東京都交響楽団
指揮/ダニエル・ハーディング
ソプラノ/ニカ・ゴリッチ
ベルク:7つの初期の歌
ⅰ夜 ⅱ葦の歌 ⅲ夜鳴きうぐいす ⅳ夢を抱いて ⅴこの部屋で ⅵ愛の讃歌 ⅶ夏の日々
マーラー:交響曲第1番 ニ長調 《巨人》
ハーディングが都響に登場。東京フィル、新日本フィルに続いての在京オケの指揮。コロナで延期になっていたものが、ようやく実現ということもあって、昨日含め2日間とも完売とのこと。
コンマスは水谷さん。
前半のベルクではスロヴェニア生まれのニカ・ゴリッチが登場。
凄い美形。声も清涼な響きが美しく、速攻で魅了されてしまいました。
第1曲の「夜」だけやや長めだけど、あとの6曲はそれぞれ1~2分くらいのもので、全体でも15分強くらい。
素晴らしい歌唱と演奏でした。取っ付き難そうなアルヴァン・ベルクですが、もともとは初期の歌曲を後年オーケストレーションしたものなので、案外とロマンチックで、20世紀前半の成熟したウィーンの香りを感じさせてくれます。
とりわけ第3曲の「夜鳴きうぐいす」が圧巻で、叙情味あふれるゴリッチの歌唱にうっとりしてしまいました。
オーケストラは編成が大きいのですが、咆哮するところはほとんどなく、柔らかいアンサンブルで、ベルクの見事なオーケストレーションが存分に味わえます。
ハーディングはこうした繊細な音楽作りは得意で、都響から見事な響きを引き出していました。
猛暑のさなかは、暑苦しい作品よりは、こうした涼やかな作品を聴くのが良いですね。
後半はマーラーの「巨人」。前半からそうだったのですが、オーケストラの配置は、ヴァイオリンは両翼配置。
弦バスは下手後方、ちょっと変わっていたのが、ホルンが上手後方に2-4-2で8名縦に並ぶ。ハープも上手後方ステージ寄り。
ハーディングは弱音のアンサンブルを、かなり慎重に、きめ細かくコントロールしている感じでした。
第1楽章序盤の弱音続きは、都響のメンバーもハーディングの要求によく応えていましたが、やや硬かったように感じました。
逆に盛り上がるところは、かなり早めのテンポですっ飛ばす感じで、メリハリを効かせた音楽作りでした。
第2楽章ではようやく解放感が出てきて、都響もいつもの調子が出てきた感じです。
第3楽章では再び、やや神経質な弱音作りとなりましたが、普通ではちょっと聞けないような、ハッとするような美しい瞬間がいく度もありました。
終楽章は出力全開!ハーディングの電光石火の指揮ぶりに都響のメンバーも食らいついていきます。
惜しむらくは2回目大きく盛り上がったところで、トランペットが落ちたこと(トロンボーンが速かった?)。これは痛かった(もろ主旋律なので)。しばらく、全体的に緊張感が弛緩したような気がしました。
それでもクライマックスは持ち直し、輝かしく勢いのある演奏で、大いに盛り上げてくれました。