先日突然後輩から久々に呑みに行きませんか?
と珍しくメールで連絡があった。
当然私としては

「こんな珍しいお誘いがあったら大雨降るよ」

と前置きをして、後日呑みに行く約束をしました。
当日、台風だったのは言うまでもありません。

そんな台風の中、毎度お世話になっているバーへと。
そのバーはお店のすぐ近くにフレアーの練習場所がある
フレアーをするにはとても贅沢なお店なのです。
台風の影響でお店にはお客様も少なく
スタッフに任せられる状態になったので
お店のマスターと後輩の3人で
少し練習をする事になりました。

始めはマスターの演技の改良から始まりました。
私の専門はバージョンアップなのです。
車関係で例えるなら
私はその人の持っているポテンシャルを引き上げる
言わば「チューンナップ専門店」みたいな役割です。

難しい事が出来ると言う事は、後にSHOWをする時に
自分の演技が楽になり、表現力が増加したりします。
だから大会から離れていたとしても
常に難しい技に挑戦する事は大切な事なのです。

恐らく私はこのマスターとの練習が一番多いのですが
自然と二人の間に我々にしか通じない「造語」があります。
今はそのお陰で随分と開発が楽になったものです。
ちょっとしたニュアンスとか、言葉では伝えにくい部分でも
この造語のお陰でお互い理解しやすくなっているのです。

そして我々は無理をしません。
一日で沢山の技を開発したところで
後日混乱して逆に使い物にならなくなる場合があるからです。
簡単なものを2~3つ改良出来ればそれで十分なのです。
大切なのは、その技が出来た事よりも
その技が出来た理論をしっかり覚える事なのです。
従って沢山の理論を頭に叩き付けた場合
その理論が混乱して、技も出来なくなる可能性があります。

その日もマスターのバージョンアップに成功しました。
そして新しい技も生まれました。
これ以上開発しても、他の練習が疎かになるし
ちょうど区切りがよかったので、マスターは後輩に
せっかくだから演技を観てもらいなさいと話を振ります。

後輩は色々と諸事情で、ここ数ヶ月練習出来ていませんでした。
最近ようやく練習再開出来る様になったとの事です。
当然演技自体はボロボロなのは承知の上で
後輩に今出来る演技を実施してもらいました。
こう言う時は落としたり止まったりしても問題ありません。

久々に見る後輩の演技に色々と気付かされる事がありました。
例えば基本的な技のさばき方が出来ていないとか
演技の流れ、技と技の繋ぎ方がまだ出来ていないとか
そして私にとって大変な事に気付いたのは

昔から技の表現がおかしいと言う事を
未だに伝えていなかった
と言うか伝えるのを忘れていた

ずっと付きっきりならすぐにでも言えるのですが
たまに逢って少し見て、と言う様な立場なので
言わなければ行けない事も全て言える時間が無かったりします。

すまない、今まで言うの忘れていて…

で、後輩に対しては次に繋がるようなバージョンアップ方法を
そして言い忘れていた表現方法の過ちを伝えました。
そんな中、どうしても技の繋がりがおかしいところを発見。
その部分については、今後輩が持っている技を繋ぎ直して
新たな流れを創っていくのか?
それとも新たな技を開発して、綺麗な流れに変えて行くのか?
どちらにしようか考えていました。
せっかくなので、ここは誰もやっていない様な
しかし簡単に出来る技を追加する事にしました。

そうと決まれば、ここから新しい動きの模索が始まります。
今回は最初と最後が決まっていたので
その繋ぎ方がポイントとなります。

最近は海外の選手がどんどん新しい事に挑戦してきています。
そんな中、まだ日本ではあまり使われていない技に気付きました。
その技法を別の技と組み合わせ、試しに一度やってみたのですが
これが思ったより簡単に、しかも一発目から成功したのです。
そして見栄えもシャープで切れ味があり
一瞬何をしたのか目が着いていかない程の出来上がりです。

