東京フィル
ベートーヴェン『第九』特別演奏会2025
指揮:角田鋼亮
ソプラノ:迫田美帆
アルト:中島郁子
テノール:渡辺 康
バリトン:上江隼人
合唱: 新国立劇場合唱団
J.シュトラウスII/ワルツ『もろびと手をとり』
ベートーヴェン/交響曲第9番『合唱付』
楽天カードの特別招待に「ハズレ」て、なんか意地で購入した第9公演。
角田さんは活躍の場を広げている若手指揮者ですが、ぼくは聴いたことがありませんでした。
最初にヨハン・シュトラウス二世晩年の傑作ワルツ「もろびと手をとり」を配したのが粋な選択。
シラーの詩で「第9」の歌詞にもある「もろびと手をとり」つながりですね。4つあるワルツのうち最初のワルツのメロディが、本当に手を取り合ってぐるぐる回り踊る雰囲気が出ていて大好きな作品です。
東京フィルの弦楽器群の音色は、シュトラウスの美しいメロディに相応しく、楽しめました。角田さんのテンポ設定はちょっと速めでタメがなく、サラッとしたものだったのは残念でしたが。
10分ほど演奏したのち、15分の休憩。この構成は嫌いです(一気にやるか、第9一本にしてほしい)。
合唱は新国立合唱団。60名弱ほど。最初からスタンバイ。ソリスト陣はオケの後ろ、合唱の前に配置。第3楽章前に入場。
第1楽章、第2楽章と角田さんの音楽運びは、速めなのはいいんですが、どうにもタメが無いと言うか、引っ掛かりが無いというか、さらさらと進んでしまいます。
弱音から強音までのダイナミックレンジも狭く、平板な音楽作り。
第3楽章になって、やっと地に足がついたというか、しっくりとした音楽になりました。美しい演奏にしみじみとしました。
終楽章は作品なりに盛り上がりました。
新国の合唱はさすが。60名ほどですが、芯のある合唱力で聴きごたえがありました。
ソリスト陣も突出した人はいませんが、オケ後方からでもよく声を飛ばしていて万全でした。
心震える「第9」とはなりませんでしたが、冒頭のシュトラウスの作品と第9の歌詞のとおり「もろびと手をとり」のような世界になることを祈るしかありません。
ことしのコンサート通いはこれでおしまい。ことしも私のつたない音楽日記にお付き合い頂きありがとうございました。
