ベルリン・フィル第一コンサートマスターの樫本大進とキリル・ゲルシュタインのリサイタル。会場は6~7割女性で埋め尽くされ、来春早々のプラハ響(樫本ソロのブラ協)の会場販売に長蛇の列。
♪ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ第2番
♪ブラームス/ヴァイオリン・ソナタ第3番
♪モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ変ロ長調K.378
♪リヒャルト・シュトラウス/ヴァイオリン・ソナタ
ドイツ、オーストリア系でまとめたプログラム。
樫本大進のヴァイオリンは、楽器(グァルネリ)のせいもあるのか、派手さはなく引き締まった響きで、職人的な演奏をする。
楽器を深く響かせる感じではなく、歌い方も意外とあっさりとしていて、日本的な醤油味。
最初のベトは、初期の3つのソナタの2番目のもので、6:4でピアノの比率が高い。ギルシュタインのピアノが表情豊かで実に上手い。ヴァイオリンはそれほど見せ場無し。
ブラームスは樫本のあっさりとした味わいが上手くマッチせず、美しい音色で、抜群に上手いのだけど感銘は薄い。
良かったのは後半。
モーツァルトは実にチャーミングなギルシュタインのピアノに上手く乗って、オペラの場面場面を聴いているかのような楽しい演奏。
ここでは樫本の薄めの味付けがちょうど良い。
渾身の演奏だったのが最後のR.シュトラウス。作品が濃厚なため、樫本のさらりとした演奏が上手くブレンドされ、弾き過ぎない、歌い過ぎない、センスの良い演奏で、音色も抜群にきれい。技巧的にも完璧で、ギルシュタインの味わい深いピアノと合わせ、見事でした。
アンコールは、シューマンの「ウィーンの謝肉祭の道化芝居」からの間奏曲。そしてブラームスの「F.A.Eソナタ」からのスケルツォ。ブラームスはやはり違和感を禁じえなかったけど、アンコールでの熱さがそれを補い、聞き応えがありました。