NHK交響楽団 定期演奏会(Cプロ1日目)
指揮 アンドリス・ポーガ
ヴァスクス/感謝の歌(2025)
[NHK交響楽団、ラトビア国立交響楽団、ミュンヘン室内管弦楽団、オーストラリア室内管弦楽団 共同委嘱作品/日本初演]
ショスタコーヴィチ/交響曲 第4番 ハ短調 作品43
ショスタコの4番がプログラムにあがっていたのにそそられ、1回券を購入して行ってきました。
ショスタコの4番は最近では、井上道義さん指揮の群響東京公演とか、22年のノット/東響の演奏が印象深かったです。
ラトヴィア出身の若手指揮者アンドリス・ポーガは、N響とはたびたび共演してきましたが、ぼくはN響では初めて。2015年名古屋に勤務していた頃、名古屋フィルで聴きました(カリンニコフの交響曲第1番ほか)。
コンマスはゲストでジュリアン・ズルマン氏。パリや日本で後進の指導に当たっている先生とのこと。
最初にヴァスクスの新作。N響含め4つのオーケストラ共同での委嘱作品。20分ほどの弦楽のための作品。
これはもう、どこまでも美しく、暗いところは一切なく、心穏やかな「感謝の歌」でした。
中間部の盛り上がるところでは過去を慈しむかのような寂寥感もありましたが、基本的にはまっとうで正常な精神を持ち合わせている人が作ったものという感じ。
ポーガと同じラトヴィア出身で、共産圏の中で様々な辛苦も味わい、作品も暗い印象がありましたが、80歳を超えて作品の題名の通り、これまでの感謝の気持ちを伝えるかのような幸福感に満ちた美しい演奏でした。
後半メインのショスタコーヴィチ。ポーガの音楽作りで意外だったのはテンポ。
先の井上さんやノット監督の演奏と比べても、昨今の傾向と比べても、ゆったり目のテンポで、途中、展開部の弦から始まる強烈なフーガのところを除いて、一貫してインテンポ。
速度を上げて緊張感を高めたり、あおったりするところは皆無で、泰然自若。指揮ぶりも派手さはなくシンプル。
こうしたテンポのため、ショスタコーヴィチの諧謔性や、不協和音、リズムの妙などが鮮やかに表出されて俄然面白みが増していました。
大音量で不協和音が鳴り響くところに耳が傾きがちですが、間の静かなところでの音楽作りも絶妙でした。
第1楽章終盤の池田さんのイングリッシュホルンのソロ、それに続くゲストコンマスのズルマン氏のソロが素晴らしかったです。
第1楽章だけで30分越え。びっしり隅々まで聞かせるのでちょっと疲れもしました。
第2楽章のスケルツォも基本的に同じスタンス。マーラーの影響が如実に感じられる楽章ですが、面白く聞かせてくれました。
そして再び長大な第3楽章。ダイナミックレンジを広く取り、迫力ある演奏でした。
全体で65分くらいでしたでしょうか。勢いで聞かせるのでなく、じっくりとショスタコのオーケストレーションを響かせる演奏は、昨今の流れからすると個性的でしたが面白く聴けました。
ヤンソンス→ネルソンズの系譜につながるラトヴィア出身の指揮者陣。なかなか才能豊かです。
