【著者とのコラボ記事】



■持続可能な世界に向けた新たな環境教育
藤村コノヱ

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<「不都合な真実」について>

まだ2月と言うのに夏日が観測されたり、梅雨のような天気が続いたり、異常な気象が続いています。昨年夏の猛暑もそうでしたが、今期は私の大好きなリンゴの出来もあまりよくないなど、日常の暮らしにも様々な影響が出ています。

世界中のこうした状況を受けて、「地球温暖化と言うより、既に地球沸騰化の時代に突入した」と、グテーレス国連事務総長は警告していますが、日本の政治家も官僚もそうしたことは言いませんし、メディアも被害状況を報道するばかりで、その原因などの情報はあまり出しません。いわゆる「不都合な真実」は隠すという情報操作のようなことが、もしかしたら、日本でも行われているのかもしれません。

しかし、現実はもっと深刻で、まっとうな科学者や環境問題に関心の高いNPOや若者の間では、日本の現在の気候政策では到底地球沸騰化は止められず、事態はますます深刻化すると心配しています。
なぜなら、現在日本の政府は、2030年には2013年と比べてCO2の排出量を46%削減し、2050年にはCO2ゼロの社会にするという計画を示しており、多くの自治体や企業もそれに沿った取組を進めていますが、これでは、「世界の平均気温の上昇を、産業革命前から1.5度の上昇に抑える」という世界との約束である「パリ協定」は守ることができないからです。

あまり聞きなれない言葉ですが、カーボンバジェット(炭素予算)という言葉があります。これは有限な地球環境の中で、あとどれくらいのCO2の排出が許されるか?海や大気や土壌や植物などが吸収できるCO2の量から既に排出したCO2分を引き算した残りはどれくらいか?といった考え方ですが、これで計算すると、現在の日本政府の計画では,2030年時点で既に残りのCO2を使い切ってしまうことになるそうです。

一方、現在経済産業省では第7次エネルギー基本計画について議論されていますが、その中ではCO2をたくさん出す石炭火力発電所を温存するために、水素・アンモニアを混ぜて発電したり、CO2を回収・利用・貯蔵する「CCUS」といった技術などが提案されています。しかし、水素もアンモニアも現時点では海外の化石燃料から作られるため、輸送コストも含め高価で莫大なエネルギーを要する上に、CO2削減効果は低く、悪臭や人体にも有害な窒素酸化物問題も懸念されています。CCUSもコスト高などで実用化は容易ではありません。

環境やエネルギー問題は、私たちの暮らしや産業にも関わるため、上記のような政府の対策にも賛否両論、様々な意見がありますが、だからこそ、一部の政治家や官僚だけで決めるのではなく、私たち国民も含め多くの人で議論し判断していくことが大切です。そしてその第一歩は、正しい情報を共有することですが、政府に不都合な真実は、私たち国民には知らされないことも多く、国民の正しい判断を鈍らせてしまうことになります。

フェイクニュースも含め様々な情報が溢れる現代社会ですが、少なくとも政治家や政府、自治体には、公人・公共の組織として、不都合な情報も含めて、科学的にも倫理的にも正しい情報を伝えてほしいものです。

藤村コノヱ

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