【ウォンキュ】単純明快で摩訶不思議 8 | 徒然日記 ~ 愛wonkyu ~ ウォンキュ小説

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SJウォンキュ妄想垂れ流し小説ブログです。 
とはいいつつも83(レラトゥギ)・ヘウン、TVXQミンホも時々やらかしますが、どうぞご贔屓に!

先日バタバタしていたシウォンを見ていたから、週末の予定はどうなることかと思っていたがしっかりと仕事をやり遂げたらしいシウォンが少し疲れた顔を覗かせる。

 

「キュヒョナ―」

「シウォンさん大丈夫?」

「大丈夫。今から帰るし、糖分補給しに行くから」

「ティアリー行くなら、僕も一緒に行っていい?」

「もちろん。と、言うより明日の予定立てるのに話した方が早いと思ってたから。誘うつもりだった」

 

シウォンの糖分補給がすぐにあの蜂蜜をたっぷりかけたホットケーキだと予想したが、そこが見事に的中したらしい。

実はキュヒョンも帰りに寄ってみようかと思っていたのだ。

今日はあのマスターにとっての記念日で、キュヒョンにとっても楽しみにしていた日だ。

店までの道すがらにその話をするとシウォンはちょっと当惑したような表情をした。

 

「いつの間にそんな仲良くなってんだよ」

「紅茶美味しいから通ってるうちに」

「確かに美味しいけどさ」


ドアを開けるとマスターが破顔した。


「キュヒョンさん。やっときたんですよー!」

「思ったよりデカいてすね」


カウンター奥に新しく置かれた物体にシウォンも興味津々といった様子でそれをみる。


「それがティープレッソマシン?」

「そうです。カッコイイでしょう?」

「コーヒーのマシンは置かないのに?」


マスターは立てた指を顔の前で振る。


「シウォンさん、ここは紅茶メインの店ですよ」

「確かに。失礼しました」

「いえ。なので本日はティーラテなどいかがです?」

「それで抽出した紅茶ってそのまま飲めたりしないの?」

「お勧めはしませんよ。渋いので」

「じゃあ、ラテ以外に出来ないってこと?」

「ソーダで割ったりも美味しいです。アフォガード風にアイスとかにかけても美味しそうですよねぇ」


暑くなって来たこの時期にティーソーダは魅力的だ。

けれどラテも捨てがたい。

キュヒョンが迷っているとシウォンが小さく笑いながらキュヒョンとマスターに聞く。


「ラテだったらなにがいいの?」

「お勧めでしたら王道にアッサムがディンブラでしょうか。キュヒョンさんならどの茶葉をお選びに?」

「…ウバとか?」


マスターがコクコクと頷く


「それもよいですねぇ」

「じゃあ、俺はその茶葉でティーラテを。キュヒョン一口味みてみる?」


なるほど、それならどちらも飲める。

この人のこういう気が回るところは見習うべきだろう。

女性に絶対モテるはずだ。


「では、キュヒョンさんは何にいたしましょう」

「アールグレイをティーソーダで」

「承知いたしました」


隣にいたウエイターにホットケーキも、と注文を通してテーブル席着く。

腰を落ち着かせて、大きく息を吐き出したシウォンは首を回した。


「お疲れ様。明日無理しなくていいよ?」

「楽しみのために頑張ったのにそういうこと言うなよー」

「そんなに楽しみってどこ行くつもりなんだか」

「遊園地?」

「なんで疑問形。そしてどこー!」


スマホを操作して画面をこちらに向ける。

小さな遊園地らしく、聞いたことがない名前の遊園地が表示されていた。


「…へぇ。こんなところあるんだ」

「この前アンケートで絶叫マシン好きだって書いてあったから」

「絶叫マシンあるの?あまり大きくなさそうなところだけど」

「聞いただけだけど絶叫マシンもあるし、ある意味絶叫マシン並のスリルが味わえるものがあるらしい」

「…お化け屋敷的なものならいらない」

「ホラーハウス的なものではないけど。え。苦手なの?」


絶対に嫌だとは言わないけど、できれば避けたい。

顔を顰めているとシウォンが笑う。


「恐怖は人それぞれ違うしね」

「そう言うシウォンさんは?」

「どっちもそんなに苦手ではないかなぁ」

「なに、それ」

「だから凄く好きって訳でもないってことだよ」


何事にも動じなさそうではあるから、その答えもなんとなく納得してしまう。


「何時頃がいい?」

「その遊園地までの所要時間どのくらい?」

「多分一時間くらいかな」


見せてもらった画面からホームページを検索して確認する。

アトラクションを見て驚いた。

そこそこの数の中でいわゆる絶叫系と呼ばれるものが大半を占めている。

これは制覇したい。

開園時間に合わせたほうがいいだろうか?


「本当に好きなんだなぁ」


画面と相談している様子を小さく笑ったシウォンは運ばれてきたホットケーキに待ってましたと言わんばかりに蜂蜜をたっぷりかけながらそう言う。


「シウォンさんも。本当にそれ好きなんだね」

「美味いじゃない」 

「美味しいけど」


ティーカップを持ち上げて紅茶の香りを確かめたシウォンが一口飲むと、目を見開いた。

駄目だ。

この人の表情筋やっぱり尋常じゃない。

ぶはっと噴き出したキュヒョンに、今度は顔を顰める。


「なんだよ」

「や、だってシウォンさん…」

「ん?」

 

今度は片方の眉を上げた。


「だ…駄目だ。可笑しすぎる」

「だから、何が!」

「シウォンさん表情筋がアメリカナイズされてる」

「なんだそりゃ」


呆れたような表情すらアメコミみたいだ、と笑いを抑えつつ、自分の前に置かれたグラスに添えられたガムシロップを注ぐ。

挿してあるストローを手にして、中で濃い茶色から透明のソーダのグラデーションを混ぜると氷と炭酸の弾ける音が涼やかだ。


「うまっ…!」


ベルガモットの香りと茶葉の香りが凝縮されているせいで薄い印象はまったくない。

この美味しさは誰かと共有したくなる。

シウォンの方にグラスを押し出すと、向こうもこちらにカップを差し出した。

しかもちゃんと利き手側に取っ手を向けて。

どこまでも紳士だなと関心してしまう。


「これは、これからの時期最強だな」

「えー…ラテもうまーい」


2人で溜息をつくと、カウンターの中のマスターが満足そうに微笑んだ。

暫くは紅茶を堪能して次の日の予定をたてる。

キュヒョンのアパート近くのコンビニに迎えに来てもらう約束をして駅で分かれた。

ほぼ無意識に出ていた鼻唄のせいか、いつものメンチカツを買う時に「そんなに好きなの?」と笑って尋ねられた。

もちろん好きである。

帰ってからのメンチカツとビールも。

明日の遊園地も。

どっちも楽しみだと、足取りも軽くアパートまでの坂道を登りながら手にしたビニールバッグを揺らした。