沼尻・神奈フィル/レニングラード&パーヴォ・NHK響/アルプス 2023-04-15 | sakagumoのブログ

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会社員です。クラシック音楽と読書と温泉が好きです。あと万年百十の王だけど、楽しくゴルフ⛳をすることが好きです。
最近は筆不精がたたって、読む専門です。

きょうもまた、昼に夜にあれこれバッティングの土曜日。

ぼくは、その中でもまぁ多いであろう神奈川フィル⇒N響ルート。

どちらも大編成のオーケストラ芸術が堪能でき、お腹いっぱい、大満足のはしごとなりました。

 

神奈川フィル 定期演奏会(横浜みなとみらいホール)

指揮:沼尻竜典

音符ショスタコーヴィチ/交響曲第7番「レニングラード」

 

神奈フィルの「レニングラード」と言えば、川瀬賢太郎氏の指揮で名古屋フィルとの合同演奏による2015年の公演が思い出されます。

 

今日は神奈フィルだけでということですが、バンダー部隊などかなりの数のエキストラは入っていたことでしょう。

 

沼尻さんの指揮というか、音楽作りは、伸び伸びとしたもので、あまりオーケストラをキリキリと攻め立てる(そういう指揮者の方もけっこういますが)ことはなく、あくまでオケのメンバーの自主性を重んじている…ような気がします。

 

だからオーケストラの音は、硬くならず、大らかでよく響きます。

 

第1楽章、スネアドラムのリズムに乗って繰り返される「侵入のエピソード」での暴力的なまでの盛り上がりには震え上がりました。きょうの神奈川フィルの集中力は凄かった。

 

終楽章クライマックスでの圧倒的な盛り上がり、痛快な演奏でした。

 

そんなに多く神奈川フィルを聴いてきたわけではないですが、今まで聞いた中ではベストと言えるパフォーマンスだったと思います。



 

NHK交響楽団 定期演奏会(Aプログラム)NHKホール

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ

音符リヒャルト・シュトラウス/「ヨゼフの伝説」から交響的断章

音符リヒャルト・シュトラウス/アルプス交響曲

 

神奈川フィルが14時開演で、「レニングラード」1曲のプログラムだったので、15時20分くらいには終演。余裕で18時開演のNHKホールへ。

 

神奈川フィルもそうでしたが、N響も満席かと思いきや、けっこう空席も目立ちました。東響やシティフィル、トッパンホールの公演など、客が割れたんですかね。それにこの雨と。

 

コンマスは、特別コンサートマスターになって初めての登場の篠崎マロ氏。となりに郷古氏と万全の布陣。

 

前半の「ヨゼフの伝説」は珍しい。

バレエ音楽というけど、ホルンは8本、パイプオルガンも加わるという巨大編成。交響的断章は作曲家自身が晩年20分強ほど抜粋したものと言いますが、これだけの編成のオケをバックに踊るダンサーも大変そう。というか、バレエとして舞台に上がることはあるのでしょうかね。

 

いかにもシュトラウスらしい、見事な管弦楽法を駆使した伸びやかな作品ですが、他の有名作品に比べると、どうにも散漫な印象がぬぐえない。ところどころハッとするような素晴らしい場面もあるのですが、まぁこんな作品もある…と言ったところでしょうか。

 

何といっても後半の「アルプス交響曲」。これは素晴らしかったです。パーヴォ/N響の名演は数多くあったかと思いますが、このアルプスは、後々まで語り草になる圧倒的な名演奏だったと思います。

 

夜、日の出から、森、小川、滝、牧草地…山頂、嵐、日没、夜…と、細かく場面が展開していくわけですが、それぞれの描きわけが秀逸。

 

(実際に見たことはないですが)アルプスの風景が次々と目の前に繰り広げられていくかのよう。

 

山頂での圧巻のカタルシスは、全身鳥肌が立ちました。石川さんのシンバルの一撃が見事!

 

さらにもう一つのピーク、嵐の場面での激しさ。ウインドマシンの操作は食い入るように見てしまいます(あんまり見すぎると耳がお留守になってしまうのでほどほどに)。

 

きょうのティンパニは、第1ティンパニが植松さん、第2ティンパニが久保さんと、珍しく首席2人がそろい踏み。壮絶なたたき合いをしてました。

 

感動的なのが、日没~余韻~夜と続く最終場面。日没を表現させたら天下一品のシュトラウス、きょうのパーヴォ/N響の演奏には深く心打たれました。

 

単なる登山の終わり、一日の終わりに留まらず、なにか人生の黄昏を感じさせるような、深い深い音楽に聞こえました。

 

本当に見事なアルプス交響曲で、神奈フィルのレニングラードも、前半のヨゼフの伝説も吹っ飛んでしまいました。