ビートルズ既発売曲収録オムニバスLPボックス(日本ディスクライブラリー編②) | ザ・ビートルズ完全日本盤レコード・ガイド

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主に通信販売で発売されたビートルズ既発売曲収録オムニバスLPで、日本ディスクライブラリーが販売したボックスLPを紹介する特集の2回目です。日本ディスクライブラリー発売ですが収録曲のほとんどが「マイ・ボニー」ですので、ポリドール制作レコードを含む、日本ディスクライブラリー発売のレコード・ボックスになります。74年2月に「或る恋の物語」再発ボックスを発売した後は78年に1タイトル、80年代に入って2タイトル発売しています。

 

■10LPボックス「わが胸にもう一度」(日本ディスクライブラリーJP-2081~90:78年9月発売)

<ボックス>

<ビートルズ楽曲収録盤レーベル>

78年後半に日本ディスクライブラリーは、2タイトル目の「マイ・ボニー」収録のオムニバス・ボックスLPを発売しました。前作の再発盤では、ボックス・セットは10枚組で2枚はボーナス盤扱いとなっていました。従って、本タイトル以降は10枚組を基本として発売しています。

今回はポリドールとRVCの2つのレコード会社が半数の5枚ずつ製作を受け持っています。レコード盤はそれぞれポリドール・レーベルとRCAレーベルで製作されていますが、ポリドールにはMGM、ヴァ―ヴ等のレーベルの楽曲が使用されています。また、今回は1枚または片面に一人のアーティストの曲を収録するといった制作がなされており、RCVではポール・アンカ、ニール・セダカが1枚ずつ、シルヴィ・バルタン、ペギー・マーチが片面ずつといった収録となっています。ポリドールでは、コニー・フランシスが1枚、ビング・クロスビー、ミルバ、ボビー・ソロ等が片面ずつとなっています。「マイ・ボニー」は最後の10枚目に収録され、この盤はアーティスト1曲ずつのオムニバス盤となっています。

発売日ですが、ポリドール盤5枚のPMが、「JI8」(78年9月初回プレス、10月再プレス)が2枚、「J8」(78年10月プレス)が3枚あることから、78年9月頃の発売ではないかと考えています。新聞広告はプレス時期から約4ヶ月後の79年1月29日付読売新聞で見ることができます。全面広告のページの半分近くの紙面を割いて、収録アーティストや収録曲を紹介しています。日本ディスクライブラリーは、今後、このような新聞記事風の広告を主流としていきます。

<79年1月29日付読売新聞>

なお、本タイトルからカセット・テープでの発売もされるようになりました。レコードかカセットのどちらかを選ぶことができましたが、価格に差があり、LPの一括払い16,000円に対しカセット17,000円で1,000円の差がありました。レコードのプレス製造とは異なり、カセットはダビングで製作するため、製造に時間がかかり製造コストが高かったためでしょうか。

<ビートルズ楽曲収録カセットJTP-0280>

また、本タイトルでは通信販売だけではなく、店頭販売もされるようになりました。東京新宿駅南口のルミネ前、新宿エヌ・ジー・シーというところで購入することができました。日本ディスクライブラリーは、エヌ・ジー・シー・グループに属していたようで、エヌ・ジー・シーこのという会社は全国10箇所の拠点を持って(83年には18箇所)、手広くいろいろな商品を通信販売していたようです。レコードと一緒に掲載された広告では、車タイヤのゴム・チェーン、特殊気密ウェア、健康マクラ、作務衣などが販売されていました。

 

■10LPボックス「懐かしのゴールデン・ポップス」(日本ディスクライブラリーJP-2191~200:82年1月発売)

<ボックス>

<ビートルズ楽曲収録盤レーベル>

80年代に入って82年に、10枚組ボックス・セット「懐かしのゴールデン・ポップス」を発売しています。またもや「マイ・ボニー」が収録されていますが、今回はもう1曲、「いい娘じゃないか」も収録されています。

このボックスはネット・オークションでの出品を見る機会が多く、ボックス・セットの中では比較的多くのセットが売れたのではないかと考えています。これまでの女性モデルの写真が使用されたボックス・デザインではなく、収録アーティストの写真をイラスト化したデザインであり、収録曲の内容で勝負しようとした感じが見受けられます。しかし残念ながらビートルズのイラストは使用されていません。

