【ウォンキュ】On Your Mark 4 (D-380) | 徒然日記 ~ 愛wonkyu ~ ウォンキュ小説

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とはいいつつも83(レラトゥギ)・ヘウン、TVXQミンホも時々やらかしますが、どうぞご贔屓に!

「はぁ…つっかれたー」
 
窮屈だった衣服を脱いで部屋着でベッドに飛び込んだキョヒョンの一言にチャンミンが面白そうに笑う。
待機部屋はあっても今はチャンミンがここで話を聞いてくれる方が一番のストレス発散だ。
ジョイは仕えている以上それが姫であれ王子であれ気にはしないのだろうけれど、今は男同士の話をさせてくれるのを優先してくれているようだ。
 
「なんか…面白い国だな」
「ほんとだよ。もうちょっと勉強してくればよかった…レイナが見つかるまでだからすぐだと思って王子の名前とかくらいしか覚えてこなかったよ…」
 
明日から花嫁修業とかいってたけれど、一体何をさせられるのだか。
とっととレイナを見付けてきてくれないと。
ウトウト微睡んでいると「風邪ひくぞ」とチャンミンが布団をかけてくれる。
 
「もういっそ布団と結婚してしまいたい」
「それは名案だな」
 
心地よさにキュヒョンがそう言うとチャンミンは笑う。
さて明日は一体どうなることやら。
 
 
「おはよう」
「おはようございます」
 
身支度を整えて指定時間に書庫で待っているとジョンスが現れる。
 
「すごい本ですね」
「うん。先代の国王が本好きでね。もう書庫というより図書館だよね」
 
さて、と。
前に座ったジョンスが机に両肘をついて指を組む。
 
「まずは外までの隠れ通路を案内するよ」
「…はい?」
「ほら、逃げたくなった時にこっそり出ていけるように」
「はぁ…」
 
立ち上がったジョンスが「はい、着いてきて」とキュヒョンを立ち上がらせた。
応接室。
大広間。
会議室。
大きくは無い城だと言っても一国の主の住居だ。
それなりの部屋数はある。
地下に降りる階段の途中で壁のレンガを一つ抜くと中に収められているレバーを引いた。
その奥には通路が繋がっている。
 
「うわぁ…」
「ここを抜けると町はずれにある小さな小屋の地下室に繋がってる。思う存分利用して」
「あの…そんな重大な事、私に教えてもいいんですか?」
 
ジョンスはにっこりと微笑む。
 
「僕、結構人を見る目はあると思うよ?お付きの人間は君に付いてるから知る機会はあると思うけど、あの二人はそれを簡単に誰かに話したりするような子には見えなかったし、君も同じだよ」
 
そんなに信用されても困る、現に今も貴方を騙しているのに。
キュヒョンは曖昧に笑うしかなく、その表情を見たジョンスが慈しむように微笑んだ。
 
「何もかもうまくいくのが一番いいんだけどね」
 
そう言って。
 
 
書庫に戻ってからはこの国の歴史や風習について教わった。
知りたいことについては書庫にある本を読むの事を許可をくれた。
言葉や文字は自国と大差はないため少し学べば問題はない。
自室に書物を何冊か持ち込んでぼんやりとそれを見ているとジョイがお茶を勧めてくれた。
 
「あまりご無理なさらないように」
「うん。無理はしてないんだけど…まだレイナは見つからない訳?」
「…連絡は、ないです」
「そっか。…チャンミンは?」
「何もしないと体が訛るって訓練してたんですけど…この国の近衛隊の方が訓練に参加すればいいと言われて…」
「…この国の人たちって大らかすぎるよね…」
 
自分たちの国の近衛隊の訓練に他国のものを混ぜるなんて、手の内を見せるようなものではないのだろうか。
チャンミンは自国の近衛隊の中でもトップクラスの腕の持ち主だ。
ちょっとやそっとの事ではこの国の兵士に負けたりはしないだろうけれど。
 
ふぅと息を吐き出してキュヒョンは綺麗な表紙の本を開く。
この国の歴史や文化などが書かれたものだ。
この国の最大の強みは「医学」
昔から「魔法使い」が居る国だと存在を厭われたこともある。
魔法使いと言っても呪文を唱えれば何でもできるということではない。
今と違い大昔には周りが出来ない事が出来るというだけで魔法を使うのだと思われていた節がある。
この国の土壌は他国とはずいぶんと異なるらしく、土着種の植物が多い。
そしてそれらの多くは薬草として使われてきた。
他の国では手に入らない薬草で病を治せたことからそう呼ばれていたらしい。
今では化学医学も発達し、更に今でいう漢方学も豊富。
ハイブリッドな医学を生み出し、他国にはない高度な医療を受けることが出来るのだ。
 
それに先祖代々受け継がれてきた漢方のような薬草を使用する経験医学では一般の国民でさえも医者に負けないほどの知識を持っている。
今の国王より上の年代が若く見えるのもどうやら薬草の一つを飲み続けていたからだと書物には書かれていた。
勿論それが若さを保つものだという意識はなく、一般的にお茶として飲まれていたものらしいが残念ながら今はその薬草も手に入れることは出来なくなってしまった。
山火事が起こってそれらを全て燃やし尽くしたのだ。
だから余計に山火事には気を付けているのかもしれない。
 
自国とは違った歴史や文化は思っている以上に面白く、気が付くと窓の外はすでに陽が傾き始めていた。
伸びをして茜色に染まった窓の外を眺める。
 
「これ片づけてくるよ」
 
キュヒョンが本を持って立ち上がるとジョイが慌てて駆け寄ってきた。
 
「それなら私が」
「いいよ。持ってきたのは俺だからどこに仕舞うかもわかってるし。ここ片づけておいてもらえるかな」
 
廊下に出て書庫に向かう。
この調子で読み進めていくと自室に持って来るより書庫で読む方が効率がいいかもしれないな、と考えていると手にしていた本が取り上げられた。
 
「あ…」
「姫がそんなに重そうな本を持って歩いてると危ないよ?」
 
シウォンがにっこりと微笑む。
すいません、王子なんです、とも言えずにキュヒョンは愛想笑いで返した。
 
「もうすぐ食事の時間だけど、姫は食べられない物とかはない?」
「今まで生きてきた中では無いです」
 
その答えを聞いてシウォンは笑う。
 
「この国には独特の香草とかあるからね。苦手なものに出会わなければいいけど」
 
書庫につくとシウォンは迷うこともなく手にしていた本を本棚に仕舞っていく。
どこにどの本があるのかちゃんと把握しているということは、彼もここの本を一通り読んでいるのかもしれない。
ぐるりと見渡したキュヒョンはふと違和感を感じた。
何かが違う。
首を傾げると、どうかした?とシウォンに声を掛けられた。
 
「あ。いえ、なんでも…」
「そう?じゃあ、またあとで」
 
片手を挙げて自室に向かう彼の背中を見て、書庫を振り返る。
その違和感が何か、一週間もしないうちにキュヒョンは気づくことになる。