新年あけまして、おめでとうございます。
昨年はコロナに振り回られた一年でしたが、世界中が一日も早いコロナ禍からの脱出を願っています。コロナ禍による色々な変化もありました。今までの日常では出来なかったこと、言っても無理だろうと思われていた懸案事項も、今後は変化していく可能性を秘めているかもしれません。
そんな中で今回は、昨年末に動きがあった養育費問題をブレコネしたいと思います。正月早々離婚だの養育費だのと辛気臭いと思われるかもしれませんが、昔から問題とされていた養育費不払いがコロナ禍でさらに深刻化していることを考えると新しい展開への兆しと言えるかもしれません。
◆参考文献◆
「たった1枚の紙で誰でも意思決定できてしまうブレイン・コネクト」
監修:株式会社インクルージョン 著:杉村寿重/和氣俊郎/横内浩樹/平塚智文 三恵社2019年 https://www.amazon.co.jp/dp/4866931248
◆そもそも養育費とは◆
人間が生きていくには当然ながらお金がかかります。大人であれば労働の対価でお金を得ることもできますが、未成熟子は親などからの経済的援助が必要になってきます。
子供が社会的に自立できるまでに必要とされる費用を養育費と言い、それは親の責任であり、かつ子供の権利でもあります。
一般的な両親と子供の家庭であれば、両親は自己の責任の中で経済活動を行い、子供を養育するでしょうが、離婚という状態になったとき、子供に対して経済的不安が生じる場合が多いです。よって通常は、離婚した親の収入が多い方から少ない方に子供の養育に関する経済的支払う形で、生活を安定させる必要があります。
両親が離婚しても子供は両親に扶養を求める権利があるので、子供と同居する親は当然子供の生活にかかる負担を継続しますが、子供と同居しない親からも扶養の経済的援助を受ける権利があります。
養育費の金額を計算するには、家庭裁判所が提示している「算定表」を使って行う場合が多いです。
https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html
◆養育費不払い問題とは◆
裁判所での調停離婚や離婚裁判を行えば必然的に養育費の取り決めが行われ、養育費支払い義務者(別居親)が支払わなかったor支払いが滞った場合「強制執行」の対象となりますが、夫婦間の話し合いだけで離婚した協議離婚の場合は、明確に養育費の取り決めがなかったり、取り決めをしても公正証書にしておらず強制執行できない場合があり、養育費を払わなくなってしまったり、勝手に減額されてしまったケースが少なくありません。
それを避けるには、裁判所に調停を申立て、話し合いで解決しない場合は裁判所の審判で養育費を決めることになりますが、手間も時間もかかり、必要な子供の生活費が貰えるまでに、今すぐということが出来なくなります。
この問題に対して今までも色々語られて来ましたが、なかなか解決には至らなかった話題が、昨年11月に日弁連から「養育費の不払い解消の方策に関する意見書」が提言されたり、12月には法務省の「養育費不払いをなくすための有識者会議」での検討結果が提示されたりして、現実化に動き始めてきました。
法務省の「養育費不払いをなくすための有識者会議」の最終報告での提言は以下の内容です。
1) 離婚届け提出にあわせて養育費の取り決めも自治体に届け出る新制度を創設
2) 不払いの際には強制執行可能にする
3) 親の別居期間中の養育費も確保する
4) 取り立て手続きの簡略化など
少しずつ何かが動き始めていますので、その方向性の如何を今回はブレコネの題材にしてみました。
◆離婚届に養育費記載必須に関するステークホルダー◆
ステークホルダーとして、以下の8つを出しました。
「離婚したい人(養育費貰う側)」
「離婚したい人(養育費払う側)」
「離婚したくない人(養育費貰う側)」
「離婚したくない人(養育費払う側)」
「市区町村」
「家庭裁判所」
「代理人弁護士」
「子供」
では、早速いつもの手順(Step1、Step2、Step3 ⇒ 意思決定)でブレコネしてみましょう。
◆Step1のPain◆
◆Step1のGain◆
◆Step2の(時系列)◆
◆Step3(各自の行動)◆
◆結論=意思決定◆
離婚したい夫婦の意思決定を考えると、養育費を貰う側の同居親(実施されるのを待って安心を得る)と、払う側の別居親(実施前の離婚を急ぐ?)が対立構造のように思えますが、よく考えるとどちらも後々の面倒な手続きを考えると、この法案が出来るのを待ってスッキリ安心して離婚をする方が良いことが分かります。
冷静に考えると、後から起きる面倒なことを避けられるなら、離婚届の養育費記載実施後に協議離婚をする方が結果的にコスパは良いし、何よりも離婚に伴う立場の弱い方が安心でき、当事者の子供のためになるでしょうから、実現されることが期待できる話題だと言えます。
尚、DV問題のある夫婦の場合は協議離婚の話し合いは期待できず、最初から調停など裁判所に頼る形になるでしょうから、この話が影響を与えることはないでしょう。
◆考察◆
以前にブレコネを行ったGoToキャンペーンなどのように政府のものは、ブレコネをやると制度の問題がぼろぼろ出てきましたが、今回のものに関してはブレコネ検証でも大丈夫なことが分かります。
各種GoToキャンペーンの時には経済活動とコロナ拡大、医療崩壊など、GoToを実施することで経済活動のメリット受益者と相反関係にあるステークホルダーに深刻なPainが出ました。そのPainを消す策もなく政府がGoToを実施したため第3次感染拡大につながったと言えます。もし施策を実施する前にブレコネで考えていれば問題が浮き彫りになり、事前の対策を入れた形のGoTo実施となった可能性もあったでしょうが実際GoToは残念な結果でした。
一方、今回のケース(離婚届への養育費記載の必須化)については、両親が離婚した時に生活面で一番のPainを受ける子供の経済的な救済をするための施策のため実施した方が良いという結果になったと考えられます。「両親が離婚をする」というテーマで、もしブレコネをしていたらステークホルダーの「子供」に「生活が苦しい」や「大学に進学できない」、「欲しいものを我慢する」などの経済的なPainが出てきたことでしょう。
もちろん子供もいる状態で、離婚はできれば避けたほうが良いとは思いますが、それでも婚姻継続が困難な状態であるならば、子供の経済的支援や生活安定は離婚の大前提になってきます。その意味でこの考えは、なぜ今までやっていなかったのか?と思えるものであり、早く実現できることを願う次第です。
政策や施策であれば短絡的なGainだけに目を向けずPainに対する行動を合わせて行う必要があるのではないでしょうか。
【お問い合わせ】
https://www.iri-ltd.com/ もしくは info@iri-ltd.com (担当:杉村)
【著作文責】株式会社インクルージョン(Inclusion Research Institute, Ltd.【略称:IRI】) https://www.iri-ltd.com/



