清水次郎はあすなろ銀行から内定通知を受け、翌年入行した。新入行員研修が終わり配属された仙台支店で、すぐに全行内で10位以内の実績を上げ、3か月後には3位、6月後の12月に全行トップに立った。

次郎は内定を受けた直後に自宅近くのすべての銀行、証券会社、保険総合代理店に行き、個人向けの商品の情報を集めるとともに、営業担当者が進める際の営業トークを学んでいた。

当然ながら、あすなろ銀行の取扱商品はすべて理解しており、他社の商品と比較して顧客側からのメリット、デメリットを分析し、自行の商品をどう提案すればいいかという事を考えていた。

合わせて、今はまだ取扱っていない商品で販売して貰いたいものを調べて、新入行員研修の際に提案し、早いものは研修期間が終了する時には販売が開始したものもあった。1年後には提案した商品全てが販売されていた。

次郎は入行して2年間営業トップを続けた結果、営業企画部に異動した。異動が発表になった後に黒田から連絡があり、就職活動の際の面接以来、久しぶりに会う事になった。

続く