今回は年末年始をはさんで4冊。
「沈没船博士 海の底で歴史の謎を追う」(山舩江太郎 著)
これは面白かったです。
全く馴染みのない「水中考古学」の若き専門家の、悪戦苦闘と水中考古学の勧め。沈没船や水中に眠る遺跡の発掘や研究という、実にロマンを感じる分野。
世界の海には、約300万隻もの船が沈んでいるという。古代エジプト時代から、大航海時代、そして第二次世界大戦と、あらゆる時代の船が沈んでいる。著者はTOEFL読解1点から、単身米国テキサスの大学に乗り込み、船舶考古学博士号を取得。その奮闘記もまた面白く描かれています。
「いろいろ」(上白石萌音 著)
今放送中のNHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の一人目のヒロイン安子役をやっていた上白石さん(実に素晴らしかったです)によるエッセイ。
今回の朝ドラ前から、大河ドラマ「青天を衝け」でも出ていたし、すでに露出度高め。女優業だけでなく、歌手もやり、こうしたエッセイも。中には短編の小説も。
日常の写真もふんだんに取り入れ、なかなか秀逸なエッセイにまとまっていました。日常のさりげない思いや、出来事をつらつらと綴られています。
可愛らしいし、こうした才能豊かな子は、マルチに活躍しますね。
「三国志入門」(宮城谷昌光 著)
宮城谷昌光氏は、まず中国、春秋戦国時代を中心とした歴史的人物の小説で一世を風靡し、ぼくも大好きで「孟嘗君」「重耳」「夏姫春秋」「楽毅」「晏子」「奇貨居くべし」等々、あげればきりがないほど読みましたし、面白かったです。
いつの頃からか、時代を下って、宮城谷版「三国志」も著しています。これは、前述の春秋戦国時代の作品群のような面白さがなく、読むのを途中で挫折していました。
そんな宮城谷さんが、文春新書で「三国志入門」を書かれました。実は、ぼくは未だ「三国志」を読んだことがなく、「いつかは・・」と思っていたところ、「読んだ人も、これから読む人にも・・」との宣伝文句に惹かれ購入。
宮城谷さんの「三国志」愛がぎっしり詰まった本ですが、やはり、三国志の壮大な世界と、あまりに多い登場人物、広大な大陸の地理感などが次々と出てきて、ちょっと覚えきれない点は難がありましたかね。
宮城谷さん、引き続き「三国志」の世界に留まっていて、きょうから日経新聞夕刊の連載小説で「諸葛亮」がスタート(諸葛孔明ですね)。面白そうなので、これは毎日読み続けようと思ってます。そして、「三国志」にチャレンジするとまず石ノ森章太郎さんの漫画「三国志」からかな。
「会社がなくなる!」(丹羽宇一郎 著)
伊藤忠商事の会長・社長も務めた実業家、丹羽宇一郎氏の著作。ほか、たくさん本を書いてますね。
伊藤忠商事のバイタリティは、本当にすごいと思います。この丹羽さんもそうですし、現会長の岡藤さんも、かなり強烈な個性をお持ちですし。だからこそ、あっさり住友商事を抜き去り、3大商社の一角になると。
本作の帯にも「GAFAも長く続かない!」「SDGs、ESG、DXの看板に騙されるな!」「脱成長経済なんてありえない」「これから始まる大企業の中小企業化に備えよ!」と中々に激しい。
面白かったですが、丹羽さんに付いていく社員は、大変そうだなぁ~ …と言っている段階で落伍者ですが