オペラパレス ワーグナー「さまよえるオランダ人」2022-02-02 新国立劇場 | sakagumoのブログ

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会社員です。クラシック音楽と読書と温泉が好きです。あと万年百十の王だけど、楽しくゴルフ⛳をすることが好きです。
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新国立劇場オペラパレス2021-22シーズン

音符ワーグナー/歌劇「さまよえるオランダ人」

指揮:ガエタノ・デスピノーサ

演出:マティアス・フォン・シュテークマン

ダーラント:妻屋秀和

ゼンタ:田崎尚美

エリック:城宏憲

オランダ人:河野鉄平 他

管弦楽:東京交響楽団

 

仕事を午後休とって新国立劇場へ。

このコロナによる入国規制で、歌手陣はすべて日本人キャストに変更。指揮は、ジェームズ・コンロンから、入国済みで各オケから引っ張りだこで荒稼ぎのデスピノーサ。ちなみに、このオランダ人4公演後は、すぐに「愛の妙薬」も振るというから、大したものびっくり

 

第1幕のあとに休憩を入れて、第2~3幕を続けてやるパターン。休憩なしで一気にやる方が緊張感はあるけど、2時間半前後はさすがにお尻も痛くなるので、休憩が入る方が楽ですね。

 

パッとしない第1幕に、どうなることやら・・・と、休憩時は不安でたまりませんでしたが、2幕以降は素晴らしく、非常に楽しめました照れ照れ

 

その牽引役は、2幕から登場するゼンタ役の田崎尚美さん。凄かったです!

 

このオペラの内容自体が、女性による救済がテーマですが、今回は、一連のこの公演の救世主たる活躍。題名も歌劇「ゼンタ」とした方がよいのではと思いました。

 

田崎さん、よく名前は聞きますし、まぁベテランの域に入る方かと思いますが、ぼくが聞いたのは日生劇場での「ルサルカ」くらい。その時は、それほど印象に残るほどではなかったと思うのですが、きょうは良かったです。

 

まず声に力がある。ただ野太い声でなく、細身だけど切れ味鋭い、突き抜ける声。美声というほどではないけど、なにしろ熱があるので、感動的なのです。

 

作品自体、ゼンタ役は第2幕以降、出ずっぱりで、大変だけど、それに見合う美味しい役回りではあります。きょうもカーテンコールで、もっとも盛大に拍手を受けてました(ブラボー禁止なのが残念)。

 

オランダ人の河野さんは初めて聞くお名前。まだ若いですかね。しっかりとした発声をされるバス・バリトンですが、やはりオランダ人のカリスマ性や、謎めいた魅力が薄く、ちょっと惜しかったです。

 

呪われ、7つの海をさまよい、7年に一度上陸したときに嫁さんを見つけないと、また7年海をさまよう。死ぬこともできない。。。そんなことをうじうじモノローグで歌うので、よほど不気味さと謎めいた魅力がないと、ただのいじけたオッサンになってしまう。

 

ダーラントの妻屋さんは、いつも通りの安定さ。

 

全編に渡り重要な合唱は、さすが新国立劇場合唱団。素晴らしいアンサンブルでした。力強さに加え、鉄壁のアンサンブルで、きれいにはもってました。

 

オケは、時々集中力を欠くソロなんかもありましたが、総じて手堅くまとめてました。デスピノーサもそつがないけど、オケだけの場面などで、大きくタメを作ったり、緩急をつけたりと、けっこう自己主張もしていて、その風貌から「お前はエッシェンバッハか!」と心の中で思う場面も。

 

演出は、新国立劇場の多彩な設備を駆使し、大掛かりな仕掛けもあって実に楽しめました。第3幕の幽霊船出現の場面は、ちょっと他のホールや劇場ではできないような、大掛かりなもので、スペクタクルでした。最後のゼンタによる救済の場面も、小林幸子さながら、凄くって、ちょっと笑っちゃいました爆  笑爆  笑

 

なんだかんだ、凄く楽しめた公演でした。残り1日あります。