未来(近藤今日子)は、改めてさっきまでの銀行での仕事を思い出していた。

銀行に広いロビーがあり、多くのお客様がいた。未来が働いている2030年は、預金と融資があるフルラインの銀行はグループの上位行でも、エリアを統括する支店以外にはない。

銀行は個人金融専門の銀行と中小企業専門銀行、フルライン銀行に分かれており、未来の銀行は個人金融専門の銀行なので、預金はもちろん、保険、証券、不動産などの業務が銀行で行われている。

多くのお客様は、預金の出し入れのために銀行に行くことはない。そもそも現金を持つ必要がなく、未来の後輩行員が「銀行だからこそ紙幣を見ることがあるけど、銀行に入行しなかったら、札束なんて見る事はないよね。」と話していたのを思い出した。

国別に通貨があるのは変わらないが、実際に紙幣を発行する国は少なくなっており、地域インフラ整備が行き届かない国以外は紙幣を発行する必要が無くなっていた。

そして、その国々は共通する電子マネー専用通貨「ワールド」を利用しており、海外送金はワールド以外の通貨を利用する国に対するものとなっていた。

続く