これを見たマスターもかなり気に入った様ですが
さすがに見た目的に難しく見えたのでしょう。
この技が後輩に出来るかな?と不安そうに見ていました。
当然後輩も「これは無理」と言う顔をしていました。

早速技を伝授する事に。
肝心なポイントを伝え、すぐに試させたのです。
「たったそれだけ!?」と言う顔をしながら
マスターも後輩も半信半疑で実施する事になりました。
するとマスターは一発で出来上がり、後輩もすぐに成功。
しかも後輩が実施しても、その技の切れ味は死んでいません。

あまりにも簡単に、しかも見た目が綺麗な技が出来たので
この技は私も実施すると後輩に告げると
マスターもすぐに

「この技頂きます♪」

と便乗。
結局後輩専用の技ではなく、皆で共有する技になりました。
(因みにすでに別の後輩にもこの技を見せています)
で、皆で共有するなら技の名前を決めていた方が
これからの話が早くなると言う事で早速名前をつける事に。
そこで発案者の私が決めたのが


練習をほとんどしていなかった後輩でもすぐに出来た
=誰がやってもすぐに出来る。

この技は次の技に繋げるための技
=さりげなく、さらっと自然に実施するイメージで。


以上の事から誰がやっても化けられるので

「化粧」

と言う名前で決まりました。
化粧はやはり自然に美しさを引き立てるものだと思っています。
この技を必要以上にアピールする時点で
この「化粧」と言う技は死んでしまうと思っています。
これは私個人の意見ですが
私は「ガングロ」とか、そう言うメイクは好きではありませんので。


自然にさらっと大人の技、それが「化粧」なのです。

このブログが始まってから、基礎の話ばかり続きましたので
ここからは応用や開発の話等を織り交ぜていきたいと思います。

突然難しい話をする事になるかも知れませんし
すぐに基礎の話に戻るかも知れません。
恐らくこの先かなりでたらめな順番で発表すると思われます。
思いついたものから発表していくので
順序がかなりちぐはぐになるとは思いますが
どうぞご理解のほど、よろしくお願い致します。


今回は「オリジナル」についてのお話です。

フレアーの大会では技が決まった時に加点される項目と
技を失敗した時に減点される項目があって
その差し引きの合計得点で順位が決まります。

その加点項目なのですが、大会によって若干違ってきますが
基本的にはこの様な項目がございます。

ディフィカリティ(難易度)
オリジナリティ(独創性)
バラエティ(構成力)
スムースネス(技数)

他にエンターテイメントや商品アピール、カクテルポイント等
加点要素は大まかに言えばこの様な感じになります。
この主となる加点要素の4項目ですが
この4つのうち、3つには大きな共通点がございます。
そして逆にこの4つの中で、1つだけ違うものがございます。


私はよくこんな質問をされます。

「どの様にすればオリジナル技を考えられるようになるのですか?」

と。
その時に一番最初に答えるのが

「お客様の目線を考えれば簡単に出来上がる」

と答えます。
しかしこれだけではピンとこないのが現状です。
ここでお客様目線の話を詳しくするのですが
それを踏まえて、「オリジナル」とは何か?の話をします。

この「オリジナル」と言うのは
他の3つと相反するところに存在すると言っても
決して過言ではございません。
先に書きました
ディフィカリティ、バラエティ、スムースネスの共通点とは

「練習による経験値に比例する」

と言い換えられると思います。
それに対してオリジナリティと言うのは

「発想力を数値で表したもの」

となると思います。
先の3つに関しては

「ボトルを投げている時間と比例する」

のかも知れませんが、オリジナリティに関しては

「ボトルを投げていない時間と比例する」

と言えるのではないでしょうか?
これはどう言う事かと申しますと
要するに発想と言うのは脳で構築されるのですが
これをボトルやティン等を投げながら考えたところで
意識も集中力も分散した状態で
本当に深いところまで脳内で想像出来るのでしょうか?

