昨夜は妻子は実家泊。私は在宅勤務。6時過ぎに仕事を終えると、ランニングシューズを履き、衝動的に外に出た。何故だか無性に体を動かしたくなったのだ。運動意欲がここのところ全然無かったから、この衝動に自分でも驚いた。妻子不在の時の私と言えば、フーゾクからの一人飲みが定番だったのだが…。
 肺炎ゆえ走ることは出来ないから早歩きをすることにして、近くの海岸へ向かった。

 梅雨の合間の晴れの昨夕、海は西陽に照らされておりキラキラと光っていた。空には夏らしいもくもくとした入道雲がところどころに浮かんでおり、それを海が映していた。時折、正体不明の魚がピョンピョンと飛び跳ねる。蝉も鳴き始めており、夏の夕暮れ時の虫の声も聞こえる。生ぬるいか風が何とも気持ちが良い。
 一日を終えた人たちが、同じようにランニングやらウォーキングをして、海岸沿いの遊歩道を楽しげに歩いている。バキバキ童貞の高校時代を過ごした私としては、学校帰りの制服のカップルがお手々つないで楽しそうに歩いている姿なんかをみると、いつもは舌打ちのひとつでもしたくなるのだが、微笑ましいなぁと笑って見ていられた。国内外、いろんなところに住んだが、都会にもすぐ出れて、海も近い当地は今までで一番気に入っている。

 とにかく気持ちが良い!西陽に照らされた顔の左側がビリビリする。そして、何より自分から香る日焼け止めクリームの匂い。おぉ夏だな!!テンションが上がってきた。
 
 やがて日も沈み始め、私も汗をかいてきた。雲の陰影部分の面積も変化し、白い部分はオレンジ色に染まってゆく。ふと、小学生の頃を思い出した。こんな夕暮れの時間の、こんな風な空になるまで外で遊んでたよなぁ、と。そして家に帰るとお袋が夕飯を作っていて、その傍らで今は亡き祖母がいつも相撲中継を見てたよなぁなんて。埋もれた古い記憶を何故だか思い出して懐かしくなった。…久々にケータイを置いて、身一つで歩いてみると、景色をしっかりと「観る」ことができて、思いもしなかった記憶や、意識していない思考と出会うことが出来た。こういう時間は必要だな、としみじみ思った。心身ともに軽くなった。
 
 さて、禁欲28日目。今日も4時半には起床、少々の英語学習ののち、昨夕に続いて海を歩いてきた。梅雨っぽい曇りだったが、それでも気持ちがよかった。そして今、なんだかんだでまた病院で点滴NOWである。

 うなじの上にお団子スタイルの、私のお気に入りナースの「うなじちゃん」は今日はお団子を解いていて、少々茶色のかかった髪の毛は肩のちょい上で外側にハネている。うなじが隠れたのは残念だが、これはこれで可愛いぜ!まだわからんが、今日が点滴ラストだとすると、うなじちゃんとの別れがちょっとさびしい!

 なんか徐々に禁欲の好影響を感じ始めた気がする…。