これは、「ブレイン・コネクト」という意思決定を行う思考フレームワークを使ったお試し事例になります。
 国民の合意も曖昧な状態で走り出してしまったGoToトラベルを、今回はブレコネしてみました。今回もオンラインワークショップで行いました。

 

◆参考文献◆

「たった1枚の紙で誰でも意思決定できてしまうブレイン・コネクト」

監修:株式会社インクルージョン 著:杉村寿重/和氣俊郎/横内浩樹/平塚智文  三恵社2019年  https://www.amazon.co.jp/dp/4866931248

 

◆GoToトラベルは誰のためのキャンペーンなのか?◆

 このキャンペーンで誰がハッピーになれるのでしょうか。見切り発車の感が大きくありますが、どんな問題が普及のボトルネックになっているのでしょうか。そんなことをブレコネで考えてみました。

 

 

◆このケースをブレイン・コネクトで整理してみる(Step1)◆

 Step1では、GoToトラベルのステークホルダーは利益がもたらされると思われる「JTBなどの旅行代理店」や「旅館ホテル等」、キャンペーンの主体者の「自民党」、ユーザーとなる旅行者は「コロナ意識が高い旅行者」と「コロナ意識の低い旅行者」の2種類、利害関係が発生する旅行先の「コロナ意識の高い地元民」と「観光地の自治体・行政」、そして最終的にGoTo対象者から仲間外れにされた「都民」としてみました。

 そしてPain(そのせいで)で出てくるのは大変さと悩ましさ、そして思惑違いの言葉が色々と出てきました。

 

 

◆時系列で整理(Step2)◆

 Step2ではGoToトラベルの発表で「すでに起きている」こと(赤マル)、開始後に「短期間で起きる」こと(青マル)、そして実施した「その後に起きる」こと(無印)で区分けしてみました。

 Pain(そのせいで)では「追われる」「避難」「悩む」「不満」などが選択されました。Gain(そのおかげで)では「期待」「別の楽しみ」「自己満足」などが選択されました。

 尚、同じように「追われる」の言葉がでてくる「JTBなど旅行代理店」「旅館ホテル等」「観光地の自治体・行政」ですが、同じように見えて、その先には違う利害があることが分かります。

 

 

◆主要なステークホルダーは何をどう行動するか(Step3)◆

 Step3に至っては、そのせいで側は「GoToの困惑」や「GoToのリスク」そして「GoToには乗らない」といった行動(意思)が出てきました。

 そのおかげ側では「GoToとは無関係な商品」などという行動(意思)が出てきており、もはや不満の多いGoToとは関わらずに別の形でやった方が良さそうだとの思いが溢れています。

 これでは、誰のためのGoToトラベルなのかが分からなくなってしまい、全くステークホルダーを無視したキャンペーンとしか言わざるを得ない感じがします。

 

◆意思決定(結論)◆

 

 

 

 そこで結論を出すと・・・

 

【結論:誰のためのGoToなのか?】
・GoToは当初、JTBへの利益誘導と思われていたが、そのせいでを見る限り誰に対してもコストや不安が増えるだけで利益が無いことが分かる。
・自民党が利益誘導と考えていたことが実現できないことで自滅の道しか見えてこない。
・そのおかげでを見ても、GoToと絡まないサービスを生み出した方が良いことが見えてくる。
・GoTo対象外の都民は別の楽しみを模索し始めるGoToに目を向けない。
・コロナ意識の低い旅行者も最初は安く旅行に行けてハッピーと思っていても、観光地の住民から手放しに称賛されず、反感を買うリスクを考えると、手放しには喜べない。
・そもそも多くの人が損失を感じるGoToは誰のためのキャンペーンだったのか?

・誰が儲かったのか??もしかして広告代理店への利益誘導だったのか?

・・・等々といった言葉が出てくるに至りました。

 

 これでは利権者の裏を勘繰られたり、深い闇を思わせたりする効果は絶大で、人々の不信感を買うことはあっても、決して信頼ある政策とは思えないでしょう。

 

 ではGoToキャンペーンに何が足りなかったのでしょうか?

 

 例えば少し前に政府から出された、新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA= COVID-19 Contact-Confirming Application)が普及していない、これも大きな問題です。なぜ普及に障壁を作ってしまったのでしょうか。

 

 いわゆる「夜の街」関連も自粛お願いではなく、COCOAとセットで夜の街を運用するようにすればそれなりの効果も可視化することができます。つまり接待を伴う飲食店やカラオケなどに入店するには、必ずCOCOAをインストールしなければならないようにする等です。

 

 同様に、GoToトラベルもCOCOAとセットで運用すれば、もう少し違った展開になったのではないでしょうか?
 実施する前に絶対に必要なことは、「まずは安全だ」ということに関する「国民の納得を得る」ことが先決だろうということです。それがなければ適正な効果は生まれないことは火を見るより明らかです。

 

 施策を決定する前にブレコネしていれば、GoToトラベルはもっと有効なものになっていたかもしれません。

 お試しでも良いので、色々な施策をGoする前に事前検証でブレコネを使ってみてはどうでしょうか?

 

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