sakagumoのブログ

sakagumoのブログ

会社員です。クラシック音楽と読書と温泉が好きです。あと万年百十の王だけど、楽しくゴルフ⛳をすることが好きです。
最近は筆不精がたたって、読む専門です。

ひばり弦楽四重奏団&牛田智大 

ひばり弦楽四重奏団:漆原啓子(ヴァイオリン)、漆原朝子(ヴァイオリン)、大島亮(ヴィオラ)、辻本玲(チェロ)
牛田智大(ピアノ)
音符グバイドゥーリナ:シャコンヌ(1962)
音符ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第8番 ハ短調 op.110 
音符ショスタコーヴィチ:ピアノ五重奏曲 ト短調 op.57 

(アンコール)

・ボロディン:ピアノ五重奏曲 から第2楽章

 

ショスタコーヴィチの名作室内楽が2曲演奏されるし、大好きなひばりSQがピアノを交えてのクインテットということで出かけてきました。

 

最初は牛田さんのソロでのグヴァイドゥーリナ。

子どものころから演奏活動をしていて認知度高めの牛田さんですが、ぼくはナマで聴くのは初めて。

 

グヴァイドゥーリナは「何じゃコレ?!」というくらい不協和音の強打連発で、ある意味スゴイ作品なのですが、牛田さんのタッチは常にクリアで、どれだけ強いタッチでも、不協和音でも実に音が鮮明で、やはり只者ではないテクニックの持ち主だと思いました。

 

意図は不明だったのですが、ステージの照明を暗めにして、10分ほどの熱演に大きな拍手だったのですが、牛田さんの反応はイマイチ。袖に下がっても拍手は続く中、いっこうに出てこない。

 

さすがにしびれを切らした頃に再度登場するも、真ん中まで出てこず、袖近くでちょこっと挨拶。

 

この暗い世界情勢の中、このグヴァイドゥーリナの演奏は、何か祈りというか鎮魂の意味合いを含めていたのでしょうか(ステージ暗かったし)。

 

2曲目はひばりSQが登場しての、ショスタコーヴィチの第8番。照明は普通に明るくなりました。

 

ひばりのショスタコ8番は、例のハクジュホールでのベートーヴェン・チクルスでのアテのプログラムとして2年前に取り上げたもの。

 

あの時も素晴らしい演奏でしたが、きょうはさらに成熟した演奏で、見事な集中力でした。

 

第1楽章でのショスタコの名前の頭をとったDSCHの音型が繰り返し出てくるところは、ショスタコの苦悩がにじみ出てくる感じがよく表現されていました。

 

超絶技巧が炸裂する第2楽章のトッカータでの迫力は鬼気迫るものがありました。

 

その勢いのまま第3楽章のシニカルなワルツ風の音楽も、シャレが効いていて良かったです。

 

そして真骨頂は第4楽章のラルゴでの、漆原啓子さんの見事な歌いっぷり。これぞ啓子節というか、ひばりSQを聴く楽しみを存分に味あわせてくれました。

 

第5楽章では再び沈痛な音楽に戻ってDSCH音型が静かに繰り返され唐突に終わります。

 

後半はピアノ五重奏曲。こちらも素晴らしい演奏でした。

 

冒頭は華麗なピアノソロから。ここでも牛田さんのピアノは目が覚めるよう鮮やか。

 

それに続く弦楽四重奏のアンサンブル、とくに辻本さんのチェロが朗々たる響きで圧巻でした。

 

やはり第3楽章スケルツォでの乱痴気騒ぎが切れ味抜群で最高でした。

 

牛田さんとひばりSQのコンビは中々相性が良いようです。これを機にシリーズ化して欲しい。ブラームス、ドヴォルザーク、フォーレ、フランクなどなど、ピアノ・クインテットは名作揃いなので素敵な演奏が期待できそう。