Ⅰ.今回の課題
製造業を手掛けるR社は、特殊部品の加工を主な業務としている企業であり、小規模ながら堅実な運営を行っています。ある時、新規で採用した従業員(X氏)が、暫く経ってもなかなか仕事が覚えられないため、会社側としては当初の試用期間が終わる3カ月を経過した時点で、不採用を言い渡しました。ところがその従業員から、不当解雇だと言われ、解雇予告手当と慰謝料を併せて請求される事態となったのです。
Ⅱ.経過報告と対策
入社当初より、X氏の勤務態度はまじめなものの、採用時に聞いていた程の能力は無く、R社の担当者としてもいくら指導しても伸びないと判断し、R社長に対して「このままウチで働くのは無理でしょう。」と伝えていました。R社長もそれならば仕方無いと言い、試用期間の終了をもって解雇をすることにしたのです。
ただR社長は、試用期間であれば解雇ができると勘違いされ、また通常の正社員と同様に解雇予告が必要になるとは思っていませんでした。本来、試用期間中であっても、解雇には明確な理由が必要となりますし。14日を超えて雇った場合は、たとえ試用中であっても解雇予告が必要になります。
今回の場合は、まず試用期間中に必要な指導と教育の徹底、業務の転換などの解雇回避努力を行うことが必要でした。ただ漫然と業務を行わせていただけで、それほど明確に指導を行ったわけではなかったのです。また試用期間が3カ月ということであれば、その満了の30日前にこのままでは正社員に登用できないと伝え、本人に理解させる必要があったと言えます。
Ⅲ.最終結果
双方の話を伺うと、確かにR社側として、解雇の根拠としてはやや弱い部分がありました。ただX氏も採用時に虚偽の申告をしたということで、経歴詐称を疑われる可能性もありました。お互いに話をした結果、解雇予告相当の給与を支払うことで示談という形になりました。
また併せて離職証明書を会社都合として欲しいとの要求がX氏から出されましたが、これは明確に拒否を勧めました。本人にしてみれば、安易に失業給付を早く受けたいだけでしょうが、会社側とすれば行政指導や助成金の給付ができないなどの影響が出ることがあるためです。
Ⅳ.今回の教訓
・試用期間といっても、通常と同様に解雇には一定の理由が必要
⇒試用期間は、「解約権留保付」労働契約ともされ、この期間は“客観的に合理的な理由”が存在し、“社会通念上相当”と認められる場合には解約が有効とされ、正社員の場合より基準は緩い。
・解雇の判断基準を明確にし、適正な指導や根拠をあらかじめ定めておく
⇒正社員の場合の解雇は「限定基準」とされるが、試用期間での解雇は会社で一定基準を定めておけば有効とされる。ただ解約権は無制約に行使できる訳ではない点に注意すべき
・試用期間は見極め期間として、長めに設定しておき必要に応じて短縮すべき
⇒試用期間は不安定な契約期間であるため、延長する場合は延長理由を明確にする必要がある
・14日を超える試用期間での解雇の場合、原則として30日前の通告か必要な予告手当を支払う
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