僕と僕と君 | パンパンパンダのブログ

パンパンパンダのブログ

ブログの説明を入力します。

この世に生まれてきてしまってから
ベルトコンベアで運ばれるように
ゆっくりと でも止まることなく
進まされてきた この道

「要らない部品ばかりついている僕らは
それらを器用に取り除いていかなきゃ
立ち上がれもしない」

そう言って身軽になって歩き始めた彼の背中を
羨望と焦燥の混ざりあう目で見つめていた

慌てて部品を取り外す人々
『どの部品が要らない』かは周りの人に合わせ選んでいた
それでも、自分で選んだと思いながら僕も遅れて歩き始めたんだ

ベルトコンベアは次々と他の列と合流する
その度に自分より身軽な人を見つけて
自分に付いてる余計なものを捨てていく

でも大事な部分は残しておいた
それが自分のアイデンティティ
誰かの真似じゃない
僕が選んだ僕の一部

子供の頃 どれだけ考えても分からなかった
『大人になる方法』が
大人になる頃には理解出来ていた
もっと早く立ち上がれていれば
もっと先の景色が見れたかもしれない

それでも居心地はいいほうだ
ときどき悩むこともあるけれど
そういうものは捨てて忘れればいい
楽しいものだけ残せばいい

大切にとっておいた宝物は
いつの間にか錆びてしまっていた
けれどその姿は誇らしくも思えて
それ以上考えるのをやめた



ある日 僕は出会ったんだ
チグハグな存在の君に
とても身軽な格好をしているのに
どうしてその心は残しているの

君と話してみてすぐに分かったよ
君はずっと不安だったんだね

『思いやり』の心を持ったまま
他の心を捨てるのは辛かったろう
周りの言葉に影響されて
捨ててきた心たちのことを
本当は忘れられないでいるのだろう

少しでいいから立ち止まろうよ
それでも前には進めるから
少しだけ逆方向に歩いてみようよ
どうせ頑張っても戻れはしないから
そしたらきっと君の捨てた心たちが
いつかまた君の元に帰ってくるから
そしたらまた前に進めばいい
今の君なら抱えて歩けるさ



ある日出会った彼は
顔も分からないほどゴミを付けていた
身体中溢れる『それ』は
よく見れば部品の集まりだった
ここまで捨てずに来たのかと
バカにしようとしたのに涙が出た
身軽を求めてたはずなのに
なぜこの『塊』を羨ましいと思ったのだろう

そんなに重い荷物を持って
なんでこんなに歩けたのかと聞くと
彼は『僕は歩けないままここにいる』と言った
意味が分からなかったけれど
僕は考えるのをやめた

立ち上がれない君を支えてあげた
一緒に立ち上がって歩こうと言った
君は涙を流しながら言った
「僕なんかで本当にいいの?」
僕も何故か涙を流していた
「僕の方こそ僕なんかでよければ」

君のことをよく見れば
ゴミの中に宝物も混ざっていて
僕はなぜあの時これを捨ててしまったんだろう
と独り言を呟いてた
君はその声を聞いていて
「なら拾いにいこう」
と笑って言った
そういえばいつからか
君は何も捨てていないままなのに
君の顔が見えるようになっていた

「僕は大人になれなかったんだ」
と君は悲しげに呟いた
「考えないで捨てればいいよ」
僕にはそれしか言えなかった
君は「うん」と言いながらも
何も捨てようとしないことを知っていた
それが何故だか疎ましく思えて
すぐにそれが嫉妬だと知った



君はどうしてか僕のことを褒めてくれる
一人では歩けもしない僕のことを
ずっとバカにされ続けてきた僕のことを
ましてや隣で一緒に歩いてくれるなんて
・・・・・・なんて
理由はとっくに分かっていた

僕の持つ宝物の中にみんなが捨てたものが残っていて
それがどうしても忘れられなくて僕のそばに来るんだろう
だからその宝物が手に入れば
君もまたすぐにいなくなる
僕はいつもの笑顔を貼り付けて
「拾いにいこう」
と声を掛けた



僕は誰
僕は僕
何も捨てられなくて
一人じゃ持ちきれなくて
気付いたら二人になっていた

優しい僕と冷たい僕
君はどっちの僕を見てるんだい

君の宝物が見つかるといいね
その時までよろしくね