制作レコード会社は上記ボックスよりも1社増え、ポリドールとRVCに日本フォノグラムが加わっています。内訳は、ポリドール3枚、RVC4枚、日本フォノグラム3枚の計10枚になります。4~5曲収録されているアーティストもいますが、上記ボックスとは異なり、1アーティストが1枚または片面を占めるような構成にはなっていません。ビートルズの2曲は7枚目のA面に2曲続けて収録されています。他のビートルズ関係の曲としては、シルキーの「悲しみはぶっとばせ」、ニルソンの「ウィズアウト・ユー」が収録されています。

売れ行きが良かったのは(実際はどうだったのかは分かりませんが…)、新聞で数多く広告したことも影響しているのかもしれません。朝日新聞では、81年12月14日付に掲載された後、約10ヶ月後の82年10月、さらに翌年の83年3月、4月、最後は同年9月の少なくとも5回は広告掲載されており、3年近くも販売されていたことが分かります。一方、読売新聞では82年3月22日付を皮切りに、同年4月、10月、83年2月、最後は同年11月と、こちらも5回の広告が確認できています。

<81年12月14日付朝日新聞>

発売日をPMから推測すると、ポリドール盤3枚のPMが、「CB2」1枚、「C2」2枚であり、82年2月が初回プレスであることが分かります。上記の82年12月14日付新聞広告では予約開始と書かれており、お届けは1月中旬の予定となっています。従って、発売は82年1月頃のようです。

今回もカセットも同時に発売されています。価格はさらに値上がりし、レコードが上記ボックスの16,000円に対し17,500円、カセットが17,000円に対し18,500円と、それぞれ1,500円ほど値上がっています。

なお、82年上期に制作された日本ディスクライブラーのカタログにもこのボックスは掲載されています。この広告でも「'82春の新譜」と書かれており、82年初頭(「春」=「新春」?)の発売であることが推測できます。

<日本ディスクライブラリー カタログ(82年)>

 

■10LPボックス「想い出のジュークボックス」(日本ディスクライブラリーJP-2301~10:83年10月発売)

<ボックス>

<ビートルズ楽曲収録盤レーベル>

ビートルズ楽曲収録の日本ディスクライブラリー最後のボックスは、84年発売の「想い出のジュークボックス」です。最後も「マイ・ボニー」で締めです(笑)。9枚目に収録されています。その他のビートルズ関係では、メリー・ホプキンの「グッドバイ」が収録されています。

制作レコード会社はさらに1社増え、4社になりました。日本フォノグラムが撤退して、代わりにロンドンレコードとキングレコードが参加しています。レーベル数の内訳は、ポリドールが2枚、RVCのRCAレーベルが3枚とあのK-telレーベルが2枚、ロンドンレコードのロンドン・レーベルが2枚、キングレコードのセブンシーズ・レーベルが1枚の計10枚です。ロンドン・レーベルのレーベル面にはポリドールの文字が見られますが、ロンドンレコードの販売は兄弟会社のポリドールが行っていたようです。ちなみに81年発足当時のロンドンレコードの副社長はあの高嶋弘之氏でした。なお、ロンドンレコード参加のおかげで、大御所ローリング・ストーンズが2曲収録されています。またメリー・ホプキンの「グッドバイ」はK-telレーベルのレコードに収録されていますが、例の再録音盤と言われる音源でしょうか?

新聞広告は83年10月31日付朝日新聞が早く、84年1月にも朝日新聞と読売新聞で広告が掲載されています。上記のボックスが83年11月まで広告が掲載されていることから、2セット同時に発売していた時期もあったようです。従って、発売は83年10月頃と推測しています。

<83年10月31日付朝日新聞>

ポリドール盤について、本タイトルの2枚にはPMは刻印されていません。盤に透過性があることと、ランオフ部に「P」や「V」の刻印があることから、ビクターにプレスを委託していたようです。以前も報告しましたが、ポリドールは83~84年頃に自社プレスを止めたようです。ちなみに、本ボックスの他のすべての盤に透過性があり、「V」や「Ⓑ」の刻印の盤もあることから、すべてビクター・プレスの盤ではないかと推測しています。

価格はさらに1,000円値上がりし、レコードが18,500円、カセットが19,500円になっています。

以上が日本ディスクライブラリーが発売したビートルズ楽曲収録(すべて「マイ・ボニー」収録ですが(笑))ボックス・セットのすべてだと思います。おそらくこれら以外には存在しないと思いますが、もし他に発見しましたら報告します。

 

■ビートルズ楽曲収録日本ディスクライブラリーボックス・セット(発売年月は推定)