たった1人で270kmの道のりを何度も通い、家族の歴史と初めて向き合います。 

 「財布に5万円入っとるから

 お前らみんなで好きなもの食べてこい」

 

 

そういって 

気前よく私たちを送り出してくれた母

 

 

翌日の午後

塾の送迎の合間に部屋を訪れると、

 

母は昨晩からずっと

眠り続けているようでした。

 

 

どうも兄貴に会った次の日は

張り切りすぎるのかダウンする 

 

この日も朝から微熱があるらしい

 

 

同じ目を閉じている日でも

スースー寝息をたてて

気持ちよさそうに眠っている日もあれば

 

 

今日の母は 

うわごとのように何かを言ったり

たまに目を開けて

私の名前を呼んだりして

少ししんどそうに見えました。

 

 

こんな日はゆっくり眠らせてあげよう

 

 

 

そう思った私は、

母の横でFMラジオをかけながら

千羽鶴の続きを折っていました。

 

 

 

ところが、一時間程過ぎたころ 突然、

目の前で眠っていた母に異変が起こります

 

 

 全身を揺さぶる程の激しい痙攣

 

 

 目をカッと見開き、

 

 

 顔が大きく左にゆがみ

 

 

 呼吸も荒く

 

 

 口からは泡のようなものが

 次々あふれてきます

 

 

 

あまりの急変に驚いた私は、

 

「お母ちゃん、お母ちゃん」 と

 

大声で呼びながら

ナースコールを何度も押しました。

 

 

 

誰か来て 早く

 

 

何でこないの

 

 

我慢できなくなり 部屋を出て

ダイニングにいた

スタッフさんを呼びました。

 

 

同時に

看護師さんも部屋に駆け付けます。

 

 

看護師さんは

母の名前を呼びかけながら

 

唾液が喉につまらないよう横にして

背中をさすってくれました。

 

 

スタッフさんは口から次々でてくる

泡をテッシュでふいてくれます。

 

 

しばらくして、看護師さんが

 

 「痙攣をとめるのに使えるお薬がないか

 医師に確認してきます」

 

と部屋を出たので

 

 

私が看護師さんに変わって

同じように

母の背中をさすり続けました。

 

 

そうなんだ ここは施設、、

 

こんなに苦しくても

こうして 背中をさすってあげることしか

できないんだ、、

 

 

私は口の奥で何か苦い物が

流れるのを感じました。

 

 

ごめんね ごめんね

 

 

こんなに苦しめて

 

 

何もしてあげられなくて 

 

 

ごめんね

 

 

何もできない自分が

悲しくて 涙があふれてきます。

 

 

看護師さんが座薬を入れてくれて

母の痙攣はおさまったかと思うと

また繰り返しおこり

 

気づくと一時間以上が経過していました。

 

 

「もう一回だけ使えるので、、」

 

 

そう言って二個目の座薬を母にいれると

少し落ち着いてきたように見えました。

 

 

(看護師さん)

 「お時間大丈夫ですか?」

 

(私)

 「あ、、息子を迎えに行かないと、、」

 

 

(看護師さん)

 「今でしたら大丈夫と思います

 迎えに行ってあげてください」

 

 

私は後ろ髪をひかれる思いで

息子のいる塾まで自転車を走らせます。

 

 

外は夕立がポツポツ降り出し

泣いているのか雨で濡れているのか

わからない顔になりました。

 

 

(私)

 「おつかれさま

  今日はどうだった?」

 

 

(息子)

 「楽しかったー」

 

 

(私)

 「あのね、塾で疲れてるとこ悪いんだけど

 今からおばあちゃんのとこまで

 一緒に行ってくれる?」

 

 

(息子)

 「え?何で」

 

 

(私)

 「、、、おばあちゃん、具合が悪くて

 死んじゃうかもしれないんだ」

 

 

(息子)

 「そうなんだ、、わかった」

 

 

私の後ろで

小さな自転車を必死で漕ぐ息子に

前を向いたまま聞いてみます。

 

 

(私)

 「今から死んじゃいそうな人に会うの

 怖くない?」

 

 

(息子)

 「、、、うん、怖いかも」

 

 

小雨の中、15分程自転車を走らせ

母の施設へ戻ると

二回目の座薬が効いたのか

母は眠っていました。

 

 

後ろを振り向くと

目をギューっと固く閉じて

手探りでゆっくり部屋に入ってくる息子

 

 

(私)

 「あんた 何してんの?」
 

 

(息子)

 「怖くて 目が開けられないから

 目を閉じたまま進んでる、、」

 

 

(私)

 「・・・ ((゜.゜))」

 

 

そっか、やっぱり怖いよね

「死」って怖い

 

 

でもきっと

おばあちゃんはもっと怖くて

苦しいよ、、

 

 

 

旦那に電話をかけ、

事情を話すと

 

「できるだけ早くそっちに行くわ」

 

と仕事を早めに切り上げて

駆けつけてくれました。

 

 

旦那も 昨日の母との違いに

驚いたようで

 

 

(旦那)

 「大変やったね 

 お母さん しんどそうや、、」

 

 

(私)

 「ごめん、まだ仕事やったのに

 

 (息子)くんとどこかでご飯たべてきて

 

 私、心配やからもう少しここにいるし

 自転車は置いてタクシーで帰ってくれていいから」

 

 

(旦那)

 「おれ 明日どうしても

 仕事休めないんやけど、大丈夫かな」

 

 

(私)

 「お母ちゃんが 今日か明日に死ぬかって 

 私に聞いてるの?

 そんなこと、誰も知らんわ!」

 

 

せっかく来てくれた旦那に

また キレて 当たる私

 

 

その日は22時半頃まで

母のそばにいましたが、

様子に変化がなかったので 

一旦家に帰ることにしました。

 

 

 「少しでも母に変化があれば、

 遠慮なく 何時でも電話下さい」

 

そう夜勤のスタッフさんに念押しして

 

 

もちろん 母にも

「またくるね」 と声をかけて

 

ちなみに お化け屋敷にも絶対入りません

 

 

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