都響スペシャル ハーディング指揮の「巨人」2024-08-10 サントリーホール | sakagumoのブログ

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会社員です。クラシック音楽と読書と温泉が好きです。あと万年百十の王だけど、楽しくゴルフ⛳をすることが好きです。
最近は筆不精がたたって、読む専門です。

東京都交響楽団

指揮/ダニエル・ハーディング
ソプラノ/ニカ・ゴリッチ

音符ベルク:7つの初期の歌 

ⅰ夜 ⅱ葦の歌 ⅲ夜鳴きうぐいす ⅳ夢を抱いて ⅴこの部屋で ⅵ愛の讃歌 ⅶ夏の日々
音符マーラー:交響曲第1番 ニ長調 《巨人》

 

ハーディングが都響に登場。東京フィル、新日本フィルに続いての在京オケの指揮。コロナで延期になっていたものが、ようやく実現ということもあって、昨日含め2日間とも完売とのこと。

コンマスは水谷さん。

 

前半のベルクではスロヴェニア生まれのニカ・ゴリッチが登場。

 

凄い美形。声も清涼な響きが美しく、速攻で魅了されてしまいました。

 

第1曲の「夜」だけやや長めだけど、あとの6曲はそれぞれ1~2分くらいのもので、全体でも15分強くらい。

 

素晴らしい歌唱と演奏でした。取っ付き難そうなアルヴァン・ベルクですが、もともとは初期の歌曲を後年オーケストレーションしたものなので、案外とロマンチックで、20世紀前半の成熟したウィーンの香りを感じさせてくれます。

 

とりわけ第3曲の「夜鳴きうぐいす」が圧巻で、叙情味あふれるゴリッチの歌唱にうっとりしてしまいました。

 

オーケストラは編成が大きいのですが、咆哮するところはほとんどなく、柔らかいアンサンブルで、ベルクの見事なオーケストレーションが存分に味わえます。

 

ハーディングはこうした繊細な音楽作りは得意で、都響から見事な響きを引き出していました。

 

猛暑のさなかは、暑苦しい作品よりは、こうした涼やかな作品を聴くのが良いですね。

 

後半はマーラーの「巨人」。前半からそうだったのですが、オーケストラの配置は、ヴァイオリンは両翼配置。

 

弦バスは下手後方、ちょっと変わっていたのが、ホルンが上手後方に2-4-2で8名縦に並ぶ。ハープも上手後方ステージ寄り。

 

ハーディングは弱音のアンサンブルを、かなり慎重に、きめ細かくコントロールしている感じでした。

 

第1楽章序盤の弱音続きは、都響のメンバーもハーディングの要求によく応えていましたが、やや硬かったように感じました。

 

逆に盛り上がるところは、かなり早めのテンポですっ飛ばす感じで、メリハリを効かせた音楽作りでした。

 

第2楽章ではようやく解放感が出てきて、都響もいつもの調子が出てきた感じです。

 

第3楽章では再び、やや神経質な弱音作りとなりましたが、普通ではちょっと聞けないような、ハッとするような美しい瞬間がいく度もありました。

 

終楽章は出力全開!ハーディングの電光石火の指揮ぶりに都響のメンバーも食らいついていきます。

 

惜しむらくは2回目大きく盛り上がったところで、トランペットが落ちたこと(トロンボーンが速かった?)。これは痛かった(もろ主旋律なので)。しばらく、全体的に緊張感が弛緩したような気がしました。

 

それでもクライマックスは持ち直し、輝かしく勢いのある演奏で、大いに盛り上げてくれました。