前回 親戚と一緒に面会してから2日後
病院から電話がありました。
よ、よかった……!
肺炎の症状は治るまでまだかかりそうだけど、酸素レベルは問題なしとのこと。
その日の仕事終わりに父に会いに病院へ。
酸素マスクも鼻のチューブもない父の顔を見てホッとしました。
「お父さ〜ん。調子どう?」
いつもの調子で声をかけると、
父から返事がかえってきたのですが…
なんて言ってるのか、
聞き取れない。
舌癌で舌を切除しているので、もともと聞き取りにくいんです。でも私はその状態にすっかり慣れていて、今では普段の会話で困ることはあまりないのです。
それなのに、聞き取れない。
しばらく寝たきりだし、
体力も落ちてるし、
声を出しづらいのかな?
何度か聞き返してみても
質問を変えてみても
やっぱり分からない。
何かを伝えようとしているのだけれど、
それが何なのか分からない。
「暑い?」
「体勢つらい?」
「看護師さん呼ぶ?」
当てずっぽうでひとつずつ可能性を潰していく作戦。でもどれも違うみたい。どうしよう、本当に分からない……!!
結局なんだったのかというと
父は透析室に向かおうとしていたのです。
腕にシャントを作って本格的に透析を始めるのはまだ先になりますが、とりあえずこの入院中に何度か透析をして体の毒素を出すことになっていて。
看護師さんに聞いたところ、その日は集中治療室から一般病棟へ移る途中に、透析室に寄ってすでに処置を済ませてあったそうです。
意識が朦朧としていたのか、眠っていたのか、父はそのことを覚えておらず。
「透析やるって言ってたのにまだやってないじゃないか!」と思い、どうやら自分の足で透析室に向かおうとしていたようです。
筋力も落ちているし自分で起き上がることも出来ないのに歩いて行けるわけないじゃんか…![]()
父の言いたいことが分かるまで
私も看護師さんも何度も聞き返して。
「違う
」
「そうじゃない
」
「分からん奴だな
」
顔をしかめたり、看護師さんに声を荒らげたり。父のイライラが募っていくのを見ているのがとても辛かった。
途中から胸が苦しくなってもう病室に居られなくなって、看護師さんが点滴を替えているうちに何も言わず帰ってきてしまいました。
体の自由も効かず
食事もとれず
言いたいことも伝わらない
父が一番つらいよなぁ。
分かってあげられなくてごめん。
ズーンと落ち込んだ気持ちを
引きずっています
はぁ……