痛ましい事件を時折ニュースで目にします。母親と娘のひとり親家庭での、虐待の果てに子供が死に至ってしまう事件です。何故こんな悲しい事が起きてしまうのか、もっと子育てしやすい社会にするにはどうすれば良いのでしょうか。
そんな疑問から今回は、孤立化するシングルマザーをテーマに複数のチームとブレコネしてみました。
◆参考文献◆
「たった1枚の紙で誰でも意思決定できてしまうブレイン・コネクト」
監修:株式会社インクルージョン 著:杉村寿重/和氣俊郎/横内浩樹/平塚智文 三恵社2019年 https://www.amazon.co.jp/dp/4866931248
◆シングルマザーはどうして孤立化するのか◆
偏見かもしれませんが、TVニュースなどに上がる痛ましい話は、若い母親(20代)と娘というケースが多い感じがします。そして完全に孤独な母親ではなく、遊びたい気持ちを多く持ち、交際する男性がいる母親です。これは単にスキャンダラスなニュースになりやすいからなのでしょうか、それともそういうパターンがあるということなのでしょうか?
そして、これらの母親は自分の孤独を埋めようとして異性に対するアクティブな行動を行う反面、自分の子供には冷酷な面が感じ取られますが、それも単にニュースを報道する側が創り出した人物像なのでしょうか、それともそういうパターンがあるのでしょうか?
そこら辺にマスコミの操作性がどの程度あるのか否かは分からないので話からは外し、報道されているイメージから考えてみたいと思います。
◆Step1(ステークホルダー)◆
複数のチームでブレコネしてみましたが、出てきたステークホルダーは概ね同じものでした。このテーマに対するステークホルダーの認識は、メンバーが違っても合っているものと思えます。
まず母親そして子供です。次は住居環境に関するものとして、同じマンション(もしくはアパートや団地)の住人、そしてマンション管理会社(もしくは大家)です。加えて、このテーマのキーパーソンとなるであろう行政・福祉の担当者や組織となります。その他の環境として一般世間もステークホルダーにしたチームもありました。
【Aチームの「そのせいで、今起きていること」】
・母親は「相談相手がいない」「生活(経済、精神)に余裕が無い」。
・子供は「親とのコミュニケーションが上手く行かない」「親の愛情をたっぷり貰えない」。
・同マンション住人は「気になるが声をかけづらい」「生活実態が気になる(不安を感じる)」。
・マンション管理会社は「生活実態が気になる(不安を感じる)」。
・行政福祉担当者は「生活実態の把握が困難」。
【Aチームの「そのおかげで、今起きていること」】はありませんでした。
【Aチームの「そのせいで、今後起きる可能性」】
・母親は「子供に当たる」「イライラする」。
・子供は「親の顔色を仰ぐ(悲しませたくない)」「自分の気持ちを押し殺す」。
・マンション管理会社は「面倒な対応が発生するリスクを抱える」。
・行政福祉担当者は「何か起きた時の対応は難しい」。
【Aチームの「そのおかげで、今後起きる可能性」】
・母親は「新たなパートナーを模索する」「話の分かる仲間を探す」。
・子供は「自立心が高まる」「自分がしっかりしなければと思う」。
・同マンション住人は「子供などの様子を気に掛けるようになる」。
・マンション管理会社は「見守りの意識が高まる」。
【Aチームの「そのせいで、トラブル発生後の可能性」】
・行政福祉担当者は「“孤立化するシングルマザー”関連情報の発信」。
【Aチームの「そのおかげで、トラブル発生後の可能性」】
・行政福祉担当者は「個別訪問の意識が高まる」「社会的課題の意識が高まる」。
【Bチームの「そのせいで、今起きていること」】
・母親は「誰かに頼りたい」。
・子供は「精神的に不安定」。
・同マンション住人は「子供がらみの面倒に巻き込まれる不安」「余計な心配事やトラブルに巻き込まれる不安」「見て見ぬふりは出来ないが、何となく嫌な感じ」。
・マンション管理会社は「事件を起こされないかの心配事が増える」。
【Bチームの「そのおかげで、今起きていること」】
・母親は「周囲の同情を買う」「自分の考えで子育てができる」。
・子供は「周囲に優しくされる」「周囲に気に掛けてもらえる」「母親の愛情を独り占めできる」。
・同マンション住人は「常日頃のコミュニケーションが良くとれる」「世話を焼くことが出来る」。
・マンション管理会社は「今まで以上にコミュニケーションが良くとれる」。
