Domestication | 英語学習雑感ブログ

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高校1年生レベル

 

 

 

この単語に関して、誤解が多いので、

少し説明しておきましょう。

domesticという形容詞にした方が、

難しい話ではないように思えて、

初心者でも話しに入って行きやすいと思われますが、

domestic violenceとdomestic economyでは、

それぞれdomesticの意味が

異なるという面倒くさい問題があるので、

知識を誇示しているように誤解されることをあえて厭わず、

この言葉を使っています。

 

問題は「家畜化」という日本語と、

domesticationが等しいと思っている

学者が非常に多いということです。

 

最初に違和感を覚えたのは、「猫の家畜化」という日本語です。

猫は家畜ではないので、

これはナンセンスな日本語のように思えたのです。

そんな目くじらを立てるなよ、domestication of animalsで「動物の家畜化」

として、犬猫も含めて人間が飼っている状態を表すので良いじゃないか、

という反論が返ってきそうですが、それでは

domestication of plants

という表現がありますが、これはどうするのでしょうか。

「植物の家畜化」

ぎこちない日本語だけど目くじらを立てるなよ、とまたうんざりする言い訳が聞こえてきそうです。

 

それでも根本的な理解の妨げになっていると思われるので、

「家畜化」という訳語はだめだと言っておきましょう。

 

Domestication of catsは、

別に猫が人間に飼われている状態が実現しないでも

この英語の状態は実現できているのです。

もともとは、猫の方が人間の生活圏に近寄ってきたことが

最近の研究から分かっています。

つまり、

猫が人間の生活圏の中で暮らすようになったことをもって、

まだ人間にかわれていなくても、domestication of cats

が成立しているのです。

食料を人間が大量に仕入れてきたときに、

猫が人間にだけ使うことが

最近では分かっている「猫なで声」を使って、

情にほだされた人間から

餌をもらう関係になっても、

domestication of catsなのです。

人間にだかれることを拒否しても、

軽くなでてもらうことと猫なで声と引き換えに、

定期的に、人間から餌のおこぼれをもらうようになっても

domestication of catsなのです。

 

同じように、人間が他の動物に食われてしまわないように、

ある程度

その植物を守ることをしても

domestication of plantsが成立しているのです。

逆に、種は蒔くけども、野原で他の動物に食われっぱなしでは、

domestication of plantsは成立していないのです。

 

 

domesticationとは、

ある種が人間の生活圏で繁殖をする状態になっている

ことを指しているとみた方が良いので、

安直な「家畜化」と同じであると思い込まない方が良いのです。

この悪い癖は、

留学した人や帰国子女に余計に見られる現象なので、

留学などが国際化の手段であると安直に言う人は、

問題の根本を理解していないと思わずにはいられません。

 

N○Kの番組で登場する研究者も、

留学経験を鼻にかけてこのような安直な日本語を使いますが、

彼らこそ、一般の人々が本当の理解を

妨げる原因になっていると言いたいのです。

日本ほらこき協会(?)は、このことを真剣に考えるべきだと思います。

 

 

又吉直樹さんが登場するEテレの番組で、専門の研究者が、

「ハチ公は、渋谷駅に戻ってしまった

と日本語で述べたのですが、

これはreturned toの意味の取り間違えで、

ハチ公にとって戻る場所は、上野教授の家、

あるいはその親族の家で、

渋谷駅はねぐらにはしていなかったことが分かっています。

このブログでも紹介したように、ここでのreturned toは

「・・・へ繰り返し行った」という意味です。

繰り返し渋谷駅に行くので、話題にもなるし、

ワルガギのいじめにもあったのです。

このことを知らない一般の視聴者が、先の専門家の台詞を聞いて

誤った理解をしてしまうのは、本当に情けないとしか言えません。

 

 

 

英語のことをきちんと分からない一般の視聴者にも、

正しいメッセージが伝わるように、専門家が自分たちが英語を

誤読していないか、今一度、確認してみるべきだと思います。