私はそんな状態では時間の無駄だと思います。

ひょっとしたら良い技を思いつくかも知れませんが
技を産み出す生産力としては、かなり貧弱なものと思います。


脳で何かを想像する作業では
一番に神経を使うところは脳なのです。
だから出来る限り脳への負担を減らして
意識を極力脳へ集中させてあげるのが
オリジナリティの開発の活性化に繋がると思います。

勿論想像する作業の手助けとして
他の資料を観てみたり、誰かの話を聞いたり
今までの自分になかった情報を取り込む事は大切です。
だから色んな人の話を聞きに行ったりして
とにかく今の自分の殻から外に出る事が大切だと思います。

そして自分の脳がどんな状況の時に
一番活発に働くのかを知っておくべきでしょう。
私の場合は常にリラックスしている時に
新しい技を産み出している訳ではありません。
時には仕事中に、車の運転中に、遊んでいる時に、寝る前に…
色んな状況で技は生まれています。
が、やはりそれは新しい技の「種」の段階です。
そう言うものを見つけた後、その種を成長させるには
出来る限り脳にだけ神経を使っています。


こう言った発想力を高めるためには
やはり脳を活発的に使う必要があると思います。
簡単に言えば、考える力を鍛える事だと思います。
こう言う事は天才でない限り
突然出来る様になるとは思えません。
始めは小さな事でも、それが積み重なってくれば
やがて大きな発想に繋がると思います。


このフレアーの世界はまだ始まったばかりです。
ちょっと着眼点を変えれば
すぐにオリジナルな技は生まれます。
私は今まで色んな人にオリジナル技を提供してきましたが
その技のほとんどは、以前から私自身が考えていたものを
その選手に提供しているのではなく
その選手の練習を見て、そこでその選手に向いてる技を
その場で創っているのです。
だから当然私には出来ない技も提供してきました。
私が出来なくても、その選手が出来ればそれで良いのです。
それくらい、オリジナル技は簡単に生まれるのです。

逆に言うと
それだけまだ日本人は脳を使っていない証拠です。

皆と一緒の技が好きな人には
オリジナルの話は全く関係ありませんが
これから大会で勝ちたいと思っている人には
避けては通れないものとなっています。
特に世界で結果を残そうと思っている人は尚更です。


コピーの時代は数年前にとっくに終わっています。
先ほど行われた世界大会でも、優勝した選手や上位入賞者は
やはり個性的で難しい技を決めてきています。
しかし比較的完成度の高い演技をしていても
どこか有名選手の真似っぽい動作の選手は
やはり得点が伸びていませんでした。

こう言うところをしっかりと認めて
時代に着いて行くのでは無く
時代を築こうとしない限り
日本と世界との差は開いて行く一方でしょう。

このマニアックなブログをご愛読下さいまして
誠にありがとうございます。

基礎編も10回連続で掲載いたしましたので
ここでちょっと休憩をと思いまして
今日は難しい話は抜きにしたいと思います。

休憩中ですので、何かお好きなお飲み物でも飲みながら
気楽にご覧下さい。


さて、それでは今日は私の過去のステージのお話でも。
実は私はこのCocktail Showの仕事をする前に
プロのマジシャンとして活動していたのです。
(この時点で関係者には私が特定出来ましたね)
もう随分昔になりますが
イベント期間約半年と、長い契約していた仕事がありました。
毎週末土曜日、日曜日と祝日にはイベント開催となります。

そのイベントではまず、自己紹介がてらにお客様の前に立ち
そしてそこで一瞬芸となる一ネタを披露。
その後、ゲームに勝ったお客様の目の前で
クロースアップマジックを披露すると言うものでした。

1日に約3~4店舗を周り、1店舗につき2回ずつと
結構回数をこなす仕事だったのです。
そして1回目と2回目ではネタを変えてほしいとの事でした。
しかも会場によってはイベントフロアが分離していて
1店舗で2フロアから3フロアになります。
(1フロアの店舗はほとんどありませんでした)
従って1フロアの店舗で2回
2フロアなら4回、3フロアなら6回と
それを1日に3店舗から4店舗…

