空を見上げると綺麗な月が浮かんでいた。
上着のポケットからスマートフォンを取り出す。
もう一度空を見上げる。
きっと、君はこの月を見ていない。
スマートフォンをそのままポケットへ戻す。
同じ物を見たいと思う反面、それが同じではないことを怖いと感じる。
視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚・・・・・・。
その全てが君と僕はずれていた。
美味しいね、と笑う君に微笑み返した。
この料理のどこがどう美味しいのか、そんな話をしたいけれどきっと噛み合わない。私と君では感じる味が違う。
綺麗、かわいい、美味しい、いい匂い、気持ちいい、そんな全てが同じで違う。
同じことで喜びを感じられるのに釈然としない。
過程を共有出来なければ、共感出来なければ、結果だけ同じでも嬉しくないのだと知った。
目を合わせても、気持ちが分かっても、きっと伝わらない。その後、微笑み合ったとしても、心には虚が出来ていた。