これは、「ブレイン・コネクト」という意思決定を行う思考フレームワークを使ったお試し事例になります。
 昨今の東京下町で実際に起きている、外国人客を相手に営業してきたビジネスが直面しているクライシスを考えてみたいと思います。
今回のワークショップはZoomのリモートで行った「遠隔ワークショップ」です※

 

◆参考文献◆

「たった1枚の紙で誰でも意思決定できてしまうブレイン・コネクト」

監修:株式会社インクルージョン 著:杉村寿重/和氣俊郎/横内浩樹/平塚智文  

三恵社2019年  https://www.amazon.co.jp/dp/4866931248

 

◆実際に起きているインバウンド客に特化した旅館の経営危機◆

 旅館Aはインバウンド客を専門とした、古風な日本を演出した格安旅館として外国人客の人気を呈していた。

 東京オリンピックを前にして、おもてなしの茶室を作るべく、改装費用1800万円の融資を受けて1Fロビーの一角をリメイクした。それが今年の2月に完了。

 しかし、茶室を作ってすぐにコロナの影響が出始め、キャンセルが立て続けに入り、客足は砂山を崩すように一気に遠のいて行った。

 その後、4月の緊急事態宣言に至っては宿泊客はゼロとなり、あっけなく経営は窮地となり、毎月100万円かかる支払に経営は行き詰まって行く。

 やむなく月々の支払のために、改装費用1800万円の返済めども立っていないのに、更に1000万円の追加融資を受けることにした。

 食堂としてランチ営業や、居酒屋営業も立地的に幹線道路に面していないので集客には繋がらず、サラリーマンの在宅ワーク向け部屋貸出しなども試みたが空振りだった。

 東京都感染拡大防止協力金を求めて断腸の思いで旅館を休業したが、焼け石に水である。現在は緊急事態宣言が解除され旅館を再開したが、宿泊客ゼロの状態が現在も続いている。

 さすがの経営者もインバウンド客へのこだわりは捨て去り、日本人客に来てもらおうと思ったが、今まで日本人客への宿泊実績が乏しく(インバウンド客に特化した営業だった)、新たな営業が必要になったが、なかなか上手く行かない現状がある。

 何を、何に、どのように変えていけば良いのか、そのためには旅館Aはどんな行動が必要なのか、そして今どんな意思決定をすれば良いのか。

 

◆このケースをブレイン・コネクトで整理してみる(Step1)◆

◆時系列で整理(Step2)◆

◆主要なステークホルダーは何をどう行動するか(Step3)◆

◆意思決定(結論)◆

【解説1】
・先ず、インバウンド客を相手にしたビジネスモデルがコロナ禍で通用しなくなったことの認識が必要(正確に言えば従来のインバウンド客BMは開店休業としておき、新たなビジネスモデルの構築を早急に創り出す)。
・今回大きな要素となるものは「顧客」と「価値」と「リソース」であり、何よりも「顧客」を変えることが第一の行動となる。
・ここで重要なのは、インバウンド客がダメだから単純に日本人客としても余り解決策にはならないだろう。おもてなし精神の旅館Aのリソースを拡張して、「どんな日本人を相手にするか」を考える必要がある。
・そのときのコツとして、今まで考えられる顧客から「なるべく遠い」顧客を考えるのが良い。例えばインバウンド客はアクティブな特徴があるので、その真逆で「アクティブでない客」を置いてみる。例えば遠くの客よりご近所さん、若者より高齢者、健常者より障害者・・・などです。


【解説2】
・上記のように現在想像できる顧客からなるべく遠い顧客を考えると、自動的に旅館Aの「価値」は変わってきます。
・それとは別の観点で価値を変えることも必要で、それは旅館業という価値から、別の業態の価値に変えることで、それも想像できること(現状から連続的に発想できること)からなるべく遠い価値を創り出すことです。
・例えば飲食(昼定食や夜居酒屋)は旅館業の延長線上の発想でしかないので、そうではなく現在のマテリアルやファシリティを活用した発想で、例えば旅館はやめて不動産業として発想してみるということです。
・そうなると、場所貸しとして例えば自分の店を持ってみたい人に食堂部分を時間貸しするとか、レンタルスペースとして多目的に時間貸しするとかです。
・もっとも完全に業種を変えるのは抵抗があるでしょうから、短期間の一時的に不動産として現在の建物を運用することが出来ます。例えば期限限定のシェアハウスにするとか、逆転の発想で一時的にコロナ患者の入所施設にするとか…など色々あるでしょう。
・そのように業態を(一時的にでも)変える場合は、その道(不動産やマーケィング等)の専門パートナーと組むことが必要となります。
・つまり「現状のリソースやファシリティおよびマテリアル」は変えずに、「価値」を変えるという行動となります。それは全面的に変えるという1かゼロではなく、部分的に不動産貸しをするでも良いでしょう(例えば、従来の旅館と新たなシェアハウスが同じ建物の中で共存しても面白くなります)。


【結論】
現状のリソースは変えずに、顧客と価値を変えるチャレンジがコストを最小限にして、変化を最大限に出来ます。 

 


【お問い合わせ】
https://www.iri-ltd.com/ もしくは info@iri-ltd.com (担当:杉村)


【著作文責】株式会社インクルージョン(Inclusion Research Institute, Ltd.【略称:IRI】)https://www.iri-ltd.com/