要するに単純計算をしますと
1日3店舗で、各店舗2フロアとしても
1日に12ステージで
1ヶ月に土日だけで8日間だとしても
1ヶ月で少なく見積もっても

96回ステージ

に立つのです、土日だけとしても…

これが結構過酷なもので
当時は10数名のマジシャンでこの仕事を回していたのですが
それぞれ出来るだけネタが被らないようにと
皆でネタの打ち合わせとかしたのです。

が…
すぐに心が折れて
ちょっとずつネタを交換とかしました。

そう言う苦労をしながら約半年間
ステージに立ち続けたのです。

このマジックと言うのは
実は簡単にかなりの衝撃を与えれるのです。
バーで素人さんがトランプマジックとかしても
周りの人が結構大声を出して驚いてるシーンを
観た事があると思います。
それだけマジックと言うのは
簡単にインパクトを与えられるのです。

そしてこのクラスのマジシャンとなると
お客様に受けて当然と考えていたりします。
仕事で演じているので当然ですよね。


しかしそうなると…


何をやっても受けると言う事は時として
とんでもない事を
考える様になる事があります。

ある日イベント終了後の打ち上げで
私が尊敬するマジシャン仲間のG氏と喋っていると
受けるのが当たり前になり過ぎて
こちらに刺激がないと言う話になりました。
ネタも短期間でそれだけ繰り返すと
さすがに演じてる方も飽きがきます。
そこで次の週に私はある事を思いついたのです。

毎回マジシャンを紹介する時に
会場の照明がほとんど落とされて
場内は暗闇となるのですが
MCの紹介で名前を呼ばれた時に照明を全開にして
そこからマジックが一ネタ始まっていたのです。

が、毎度同じパターンに飽きた私は
自分の名前を呼ばれるちょっと前に
背中に隠していた懐中電灯で
自分の顔を一瞬だけ下から照らしてみたのです。

するとステージ正面の
向かってやや左側の女の子グループにだけ

「プッ」

とやや受けしたのです。
もちろん他の席は全く反応がありません。
この時私の心境と致しましては

「良し!!!」

心の中でガッツポーズを取ったのは
今でも鮮明に覚えています。

そうです…
受けるのが当たり前になってしまった二人の結論は

「敢えて寒い空気を創りたい」

と言う事になりました。
この二人は「滑る面白さ」を追求しようとしていたのです。
(主催者としては迷惑な話でしょうけどね)

早速イベント終了後にその話をG氏にしてみると

「来週それやってもいいですか?」

と。
もちろん私は「是非やってみてくれ!」と伝えました。

そして次の週のイベント終了後の打ち上げで
G氏は満面の笑みで私に結果報告をしてくれました。
彼も私と同じように、背中に懐中電灯を隠し
紹介されるちょっと前に下から顔を照らしたのです。
そしてその時のお客様の反応は?と質問すると
G氏は満面の笑みで、自信満々に答えてくれました。

「誰一人、クスリとも笑いませんでした」

そうです、完璧に引かせたのです。
(主催者にとっては迷惑な話ですが…)
私はこの時、やはり君には勝てないと告げました。

もちろんこの話は、この二人だけで盛り上がり
他のマジシャンは当然首を突っ込まなかったのは
言うまでもありません。
まぁそのイベントメンバーで特に異色な二人でしたので
色々と問題もあったのですが
全マジシャンの中でもかなり目立っていたG氏と私の
ささやかな楽しみでした。

あ、皆さんは真似しない方がいいかも知れません。
と言うより、真似しないでしょうね?


