【ウォンキュ】失われた風景 17 | 徒然日記 ~ 愛wonkyu ~ ウォンキュ小説

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とはいいつつも83(レラトゥギ)・ヘウン、TVXQミンホも時々やらかしますが、どうぞご贔屓に!

ドアが開いて、出てきたキュヒョンがこちらの顔を見るときまり悪そうな表情を作った。
 
「…聞いてましたよね」
「うん」
 
キュヒョンは一歩後ろに下がると深く頭を下げる。
 
「本当にすみません。まさか僕のせいだったなんて」
「…キュヒョンのせいじゃないよ」
 
頭を上げさせてそうはいってみるけれど、彼にこの言葉が届くかどうかは分からない。
逆の立場なら自分だってきっと自分のせいだと思うはずだ。
自分の知らないところでそれが起こっていたとしても、自分が関わったせいだとしたらどうしたって自分を責めるだろう。
案の定彼は首を横に振った。
 
「僕がシウォンさんのところに行かなければこの事件は起こらなかった」
「だとしても、キュヒョンは仕事を受けただけだし、他の依頼を受けていたら起こらなかった事件だと限らないじゃないか。君はなにもしてない」
「…そうですけど、やっぱり僕のせいだ…僕が…」
 
今のキュヒョンにはどんな言葉も許しには聞こえないのだ。
さて、どうしたものか。
 
「それより…腹減ったんだけど…」
「…はぁ」
 
一瞬で相手の表情から緊張が解ける。
 
「夕食前にこれはないよな」
「え、と…」
「帰ったらまた温めなおさなきゃならないんだよね」
「そう、ですね…」
「今、一番腹立たしいのはそこなんだけど」
 
少しだけ表情が緩んだことに安心した。
 
「だから、帰ろう」
「…はい」
 
肩に手を回すと少し驚いたようにこっちを見て、でも、短く息を吐いて微笑んだからそのまま歩き出す。
とりあえずは食事。
それから睡眠。
そうして、少し事態を整理できれば気持ちが多少なりとも落ち着くはずだ。
キュヒョンが胸元のペンダントをきゅっと握って目を閉じた。
不安な時もそれを和らげる効果があるかのようにそれに触れるキュヒョンの様子を何度か見ただけだけれど、彼にとって本当に大切なものなんだろう。
 
「それ、大事なものなんだね」
 
掌から肩が小さく跳ねるのが伝わった。
目を開けて握ったままの手を見つめる。
 
「…はい。これのお陰で僕は生きてこられたから」
 
ゆっくり顔を上げたキュヒョンは何かを吹っ切ったような顔をしてこちらを見る。
少しでも不安が安らいだのならいいけれど。
でもそれは自分の言葉ではなくて彼の大事なペンダントのお陰なのは少なからず悔しいような気分になる。
 
「シウォンさん」
「ん?」
「本当に、ありがとうございます」
「何、いきなり。俺は何もしてないよ」
「…ありがとうございました」
 
その感謝の言葉は俺が彼に与えた言葉に対してでも、ここまで一緒に来たことに対するものでもなくもっと大きなものだったなんて当然この時にはわからなくて。
キュヒョンがこれまでの彼の生き方に大きな区切りをつけ、俺がこれからの生き方を変えることになるなんて、そんな言葉から汲み取るなんてできるはずもなかったのだ。