Ⅰ.今回の課題
情報通信業を営むA社は、若年層の多い伸び盛りの企業です。ただ最近では業務が多忙のため、休みがちな社員も目に付くようになってきました。そんな中、入社して半年足らずの社員B氏から休職の申し立てがあったのです。A社の規定では、傷病による欠勤が1か月以上になった場合、在職3年未満の社員に対しては、3か月の休職を認めるとあったので、とりえず3か月間の休職を与え、その後、復職をしました。ところが、そこから程無くして、B氏の欠勤が続くようになり、再度、休職の申し出があったのです。
Ⅱ.経過報告
これに驚いた総務の責任者は、今回は認められないと拒否しましたが、B氏は就業規則には、別の傷病であれば、問題無いという内容になっていると主張し譲りませんでした。確かにA社の規則上では単に「傷病による欠勤が1か月続いた場合、それぞれの勤続に応じた期間の休職とする。」との規定があるのみでした。B氏が提出した診断書には、始めの休職時の傷病とは異なる病名が記載されていました。
Ⅲ.最終結果
以上の規定から、会社としては休職を認めざるを得ない状況であり、結果として、再度の休職をすることになったのです。その後、B社員と同様に休職を求める者が続発し、A社は早急に規程の変更を行わざるを得ない状況になったのです。
Ⅳ.今回の課題への対策とポイント
「休職」については、法的に規定しなければならない事項ではありません。しかしながら休職は多くの企業の就業規則に明記されていますが、細かな取り決めがなされていない場合が多く、特に今回のような再休職のルールや期間の通算、類似傷病での休職の禁止など、実際に問題となるケースまで、規定されていない場合がほとんどです。
休職の規定を設ける場合、次のポイントを押さえておく必要があります。
①休職の対象者(例えば、正社員のみとか、入社1年以上の者など)
②休職の事由(例えば、原則は私傷病のみとし、公職休職や起訴休職は認めないなど)
③休職期間(期間についても法的な定めは無いので、最長で6か月とするなどとしておく)
④休職期間の通算(一定期間内に同一原因で休職する場合は、当初の期間を除く残期間とするなど)
⑤類似原因の禁止(明確な違いが無い場合を除き、類似の原因では認めないことを明文化する)
⑥休職期間の取り扱い(発生する保険料の支払い方法や状況の報告等の義務をあらかじめ決める)
⑦復職のルール(復職に際しての必要条件、待遇の変更や配置転換などを行うか否かの明示)
以上の内容を明らかにしておき、休職時における遵守事項を決めておく必要があります。また昨今ではメンタル的な問題が多いため、会社側でも精神科医や心療内科医を決めておき、場合によっては面談や診断を求められるように準備しておくことも必要です。併せて復職の際のリハビリ復帰を認めるか、その場合の処遇方法なども決めておくことをお勧めします。
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