【著者とのコラボ記事】



■持続可能な世界に向けた新たな環境教育
藤村コノヱ

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英会話教師をしているカナダ人の友人が「日本の高校生・大学生の精神年齢は、実年齢×0.8でまるで子ども」とよく言います。

「あなたは何になりたいか」と訊ねても、「わからない」「考えていない」と答える高校生や大学生が殆どで、例えば、社会で話題になっていることに対する意見を求めても、ほとんど答えは返ってこないそうです。

私も時々大学で講義をするのですが、環境問題について質問してもありきたりな回答しか返ってこなかったり、政治や選挙にも関心がないという学生が多いようです。

私が所属するNPOには、損保ジャパンが行う「CSOラーニング制度」を活用し、環境NPOの活動を学ぼうというインターン生が毎年やってきます。

勿論、彼らは環境に関心があるので、一般の大学生よりは熱心にいろんな質問をしてきますが、「そんな話を仲間同士でするの?」と訊ねると、「しません。意識高い系と言われて敬遠されるから」と言います。

要は、社会的な課題など深い話はしないということのようです。

日本の教育については、従来から、画一的で、知識偏重で、一方的授業、と言われてきました。
そのため、最近は学校現場でも、学習者が能動的に考え学習するアクティブラーニングや、体験・対話型授業など様々な試みも始められているようです。

しかし、教育内容は増える一方で、教員数は減少し、授業以外の雑務も多いという状況はほとんど変わっておらず、手間暇かかるこうした手法に切り替えることは教員にとって最初はかなりの負担です。

一方、聞くだけの授業に慣れ、暗記さえすればそれなりの成績が取れる生徒たちにとっても、面倒な議論で時間を費やすより、淡々と授業を受けた方が楽という面もあるのかもしれません。

そうしたことも影響してか、国や社会に対する18歳の意識(日本財団 18 歳意識調査)は、アメリカ、イギリス、中国や韓国と比較してもとても低く、15歳児を対象とした国際学力調査でも科学的リテラシーや数学的リテラシーと比べてコミュニケーション能力も含めた読解力が低いという状況が続いています。

私生活ではスマホの利用時間が長くなり、授業でも自動化が進む中で、親子、教師と生徒、生徒同士など、人と人がコミュニケーションをとる時間は益々減少し、時間をかけて議論したり深い話を語り合うこともなくなっているようです。

人間としての様々な能力が開花し成長するこの時期に、人との関わりや物事を深く考える時間が失われていることの意味を、忙しさに追われる姿ばかりを見せてきた私たち大人世代も、もっと真剣に考える必要があるように思います。

藤村コノヱ

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