が…
実はこの「敢えて引かせる」と言う技は
実はとても強力な媚薬
に化けると言う事に、後に気付くのでありました。
その話はまた何かの機会にでも♪
技を繰り出して表現する世界では
沢山の技が存在いたします。
その技は次第に進化を遂げ
パフォーマー自身への強力な武器となるでしょう。

しかしこの技や表現方法と言うのは無数にあります。
その膨大な情報量はやがて自身のメモリー不足となって
無意識のうちに消えて行く事もあります。
(正確には思い出せないようになって行く)

特に最初の頃は技の関連性や応用力、知識のなさ…
自分の経験不足のために
新しい情報も覚えにくくなります。

これはどの社会でも共通してると思うのですが
そう言った貴重な情報は
しっかりと保存する記録媒体が必要となるのです。
最近ではパソコンが小型化になって、持ち運びも簡単になり
いつでもどこでもインターネットが出来る時代になりました。
よって情報をパソコンに記録する方法が主流となりつつありますが
やはり本人が覚えて行く上で、一番確かだと思うのが

メモ帳による手書きでの保存

だと思います。

私がバーテンダー時代には必ずポケットには手帳が入っていました。
それはカクテルのレシピについてやお酒の知識
時にはお客様との楽しい会話をメモしたり
とにかくすぐに何でも書けるような手帳を常に持っていました。

最近そう言う手帳を持っているバーテンダーをあまりみかけません。
今やメールの時代で、文字を書くと言う事が減ってきましたが
打ち込むよりも、手書きの方が身体に染み込むと思うのは
もう古い人間の考え方なのでしょうか?

実際私はフレアーバーテンダーの世界で
後輩達に色々な事を伝えてきました。
ほとんど自分が体験した事や他の体験者から聞いた事です。
そしてその情報は実践的だと信じています。

その情報をノートにメモしていいですか?と聞いて
実際にノートにメモした人は、実はあまりいません。

まぁ突然話が広がって貴重な情報を伝える事になった場合は
すぐにメモが取れなかったり
練習中などにメモ帳を持って来る人は
正直少ないので仕方ないかとは思いますが
(因みに私のレッスンでは、まず始めに生徒にノートを配ります)
今覚えているのは、練習中にノートを取った人は
恐らく5名も居たか居なかったかだと思います。
(生徒は除く)

状況的にすぐにメモに取れない人は
出来るだけ早く実践練習をしようとしてくれて
結果報告とかしてくれる人もいます。

が、その後その知識をきちんと覚えているかがポイントです。

私は出来るだけ近い未来に必要になると思われる事を言います。
もちろんこの先10年後とかの予想も何となく解りますが
今は先の事よりも近い将来の事の方が重要だと思います。
しかし近い未来とは言っても
やはり想像つかない人の方が多いでしょう。
従って私の話は結構聞き流されてしまうのです。
数年後に必要となった時に、過去に聞いた話だと気付くまでは。

きちんと情報を記録する事は大切です。
今このブログを作っているのも、一つの手段であります。
どのような形でも構いませんので、情報を記録する方法を
常に身に付けていてほしいと思います。
特に初心者の時は、全てのものを記録するつもりで
自分のネタ帳に書けるだけ書いて下さい。
この動作や表現を文字にする事は
実は後にとても重要な事に繋がります。
騙されたと思って実施して下さい。


因みに私の言う事をノートに書き留めた人の数名は
世界大会3位と言う実績を上げています。
他にも大会で好成績を上げている選手や
SHOWの世界で実績を上げている人もいます。

これは決して私の情報の価値が高いと言う話ではなく
他の人からも、とにかくどん欲に情報を集めた
彼らの行動力が結果をもたらせたのだと思います。
そしてその多くの人達は
やはり常にメモ帳等に情報を残しています。

私の経験上、ポケットに入るシステム手帳がお薦めです。

初めてステージに立つ人にはもちろん
回数や経験を重ねていても
ステージ上では緊張する人が多いものです。
よく、この緊張感を打破するために

「回数をこなして慣れれば良い」

と言う人も居ますが
出来るならその回数は少ない方が良いですよね?
そして単純に回数をこなしているだけでは
ステージに立つ事のおもしろさや注意点には
なかなか気付かないのかも知れません。

ステージに立つ人にとって一体何が恐怖なのか?
緊張すると言う事は、そこには必ず原因があるはずです。
その緊張する原因を追及する事が
恐怖感に脅えなくなるための近道かも知れません。