【Bチームの「そのせいで、今後起きる可能性」】
・母親は「寂しい、不安」「快楽に逃げる」「子育てがうまくできない」。
・子供は「必要以上に母親に依存」「父親の愛情を受けられない」「母親の嫌な面を見てしまう」。
・マンション管理会社は「対外的な調整や問合せ対応に巻き込まれる」。
・行政福祉担当者は「ひとり親対応の仕事が増える」。
【Bチームの「そのおかげで、今後起きる可能性」】
・母親は「社会的支援も受けやすくなる」「経済的支援も受けやすくなる」。
・マンション管理会社は「シングルマザー向けの新ビジネス」「子供向けの新ビジネス」。
・行政福祉担当者は「ひとり親ケース対応の経験値が増える」。
・一般世間は「自分事として考え始める」「お互いを認め合う対応を考え始める」。
【Bチームの「そのせいで、トラブル発生後の可能性」】
・母親は「相談する人や組織がない」「常に経済的不安がある」「精神的に不安定」
・行政福祉担当者は「事故を未然に防ぐプレッシャーを感じる」「面談も思うように出来ない苛々」「介入しても感謝されない苛立ち」「自分や組織の存在価値に悩む」「近隣住人との板挟み」「ひとり親から相談して貰えないもどかしさ」「自分たちの力不足を感じる」。
・一般世間は「スキャンダルに目が行きがち」「差別意識や偏見を持つ(強める)」。
【Bチームの「そのおかげで、トラブル発生後の可能性」】
・行政福祉担当者は「各部署や外部との連携を強化する」「ひとり親でも子育てしやすい街づくり推進」「自分や組織の存在価値や存在意義を再認識する」「地域の安全対策を強化する」
・一般世間は「社会的弱者への対応を考え始める」。
◆Step3(それぞれの行動)◆
【Aチームの行動】
・母親は(そのせいでからは)「孤立を失くす」、(そのおかげでからは)「仲間作り」。
・子供は(そのせいでからは)「自分の楽しみを見つける」。
・同マンション住人は(そのせいでからは)「関わる機会を探す、もしくは面倒だと思う」、(そのおかげでからは)「見守り意識向上」。
・マンション管理会社は(そのせいでからは)「関りを作る」、(そのおかげでからは)「見守り強化」。
・行政福祉担当者は(そのせいでからは)「繋がる場の検討」、(そのおかげでからは)「情報収集と関係機関連携」。
【Bチームの行動】
・母親は(そのせいでからは)「自分を助け(不安を解消し)てくれそうな人に頼る」、(そのおかげからは)「支援活用」。
・子供は(そのおかげでからは)「家庭外の場を活用」。
・同マンション住人は(そのせいでからは)「目を光らせる、もしくは無関心」、(そのおかげでからは)「世話を焼く」。
・マンション管理会社は(そのせいでからは)「目を光らせる注意再認」、(そのおかげでからは)「世話を焼く」。
・行政福祉担当者は(そのせいでからは)「福祉のPR広報」、(そのおかげでからは)「福祉存在意識の再考」。
・一般世間は(そのおかげでからは)「意識化」。
◆結論◆今回の主人公(意思決定者)は福祉担当者としました。
【Aチームの結論】
福祉担当者が今やること(手順)
1)現時点で自分/自組織が持っている情報の棚卸をする。
2)棚卸の結果、不足している情報を埋めるためや課題を共有すべき関係機関をリストアップ。
3)リストアップした機関に一つずつ連絡し、情報収集を行う。
4)必要な情報が一通り収集出来たら、関係機関との情報共有を行う。
5)関係機関と共通認識を持って、次なる福祉活動のステップを一緒に検討し行動。
6)警察や病院その他の関連機関との連携を強化する。
立場の違いで考えるべき優先順位は変わってくると思いますが、出てきた意見からも、ことが起きてからの対処ではなく、予防的視点は重要になるとの意見が出ました。
(相談のしやすい場や人の工夫、当事者を発見し介入するまでの仕組みなど)
【Bチームの結論】
世間が期待する福祉の意義
・相談し易い社会、繋がりやすい支援
・プロアクティブ(積極的取組み)によるアウトカム(効果測定)
世間が期待する福祉が今やること
・上手く頼れない人にこそ必要な支援
・子育て支援より、出産前支援
【お問い合わせ】
https://www.iri-ltd.com/ もしくは info@iri-ltd.com (担当:杉村)
【著作文責】株式会社インクルージョン(Inclusion Research Institute, Ltd.【略称:IRI】) https://www.iri-ltd.com/







