明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
毎年、最初の記事は「新春初笑いエラー・レコード大会」でしたが、昨年はデッカ・オーディション60周年ということで、オーディションで演奏されたオリジナル曲のカバー・レコードを紹介し、エラー・レコード特集は1回休止させていただきました。今年は例年通り、エラー・レコードから始めたいと思います。
レコード盤の多くは中央に紙製のレーベルが貼られています。貼る作業は機械がやるのですが、人間が管理することですのでやはりミスが生じることがあります。主なミスとしては、貼るレーベルの間違い、貼り位置のずれ、貼り忘れ等があります。海外のレコードは、比較的製造の管理が甘いようで、レーベル・エラーが生じるケースが多く、ジョンのUS盤LP「マインド・ゲームス」の両B面レーベル貼り付け盤やUK盤シングル「ヘイ・ジュード/レボリューション」のB面レーベル貼り忘れ盤を所有しています。写真でも紹介しますが、A面とB面は同時に撮影できませんので、画像で表現するのは難しいです(笑)。
<USLP「マインド・ゲームス」（SW-3414）
A面
A面マトリクスSW13414
<UKシングル「ヘイ・ジュード/レボリューション」（R-5722）
A面
B面
一方、国内レコードは管理が厳しいためか、海外と比較すると比較的レーベル・エラー盤は少ないようですが、それでもエラーは発生しています。今回は国内盤のそれも東芝製のレーベル・エラー盤を紹介します。
■ビートルズ シングル「のっぽのサリー/アイ・コール・ユア・ネーム」（東芝音工オデオンOR-1155）
<B面>
<B面マトリクス7TCE-822-2>
まずはA面とB面に全く同じレーベルが貼られたレコードです。シングル「のっぽのサリー/アイ・コール・ユア・ネーム」ですが、両面にA面の「のっぽのサリー」のレーベルが貼られています。B面にA面のレーベルが貼られていますので、B面の曲名が分かりません。マトリクスを見ると、A面：7TCE-822-1、B面：7TCE-822-2で、「アイ・コール・ユア・ネーム」が収録されていると思われ、聴いてみるとちゃんと収録されていました(笑)。
レコード工場のプレス作業者が、レーベルを貼り付ける機械にセットするレーベルを間違えたために生じたエラーだと思います。途中で気が付いてエラー盤は破棄したと思われますが、破棄から漏れたレコードが外部に流出したのでしょうか。
以下の3枚はこのシングルよりは軽微なエラーで、ぱっと見では気が付きにくいかもしれません。
■ビートルズ LP「ヘイ・ジュード」（東芝音工・東芝EMIアップルAP-8940）
<A面>
<B面>
東芝音楽工業は73年10月1日に社名を東芝EMIに変更します。レーベルの会社英語名は、変更前の「TOSHIBA MUSICAL INDUSTRY LTD. JAPAN」から変更後には「TOSHIBA-EMI LTD. JAPAN」に変更されています。当然のことながら、A面が東芝音工ではればB面も東芝音工になっていなければいけませんが、A面とB面で異なる会社名のレーベルが貼られたレコードが存在します。フォーエバー帯のLP「ヘイ・ジュード」で、A面が東芝EMI、B面が東芝音工表記になっています。
レーベルは過剰に印刷されるためか、73年10月以降の東芝EMI時代にプレスされたレコードにも東芝音工印刷のレーベルが貼られて出荷されることもあります。PMが4-9Wの74年9月プレスで、会社名変更1年も経過しようとしている時期に、間違って余っていた東芝音工レーベルを持ち出してきてB面に貼ったのでしょうか。もしかすると、エラーではなく、余っていたレーベルを捨てるのがもったいなくて、有効利用しようとしたのかもしれません(笑)。
■ポール・マッカートニー＆ウイングス LP「レッド・ローズ・スピードウェイ」（東芝EMIアップル・キャピトルEPS-80234）
<A面>
<B面>
これは過渡期のレーベル貼り間違いだと思われます。ポールのソロ1枚目LP「マッカートニー」から5枚目のLP「バンド・オン・ザ・ラン」までは、75年にレコード番号を変更して再発売されました。この際、帯上部に写真が印刷された写真帯に統一されています。以前、5枚の写真帯LPのバリエーションについて紹介しました。写真帯LPは、当初はアップル・レーベルで発売されましたが、76年中頃からキャピトル・レーベルに変更され発売されました。レーベルも変更され、「マッカートニー」と「ラム」はアップル・レギュラー・レーベルからキャピトル・レギュラー・レーベルへ、他の3枚はアップル・ロゴやアップル・レコードの文字が入ったカスタム・レーベルからキャピトル・ロゴが入ったレーベルに変更になりました。カスタム・レーベルの3枚はデザインが同じですので、ロゴや文字を見ないと違いが一目では分かりづらいです。
分かりづらかったためプレス作業者が間違えたのか、「レッド・ローズ・スピードウェイ」のジャケット・帯キャピトル盤に、A面アップル・レーベル、B面キャピトル・レーベルのレコードが存在します。レーベル変更の過渡期に生じたエラーではないかと思ったのですが、PMは8-1の78年1月プレスでした。レーベル変更後1年半も経って貼り間違えるとは何をしているのですか東芝さん！(笑)
■ビートルズ シングル「ノー・リプライ/エイト・デイズ・ア・ウィーク」（東芝EMI EMIオデオンEAS-17058）
<A面>
<B面>
最後にもう1枚、これもあまり目立たないエラー・レーベルです。70年代中期からビートルズ関係のレコードのレーベルはEMIオデオン・レーベルに変更されましたが、このレーベル・ロゴにはロゴの下に書かれた文字が2行のものと1行のものがあることを以前紹介しました。初期は2行でしたがある時期から簡略化のためか1行に変更されています。LPとシングルで変更の時期が異なり、LPは80年中頃、シングルは80年末から81年上旬に変更になりました。ビートルズの再発シングルで、77年発売の結成15周年記念シングルから漏れた12枚のシングルが旧ジャケット・デザインで再発されたのが80年11月です。従って、初回盤は2行タイプで発売されましたが、再プレスの際は1行タイプで製作されました。
かなり前に紹介しましたが、A面：2行タイプ・ロゴ、B面：1行タイプ・ロゴのシングル「ノー・リプライ/エイト・デイズ・ア・ウィーク」が存在します。PMが1-9で81年9月プレスです。発売後、10ヶ月も経っていますが、細かい違いですので、プレス作業者は気にせずにプレスしていたのかもしれません。他のタイトルにも存在する可能性はあるのではないかと思います。
貼り間違えたレーベルのレコードを紹介しましたが、収録されている曲自体が異なり、両面ともA面曲収録というシングルもあるようですが、私はまだ実物を確認していません。今後、確認できれば紹介したいと思います。今年もボチボチと忘れたころに更新しますので、拙ブログをよろしくお願いいたします。