立川断層帯と地震について | 内山真吾のブログ

立川断層帯と地震について

昨日、昭島市議会議員研修会にて「立川断層帯と地震」というテーマで首都大学東京 都市環境科学研究科 地理環境科学域 山崎晴雄教授よりご講演を頂きました。

大変興味深い内容であり、また、不安に感じていらっしゃる市民の方も多いかと思いましたので、自分の復習の意味も込めまして、講義の内容をご報告したいと思います。


最近、立川断層の動く確率値が上がった可能性があるといった国の発表がありました。

立川断層が動くかもしれない、活動周期が満期になっているので、いつ動いても不思議はないという見解です。
※詳しい立川断層の位置はこちら

まず、断層には縦ずれ断層の正断層と逆断層、
内山真吾のブログ-正断層
右上矢印正断層
$内山真吾のブログ-逆断層
右上矢印逆断層

と、左右の横ずれ断層があります。
$内山真吾のブログ-横ずれ断層 左ずれ
右上矢印左横ずれ断層
$内山真吾のブログ-横ずれ断層 右ずれ
右上矢印右横ずれ断層

そして立川断層がどの種類の断層かによって、今後の活動確率は変わってくるということです。

現在、東京都の調査結果では「逆断層」、国の地震調査委員会の調査結果では「左横ずれ断層」となっています。

もし、地震調査委員会のいうように「左横ずれ断層」だった場合、東日本大震災の影響を受け、断層が動きやすくなってしまっているようです。
しかし、もし「逆断層」であった場合は、逆に動きにくくなっているということが考えられるのです。

つまり、立川断層が「横ずれ断層」か「逆断層」かによって大きく変わってくるのです。

山崎教授によると、

「立川断層には横ずれ断層である証拠は全くない。立川断層帯の一部である名栗断層には谷の横ずれがあり、地震委はこれを重視している。
しかし、むしろそれすら古傷を利用した高角の逆断層ではないのか。
立川断層は走向や変位形態(撓曲)などが逆断層の深谷断層とよく似ている」

とのことでした。

加えて、この武蔵野台地は地盤が良く揺れにくいため、1923年関東大震災時でも、住家全潰率はだいたい0.1~0.5%くらい(1000軒に1~5軒くらい)だったという資料が残っています。

中央防災会議の震度予測では最大震度7の予測でありますが、これも多くの仮定の上に作られていて、保守的、安全側という考えのもと大きめに見積もられているとのことでした。

ただ、1923年当時と比べ、都市化によって環境条件は大きく変化をしているので、人口密集地域での火災に十分の配慮が必要であり、3.11の時のように、帰宅困難者が多く出てしまい、道路に渋滞を作ってしまうと、消防車も救急車も動けなくなるので、大変な事態が起きる可能性があるとのことでした。


つまり、活断層である立川断層は、大地震を起こす可能性はあるにはあるが、いつ活動するかは不明であり、地震委によれば既に満期、東京都によれば次の周期まではあと3000年くらいであり、都の調査結果の方が信憑性があるのではないかという事のようです。

また、地震の強振動は断層上に集中するものでは無く、断層の上がどうかではなく、地盤条件が重要であり、断層をむやみに恐れないで下さいとの事でした。


以上が、私なりにまとめました講習会の内容です。

ちなみに、立川断層が「逆断層」である根拠については、もっと専門的に詳しくお話をされていて、私としては信憑性があるのではないかと感じました。

また、首都直下型地震が来た場合、小河内ダムの決壊の可能性は?との質問に対しては、「M8.1以上の地震が来なければ大丈夫」(東京都)という前提で言うと、震度がいくつかわからないが、小河内ダム周辺にM8クラスの活断層はないので、まず大丈夫だろうとの事でした。

今回の講習会を生かし、またさらに今後立川断層に関する見識を深めていき、随時市民の皆様にご報告、並びに市政の防災対策に生かしていきたいと思います。