ステージ経験の浅いうちは
やはり色々と不安が襲ってくると思います。
その不安で良く聞くのが

「失敗しないだろうか…?」

そう、「失敗する事の不安感」が
断トツで多いように思えます。
今まで多くの新人を見てきましたが
皆それぞれに、この言葉を口に出します。

どれだけ長時間、本番を想定して練習をしてきても
実際には本番でやってみないと解りません。
これは逆に言うと、どんなベテランでも
実際にステージに立ってみなければ
良い演技が出来るかどうかは解らないのです。

そこで私は問いかけます。

「失敗したら何がダメなのか?」

すると多くの人が

「失敗すると格好が悪いから」

と言います(特に男性)。
この「格好が悪い」と言う時点で私は

「そんな考えなら完璧に演技出来ても格好悪いかもね?」

と言う事があります。
この「格好悪い」と言うのは、結局は

「自分しかみていない」

と言う事になります。
せっかく多くのお客様が着てくれているのに
自分の事を心配しているようでは
この先、なかなかお客様には
受け入れられないかも知れません。


ステージで盛り上がるも冷めてしまうも
実はパフォーマー次第になります。
自分の演技が受けない時は
それはほぼ全てパフォーマー自身に問題があります。

お客様はパフォーマーに期待して会場に着てくれます。
この時点でお客様はパフォーマーの味方です。
ではなぜ、パフォーマーの演技に
盛り上がれなくなるのでしょうか?
それは

「パフォーマーがお客様を裏切るからです。」

先程のように自分しか見ていない人にはありがちな事です。
例え技が全て決まっても
どこか盛り上がりきれない場合があります。
盛り上がる、盛り上がらないと言う現象は
「技が決まるから」だけではないのです。
そこには基本姿勢として、パフォーマーが
お客様と向き合っているかどうかが問題です。
そしてその姿勢は、パフォーマーよりも
お客様の方がシビアに伝わるのです。

同じパフォーマーなら「同情」が入ってしまいますが
お客様にはそう言った「同情」は関係ないのです。
それは自分の事を知っている身内だけにしか
与えてもらえない慰めなのです。


いつも裏切るのはパフォーマーからです。
一瞬にして会場を凍り付かせる事も出来ます。
それだけにパフォーマーはその部分を注意して
ステージで演技してほしいと思います。

私は新人達に、もし失敗した場合の事をこう伝えます。

「失敗した時こそ、お客様に助けてもらいなさい」

失敗したからと言って、自分が格好悪いと
自分の中に引きこもる事は
それまで暖かい目線を送って頂いた
お客様に対して失礼にあたります。
失敗した過去は変えられません。
だからこそ、失敗した次をどうするか?
を考えるべきです。

いきなりアドリブは出来ないでしょうから
まずは失敗してもどうなろうが

「お客様に対して笑顔でごまかしましょう」

この失敗に対して、素の顔を見せてしまえば
その不安はお客様にもきっちり伝わってしまいます。
そう言う不安が、お客様の目線を反らせる事になります。
正直、観ていられなくなります。
だから失敗しても、笑顔でごまかすくらいの気持ちが
お客様から愛の手を差し伸べてもらえる事に繋がります。

そして失敗した後にきっちり決めれば
その落差から、今まで以上に盛り上がる事もあります。
そう考えると、失敗は逆転チャンスでもあるのです。

演技中、気をつける事は
常にお客様が観てくれていると言う事です。
お客様にはこちらが予定している内容は解りません。
だから自分の予定と変わったところで
何ら問題はありません。

ステージ上で自信を持って演技すると言う事は
技の完成度を磨く以上に
お客様に対しての接し方に気を配った方が
会場が盛り上がると思います。
自分の演技に必死になりすぎると
お客様に対しての意識が薄れてくるでしょう。
自分の演技とお客様への意識とのバランスが
良いSHOWを産み出すと思います。

お客様へのおもてなしの心を忘れずに。