井上尚弥は大橋ジムに入る条件として「強い奴としか戦わせない」という条件を付けたという話は有名ですよね。
この咬ませ犬問題、ボクシングファン以外にも浸透させたのがまぁ亀田家のマッチメイクですね。
亀田兄弟はデビュー時から日本人ではなく外国人選手とばかり試合をしていました。
90年代は咬ませ犬の外国人はフィリピン人が多い印象でしたが徐々にタイ人が増えていきました。
フィリピン人は素直に負けるボクサーも多かったんですがたま~~に咬み返すボクサーもいました、自分の後輩はフィリピン人ボクサーにぶっ倒されてましたからね~
日本王者になったスズキ・カバトは輸入選手になる前に日本人選手勝ちに行って良い試合をし微妙な判定で負けたのですがその試合を見ていた現真正ジムの井上トレーナーに見初められて新日本大阪ジムの輸入選手として日本に来日して頑張って日本王者になったんですよ。
でも、タイ人が咬ませ犬で呼ばれることが多くなってきてからそういう咬ませ犬が咬み返すって試合が極端に減りました…
タイ人の方が何を求められて日本に呼ばれたかをより把握してるんですよ(笑)
まぁフィリピンではパッキャオの活躍で
「俺だって、やっちゃるんじゃぁ~~!」
って気概を持ったボクサーが増えたのも理由じゃないかと自分は考えてますが。
亀田家が活躍して以降、外国人選手を呼んで日本人ホープを勝たせるやり方がものすごく非難されるようになりました。
でも、この咬ませ犬と試合をさせてキャリアを積んでいくやり方はまぁ昔から普通にあったし亀田家がそのやり方を参考にしたのは自分の所属ジムだったグリーンツダジムのやり方、つまり当時の津田会長がやってたやり方で、デビュー前からツダジムにいた亀田家がこのやり方を参考にしたのは言うまでもありません。
では、この咬ませ犬方式での選手育成では本当に強い選手は作れないのか?というとそういうわけではないと思います。
自分のジムの仲間のことをこんな風にいうのは申し訳ないんですがツダジムの興行でツダジムのホープが出るとき相手はほとんど外国人の切られ役って感じの興行は多かったんですよ。
で、ジムのホープだった選手が殆ど日本人と戦わず日本ランクを上げていき日本王座決定戦に出たときに自分は「大丈夫か?」と正直思った部分がありました。
しかしそのホープたちは堂々日本ランカーに勝って日本王座に就きました。
だから、じっくり確実に選手にキャリアを積ませる方法としては間違ってはいないと思います。
ガチガチの試合をずっと続けていくとボクサーは消耗してしまうというのはあるんですよね…
井岡一翔、井上尚弥、田中恒成などの世界最短記録を狙って駆け上がった選手は一度世界王者になってからの試合は本当にハード路線で井上に至っては世界戦しかしてませんからね…
でも、やっぱり並みの選手だと調整試合は必要だと思うんですよ。
大体コンスタントに試合を続けて試合感覚を空けないようにするには手ごろな選手と試合しなくてはいけないと思いますし。
ただ、現エディ・タウンゼントジムの村田英次郎会長は4度世界挑戦してますが(二敗二分)その間、所持していた東洋タイトルは返上せずタイトルマッチの合間も東洋王座の防衛をして調整試合はしてなかったんですよね。
興行的な問題とか色々あるんでしょうが並みのボクサーじゃなかなかできないことだと思います。
まぁ村田会長の引き分けた二王者は歴代バンタム級王者でも屈指の強者、ルぺ・ピントールとジェフ・チャンドラーですから世界王者になったボクサー以上に偉大なボクサーだと自分は思ってます。
で、こんな自分でも咬ませ選手と試合したことがあります。
その試合枠は最初ツダジムのホープが日本人選手とすることが決まっていたのですがまず、そのホープが体調不良で試合を辞退(そのまま引退)。
で、その相手であった日本人選手と自分がすることになったのですが相手の日本人選手は自分とやる前の試合をKO負けしてしまいそのまま引退、急遽試合相手を探さなければいけなくなりフィリピン人が呼ばれることになったのでした…
まぁ自分はホープじゃなかったんで最初から嚙ませ犬との試合が組まれてたわけではなく穴埋めなんですよね。
まぁその試合はKO勝ちしましたよ(笑)
フィリピン選手、ジュリアス・カピアンくんと
で、咬ませっていっても色々あるわけですよ、日本側がタイ人、フィリピン人を呼ぶ場合はほとんどが相手に負けを求めてる部分はあるんですがタイでもフィリピン人を咬ませに使ったり逆もしかり…
最近は日本人が海外で試合することが増えてきてますよね。
で、日本人が咬ませ犬になる場合もあります。
タイ人が仕事を全うするために日本に来日するのとは違い日本人は外国に呼ばれても自分から負けに行くようなボクサーは少ないんですがめちゃくちゃ強い選手に選手としては格が落ちる選手を呼んだりするんで勝てるのはなかなか難しい所があります。
少し前に力石選手が海外で勝った試合は力石選手は咬ませでも何でもなく強豪同士のマッチメイだったんですが。
負けるために日本に来てるような選手は咬ませ犬というよりも負け要員で半分は片八百長と言われても良いようなところはあると思います。
本来の咬ませ犬とは「はい、負けに来ました殴ってください、すぐ倒れますから」という選手ではなくキャリア的にこの戦績だとうちの選手が負けるわけがないから安心だ」って選手と真剣勝負させてた物なのにいつの間にか負けるために来る外国人が大半を占めるようになってカバトのような「咬み返して俺がサクセスじゃぁ~!」って気概のあるボクサーが居なくなってしまったと思います。
実際、自分も本来の咬ませ犬にされたんですよね。
WBFタイトルマッチでソムサック・シンチャチャワンと試合した時のソムサックの戦績は19戦17勝(13KO)1敗1分で自分の戦績は12戦6勝5敗1分けですから(苦笑)
まさに咬ませ挑戦者でしたね…
まぁ日本人はこんな状況でも自分で倒れたり倒されないように逃げまくったりなんてする人はほとんどと言っていいぐらいいないでしょうが。
自分も無謀と言われようが勝つつもりで向かっていきましたよ、3ラウンドで終わっちゃいましたがまぁ頭ぶつかって切れて終わったんでぶっ倒されたわけではないですが3ラウンドだけなのに顔はボコボコでしたけどね(苦笑)
咬ませともやってるし咬ませにもされたボクサーっていうのもまぁ経験としてはよかったのかも(笑)