腰から崩れた。
冗談抜きで。
なんなの、この人。
どこまでなの、この人。
まさかのボイスメッセージって何。
何とか壁にもたれて耐えていたのに肩をポンと叩かれて膝が崩れる。
慌てて腕をつかんで引き上げた親友は、俺の顔を見て口をぽかんと開けた。
「なに…どした?」
「何が?」
「何がって…死にそうな顔してる」
「っていうか…死んだ」
「はぁ?」
いいや、もう。
どうせ世界中に拡散されてるんだから。
スマホの画面を相手に向けて再生させた音声にチャンミンが爆笑した。
笑え。
もう好きなだけ笑ってくれ。
「あの人やることハンパないなー」
「うるさい」
「っていうか、独占欲ハンパない」
「…はぁ?」
もう一度再生ボタンを押した親友は再び爆笑する。
「なに、この声」
「ヒョンの声だろ」
「お前、耳イカレた?」
「なんで?」
「こんな声、聞いたことないけど」
聞いたことないって何?
独占欲ってなんだ?
「お前にしか聴かせないような声で世界中に発信してるってのはさぁ。『俺の』キュヒョナだって言ってる訳だろ?」
「それは大袈裟」
「そう?俺が…やるならそういう意味でしかやんないけど」
「やるのかよ」
「やらねぇよ」
ああ。
やることがグローバル過ぎるよ、ヒョン。
「とりあえず異国の地でくたばるのはやめてくれ」
「俺の屍を越えていけー」
チャンミンがもう一度再生ボタンを押す。
「キュヒョナ誕生日おめでとう。気を付けて帰ってね」
「お前が無事に帰らなきゃ、俺が殺されるわ」
「じゃあ、こういうことするなって伝えて、だめ。もうダメ」
「お前も大概…」
チャンミンが呆れたように俺を見て笑う。
「あの人のこと好きだよな」
ああ。すきだよ。
自分でも笑っちゃうくらい。
こんなので泣きそうになるくらい。
どこに居ても多分この人はこうして俺に何かを伝えてくるんだ。
異国の空の下でも。