海外に住むようになって５年ほど経ちますが、
最近になってやっと、と言いますか、
意識するようになったことがあります。
それが『日本人としてのアイデンティティ』です。
ホントに今さら、という感じですが・・・。
海外へ出た日本人の多くは
異文化を理解しようとするし、
異文化を受け入れようと努力します。
中には日本とまったく文化が異なる欧米人の中に
溶け込んで、うまくやっている人もいますが、
そういった人たちを見て(すべてではないですが)
僕は少なからずの違和感を感じてました。
最近、歴史を学ぶ機会に恵まれたこともあって、
それをキッカケに、僕が感じていたその違和感が
何なのかがつかめてきました。
僕が感じていた、外国人を理解しているように
見える日本人に対する違和感、
それは『日本人として地に足が着いていない』
ということです。
つまり、日本人としての自分という存在を
抜きにして相手を理解しようとしているのです。
自我というものについての一定の知識
がある人なら、これが支離滅裂な行為
であることは理解できるはずです。
異文化に対して、
「へ～、こういう考えもあるんだ」
とだけに終始して、
日本人としての自分はどうなのか、
そういう視点が抜け落ちてるのです。
これは異文化理解ではなく
『異文化迎合』だと捉えてもいいでしょう。
そういう僕も、
『異文化迎合』的にやってきた一人です。
かつて、
ジミ・ヘンドリクスという伝説のギタリストが
ステージから聴衆に向かってこう言い放ちました。
「魂を国家に管理させるな。
愛国心を持つなら地球に持て！」
これを聴いて、１０代の頃の僕は
「おお、カッコイイ、その通りだ！」
と、ガッツリ影響を受けたわけですが、
これって確かに良いことは言ってはいるけれど、
今、思えばただの抽象論でしかないわけです。
話を戻すと、他者を理解するには自分のことも
ある程度、理解している必要があるけれど、
この場合、日本人としての自分に対する理解が
まったくないまま、
異文化を理解しようとしているのです。
というより、
日本人としての自分というものが
自分の中で育たないまま、
成長してきたんだろう思います。
人間を作るのは『教育』ですが、
教育の根本には言語があります。
つまり、どういう言葉をインプットするか、
そして、どういう言葉を使うかで、
その人の人格が決まってくるのです。
日本では戦後、多くの漢字が外部からの要因で
書き換えられたという歴史があります。
『私』という字も、その一つです。
『私』という字には、
どういった意味が宿っているか。
【 私 】という漢字は
【のぎへん＋ム】でできてますよね？
これは稲（のぎへん）を刈り取って
（ム）自分のものにする
という意味が込められているそうです。
そうやって見てみると、『私』という字からは
『所有』や『分離』を連想させられますが、
でも実は、
戦前は、『わたし』という一人称単数は、
【 和多志 】という字を使って表現していました。
この『和多志』を翻訳するとどうなるか？
【 多くの志があっていい 】
つまり、
『私』とは相反する意味を持っているのです。
僕はここに本来の日本人の精神性
が宿っていると思います。
「みんな違っているけれど、それでも調和できる」
という精神がそこにはあるのです。
海外では、
「日本人はおとなしい」
「日本人は自己主張がヘタだ」
と言われていて、実際その通りだと思います。
でも、この『和多志』という字から察するに
本来の日本人とは
『自己は主張するけれど、それでも調和できる』
そんな国民性を持っていたんじゃないかと
最近は考えるようになりました。
これを『武士道』というのかどうかは、
まだ、自信を持って言える段階ではないですが、
（まだ、学んでいる最中なので。）
少なくとも、日本が旧来持っていた漢字に
本来の日本人の精神性が現れているんじゃないかと思います。
インターネットを使って情報発信している人であれば、
『時代は【 個の時代 】に移行している』
『これからはシェアの時代だ』
ということは聞いたことあると思います。
そうであるなら、ますます、
本来、日本人が持っていた『和多志』の精神性が
活かされていくんじゃないかという
確信に近いものを抱き始めてます。
日本人としての精神性や魂というものは
これからの時代に調和していくための
キーポイントになるんじゃないかという気がしてます。
これから、国境という概念すら
曖昧になっていくだろうし、
そうなってくると一層、
自分という存在の拠り所を失って、
『私』に飲み込まれていく可能性が
さらに大きくなっていくでしょう。
そうならないためにも、『和多志』を理解し、
『地に足を着けて、地球に愛国心を持つ』
という抽象度が必要だと思うのです。
「おお、こんな稼ぎ方があったんだ！」
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