こんにちは。
今年の夏は残暑が厳しく、いつ秋が来るのかと待ち遠しく感じていました。
漸く朝晩の気温が下がり秋めいてきたと思えばあっという間に冬に突入しそうですね。
当院では在宅や施設の方へ訪問診療を行っております。
患者さんだけではなく、施設でケアされている介護職員の方々とお話する機会も多く、口腔内環境と全身の健康との関係を常に意識しながら治療を行っています。
2021年にも「成人歯科検診の重要性「全身の病気と健康寿命」 | ブランチ仙台歯科のブログ (ameblo.jp)」という記事で軽く触れていますが、今回はお口の中の健康と認知症の関係について掘り下げていきたいと思います。
【認知症とは?】
認知症や、認知症様症状をきたす疾患は多く、
・アルツハイマー病
・前頭側頭葉変性症
・レビー小体病
などが挙げられます。
【仙台市の高齢者人口と高齢化率】令和3年の住民基本台帳人口を参考に
・仙台市総人口:1,063,169人
・65歳以上人口:259,838人(24.4%)
仙台市の約4人に1人は高齢者ということになります。
【認知症高齢者数】厚生労働省の研究を参考に
高齢化が進むにつれて、認知症高齢者数の増加も認められ、令和7年度の仙台市の認知症高齢者は約6万人と推計されています。
高齢者の約20%、5人に1人が認知症患者ということになります。
【認知症の方のお口の中の特徴】
清掃状態が悪化→むし歯や歯周病になる率が上がる→歯を失う本数が多くなる
という環境悪化が報告されています。
これは、認知機能が低下することでお口の中の清掃が困難となり、結果的にむし歯や歯周病が進みやすくなり歯を失っていくと考えられています。
一方で、お口の中の環境悪化が認知機能の低下や認知症の発症に関連があることも分かってきています。
【お口の中の環境悪化とは?】
①歯周病の進行(清掃状態の悪化)
②残存歯数の減少(歯を失う本数の増加)
①歯周病の進行とアルツハイマー病
認知症の約60%以上はアルツハイマー型認知症と言われています。
《アルツハイマー病で分かっている特徴》
・老人斑(アミロイドβと呼ばれるタンパク質の蓄積)が脳神経細胞を破壊する
・中枢神経系での炎症反応の亢進が認められる
一方、歯周病は歯周病原因菌によって引き起こされます。
《歯周病原因菌の特徴》
・歯周病原因菌はアミロイドβを産生し蓄積する
・歯周病原因菌が歯ぐきから血流に乗って脳神経まで到達する
つまり、歯周病の進行や歯周病原因菌の増加はアルツハマー病に影響を与えるということになります。
②残存歯数の減少
歯の本数が少なくなる→噛みづらくなり噛む筋力が衰える→食事内容は軟らかい物や水分の多いものが多くなる
健康な65歳以上の高齢者を4年間追跡した調査では、
・20本以上歯が残っている人と比較すると・・・
歯がほとんどなく入れ歯も使用していない人は1.85倍
・どんな食べ物でも噛める人と比較すると・・・
あまり色んな食べ物を噛めない人は1.25倍
認知症発症のリスクが高いという結果があります。
《脳の血流量への悪影響》
食べ物を噛むという行為は脳の血流量を増加させます。
つまり、あまり噛めず食事の意欲が減退した人の脳血流量は減少傾向を示します。
血流量が減少した脳の領域は委縮してしまい、認知機能を低下させるのです。
《栄養状態への悪影響》
軟らかい物や水分の多い食事内容は量の割にエネルギー摂取量が低くなります。
噛みづらい為に食べ物の種類や形態の多様性も失われ、低栄養傾向を示します。
この低栄養状態は認知症の前段階「認知症ではないが加齢による認知機能低下以上
の認知障害がある状態」で認められやすい特徴です。
つまり、歯周病治療で歯ぐきを引き締め入れ歯やブリッジで嚙む機能を改善させる
ことで低栄養状態を改善できれば、実際認知症へ進行するのを予防することに繋が
るのです。
少し専門的な話になりましたが、認知症には歯周病の進行度や残っている歯の本数が大きく関わっていることがお分かり頂けたかと思います。
歯周病の進行を食い止め、これ以上歯を失わないようにするためには定期的な歯科への受診が大切になります。
11月30日までは、
・仙台市成人歯科健診
・20歳のデンタルケア
・事業所歯科健診
・後期高齢者歯科健診
を行っております。
受診券が届いた方は期限内の受診をお願い致します。
また、
・妊婦健診
・仙台市フッ素塗布事業
は通年で行っております。
どの健診もお電話でのご予約のみになります(ネット予約不可)のでご注意ください。
022‐347-4618
10月残りの休診日:毎週木曜、29(日)
11月の休診日:毎週木曜、12(日)、18(土)、19(日)、26(日)、祝日
11月の矯正日:5(日)、21(火PM)