silver Seoul☆ -2ページ目

silver Seoul①ー5

「だ~か~らぁ!なーんでまだ帰ってないのって言ってんの銀さんわぁ!!ちゃんと言ったよね???俺が帰ってくるまでに家に返すって!!寝てるなら起こせばよかっただろ~?」


襖の向こう側から聞こえる銀さんの声。


本当なら起きて、謝りに行くべきなんだろう。


私が邪魔者なのはわかりきったことだし、そのせいで神楽ちゃんや新八くんが怒られてるのも承知してる。



それなのに、ここから追い出されたら、行く場所がないのが怖くて、寝たフリして布団に入ってる。


部屋の向こうから漏れる光が眩しい。


窓の外はもう真っ暗。
長い時間寝ていたんだろうな。



「銀ちゃん、何カリカリしてるアルか??依頼主が嫌だったアルか?」


「そうですよ、銀さん。それに、ノアさん、家に帰りたいけど帰れないって言ってましたし、何か事情が・・・」



新八くんの言葉を遮って、銀さんが声をあげた。


「どーせくだらねぇ親子喧嘩かなんかだろ?あれぐらいの年頃の娘はなぁ…パパと同じようにパンツを洗いたくないーとか難しいんだよ。」



「私も、銀ちゃんと一緒に洗いたくないネ。なんか不潔な感じするアル。」


「傷ついたー!銀さんめーっちゃ傷ついたよ神楽ちゃーん!!」

「とにかく、今日ぐらいはノアさん・・・」

「今回の依頼はよー引き受けたくなかったんだけどよー」


「オイこら、見事にスルーしないで下さいよ、見事に。まぁ、いいや。どんな依頼だったんですか?」


ここで少し間があいた。


「真撰組の隠密調査。なんでも、テロ犯が紛れこんでるらしくてよ。見つけてくるってのが仕事内容。」

「なら、近藤さんに事情を話せばいいじゃないですか。姉上の名前を出せば・・・」

「いや、誰にもバレちゃいけねぇんだとよ」


はぁ~と銀さんがため息をはく。

新八くんも神楽ちゃんもいい案が出ないらしく、黙りこんだ。


「・・私たち、あいつらに顔バレてるアル。だからバレないなんて難しいアル。」


確かに、面識のある相手なら、無理な仕事だろう。


だとしたらあの3人では無理。


・・・その仕事ができる人間はこの家の中には恐らく1人。

きっと、面識がない私ぐらいだろう。


でも、所詮は部外者。



私も小さくため息をついた。



silver Seoul①ー4

しんせんぐみ・・・


あまり勉強熱心だとはいえない私でも知っている、その名。


確か江戸時代の警察みたいな団体。


池田屋の事件とか、何かの本で読んだ気がする。


とにかく、江戸時代だ。



ってことは、私はタイムスリップしたの?


それならみんなが着物着ているのも説明がつく。



でも・・・


神楽ちゃんの服はチャイナ服だし、この間一瞬見た街は、現代と変わらない感じだった。



さっきから神楽ちゃんが誰かのことを、『サド』って呼んでるけど、多分、サドティックからきてるんじゃないかな。


だとしたら完璧に横文字。



江戸時代だけど、私の知らない江戸時代。



タイムスリップなんて可愛らしいものなんかじゃない。



ここは、異世界だ。


目の前は真っ暗なのに頭の奥は真っ白。


帰れない。




漠然とただそう思った。



数秒後、ようやく涙が溢れた。


「どうしたアルか!?」

「ノ、ノアさん!?!」

私の涙に気付いて、2人は慌て出した。


「・・・帰りたい。」


「「へ?」」


2人揃って間抜け顔。
こんな場面じゃなかったら大笑いしたいぐらい。


「帰りたいのに・・・・・帰れないの・・」


そう言ってワッと泣き崩れた。


遠慮がちに新八くんの手が頭を撫でてくれる。


すぐにその手を神楽ちゃんが叩いて、私を抱き締めてくれたけど。



「話しは後ネ。とにかく今は泣くヨロシ。」


「か、神楽・・・ちゃ・・ん・・・」


意味もなくその名を呼ぶ。



神楽ちゃんといると不思議に懐かしい感じがする。



なんでかは分からないけど。



涙が枯れた頃、私は泣き疲れて眠っていた。



神楽はその寝顔を見ながら、少し引っかかることがあった。


白い肌に、青い瞳。


髪の色は黒だけど…



「私に似てる・・・」


自分とノアが、とても似ているような気がした。



まるで



親戚のように。





silver Seoul①ー3

みんなで笑って話しているとガラリと襖が開いた。


「ったく・・・うっせぇんだよ!!!!!」

シーンと静まり返った。


多分、20代くらいで、銀色の髪。


なんか目は・・・


死んでる。



そんな男の人がダルそうに立っていた。


「あぁ、銀さん。帰ってたんですか?依頼のほうは・・・?」


新八くんがその男を見て笑顔になった。


神楽ちゃんも嬉しそう。



でも・・・


なんか嫌…だな。


いい人なんだろう。こんなに慕われてるし。



でも、どこか、野生の匂いをさせる人だ。


血の、匂い。



嗅覚よりも感覚だけど。


なんか、怖い。



無性に逃げ出したくなってしまう。


なんでかな。



「で?あの子は何よ?あの子は!銀さん、拾ってくるのは定春が最後って言っただろ~?」


「違うネ!ノアは私の友達ヨ!!銀ちゃんがいない間に友達になって、倒れてたから看病してたネ!!」

「おいおい、神楽ちゃ~ん?『友達になって』と『倒れてた』の間に何が起こったんだ?隕石でも落ちましたかコノヤロー」


「と、とにかく!ノアさんは本当にいい子なんで!!!」


新八くんが折り合いをつけるように言っ