役に立たない文型論 (5) | 英語学習雑感ブログ

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高校3年生レベルの理解力

 

 

文型論に夢中になりすぎると、書かれているものがそのまま構造を反映していると思い込み、目的語が不要であるから目的語が書かれないのか、コンテクスト上、目的語が明白であるので、省略が行われているのか、それらの区別を行わない悪い癖が付いてしまうことにもなります。

 

一つの文だけを見て、それに文型を当てはめるという不毛な考え方をせず、前後のコンテクストを見て、省略が行われているところを発見して、省略が行われている部分を補って意味を取るという習慣をきちんと付けることが極めて需要です。

 

 

簡単な例を挙げてみましょう。

A: Jimmy is the worst kid in this school.

 

B: [I see, I know].

 

Aの発言に対して、Bがする返答として妥当なものはどちらですか。

 

これは、慣用句と考えずに、seeとknowにコンテクスト上、明白な目的語であるAの発言が省略されていると分かることが大切です。

 

そうすると、

I see (that) Jimmy is the worst kid in this school.

「ジミーがこの学校で最悪のガキであるのは、理解できた」

これが正解出ないことは、AがJimmy is the worst kid in this schoolということを理解できるような説明をAが一切していないことをコンテクストから読み取れば、簡単に分かります。

 

それに対し

I know (that) Jimmy is the worst kid in this school.

「ジミーがこの学校で最悪のガキであるということは、間違いなく正しいと思う」

これは、Bの実感を答えているだけで、Aが自分の言い分の正しさを理解できるように説明している必要がないので、こちらが正解であると分かります。

 

ちなみに、knowは日本人が「知っている」という日本語と等しいと思っているために、それが邪魔をして正解にたどり着かないことがあり得ます。

knowは、目的語示される内容がとにかく絶対に間違いがないと思えることを示すと覚えた方が良いです。

 

When I saw her coming toward me, I knew she was going to scold me.

これを日本人特有の勘違いで

「私が、彼女が自分の方にやって来るのを見たとき、私は彼女が自分をどやしつけるのは知っていた」

などと訳してしまうと、予知能力があることを自慢しているナンセンスな文になりますが、正しく、

「私が、彼女が自分の方にやって来るのを見たとき、彼女が間違いなく自分をどやしつけようとしていると思った」

と理解すると、自分の確信している気持ちを告白するのですから、極めて自然です。知覚にやって来るときに、彼女の攻撃的な態度が読み取れたのでしょう。

 

先ほどの

I know (that) Jimmy is the worst kid in this school.

は、「Aさんの発言内容を私は間違いなく正しいと思う」と述べているのですから、これが正解であることが分かります。

 

このように、不毛な文型論を学んで、使えもしないknow = 「知っている」という訳語を貼り付ける。このようなことを卒業しない限り、低次元の英語学習は際限なく続くでしょう。