【著者とのコラボ記事】



■苦痛による人類進化論-自然体で生きる
大上泰弘

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<新型コロナウイルスの変化と人々の行動変化-物理と心理>

昨年出版した「苦痛により人類進化論」は、私が人生の中で感じ・考えてきたことを、新型コロナウイルス感染症が出現し、パンデミックとなった3年間で練り上げたものです。
その点で、新型コロナウイルスの出現という物理現象が、私の行動を加速させたと言えます。

新型コロナウイルスの出現とは、どういう現象でしょうか。

新型コロナウイルスは「コロナウイルス」に分類されるウイルスの一種であり、人類が全くこれまで知らなかった新種のウイルスではありません。
物の性質として見れば、既知のコロナウイルスと、化学的性質 (分子量、酸・塩基性、元素組成等) や物理的性質 (重さ、硬さ、密度 等) に変化はほとんどありません。

人間にとっては、吹けば飛び散るチリのような存在です。
私たちの部屋にある飛び散ったチリには、厳密に言えば同じものは一つとして存在しないのですが、私たちの感覚としては、どのチリも同じ存在と感じるのに似ています。

では、その程度の物理的違いしかない新型コロナウイルスが、なぜ人類規模の大きな行動変化をもたらしたのでしょうか。

それは、新型コロナウイルスという新規の物理的存在がもつ新規の立体構造 (元素の組成ではなく元素の配置) がもたらす新規の化学反応性が、人間に致死的な病をもたらすことから、人類はさまざまな新規の行動をとったわけです。

人間は多種多様な化学反応によって動いています。
化学反応とは物質同士の結合と解離を通じて、反応前とは異なる性質の物質が生じる物理現象です。

注目したいのは、化学反応は、ナノメートル (10億分の1メートル) という微小スケールの原子配置の違いで、速度や方向に変化が生じるものなのです。
新型コロナウイルスは、このナノメートル・レベルの変化で、地球規模で人類のキロメートル・レベルの行動を起こしたのです。つまり、1兆倍のスケールの物理現象を起こしたわけです。

人間の行動原理は心理現象として扱われています。
物理も心理も同じ化学反応の帰結なのですが、物理現象と心理現象ではそのスケールは1兆倍にもなりうるのです。

昨年、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけは、結核に相当する2類から、季節性インフルエンザ感染症に相当する5類に変更になりました。

新型コロナウイルスに起きている変異 (化学構造の変化) はナノレベルですが、人々が学校、会社、レストラン、旅行に出かけるという行動はメートルレベルに留まらず数千キロメートルにも及ぶのです。

物理と心理の相関について科学的に理解できるのは、いつになるだろうか。

大上泰弘

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