羽根田治著『山の遭難 あなたの山登りは大丈夫か」(平凡新書)。読書である。
実際に起こった山岳遭難を例に挙げ、遭難回避の啓蒙書だが、救助体制の矛盾などの問題点を指摘しつつ、安易な救助要請を行う昨今の登山者のモラルのなさに苦言を呈するといった内容。まあ、救急車をタクシー代わりに呼ぶヤカラがいるなら、救助ヘリをタクシー代わりにする人間もいるでしょう。ただ、極端にしても本書であげる事例の中には「見殺しにしてもいいのでは」という事例も多い。バカは死ななきゃ治らないのである。
本書の中でたびたび出てくるが「山は自己責任で」という言葉。かつての山屋の常識だそうだが、今では死語になりつつあるようだ。
山登りのどこに楽しみを見出すのかは千差万別だろうが、ピークハントのみに目的を絞る人は基本的に責任転嫁型の依存体質な気がする。まあ、せっかく山に登るなら山頂に立ちたいのはやまやまだが、山行すべてを他人に決めてもらって行動するのは“やらされている”感が強い。山を登るという行為のみ捉えると、しんどいだけの苦行であって、突き詰めても快楽にはならない。健康志向で山登り=ただのマゾですよ。
で、とりあえず遭難しないために、登山技術を磨いたりするわけだが、そこが山登りの一番おもしろいところでもある。例えば、見知らぬ山を目指すとなると、タイムスケジュールやルートを計画し、地形図を買ってきてあれこれ想像する。新しく買ったストーブで料理をしてみようというのもあるだろう。天気図を読めるように勉強するなど、あれこれ努力するようになる。実際に山に登るのは、それら努力の検証作業に過ぎない。無論、雨が降ろうが、道に迷おうが、自分で計画を立てるのだから、責任転嫁のしようがない。だからこそ受け入れられる。
まあ、小さなことからコツコツと!! ではないが、あんまりビビッてたら北アルプスなんかは一生行けませんわ。時には無知蒙昧を装って勢いに任せた無茶をやりたいと、心の片隅で思っているのだが…。









